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米中の貿易戦争は、覇権戦争へシフトしているという向きが出てきた。もっとも、中国が自力の技術開発力を保持していればという前提つきであろう。現実には、国を挙げて技術窃取をするほど脆弱な技術開発力の国家だ。この中国が、イノベーションの権化である米国に勝てるはずがない。この見解をさらに補強するデータとして、国連の最新人口推計が発表された。

 

人口は、経済活動の基本である。生産だけでなく消費の両面において一国経済を支えるものだ。かつて日本の『経済白書』で、人口が減っても機械化でカバーするから問題ない、という「珍解答」が出たことがある。ロボットは生産するが消費をしないのだ。生産と消費のバランスを必要とする経済成長には、人口増加が不可欠である。

 

中国は現在、世界一の人口を擁しているのでGDPでも世界一になって当然、という迷信がある。これは、中国最高指導部も捉えており、民族派はそう固く信じている。科学技術の発展を伴わない人口増加では、生産性が低くGDPを押し上げる力は弱いのだ。中国は、この科学技術面での発展余力がなく、他国からの技術窃取に依存する「犯罪国家」の一面を持っている。ファーウェイが、その先兵を務めてきた。

 

米国政府が、ファーウェイへのソフトと技術の輸出規制を始めたことで、中国の「技術窃取」戦略は蹉跌状態である。そこへ追い打ちをかけたのが今後の人口減少推計である。技術窃取はできない。人口が減るのでは中国経済がどうなるのか。急減速状態に陥ることは不可避だ。一方、中国を迎え撃つ側である米国の将来人口推計は増加する。ここに、「勝負あり」である。中国は、覇権戦争に費やす無駄な軍事費を削減して、国民生活第一の内政重視に舵を切り替えるべき時がきたのだ。

 

『ブルームバーグ』(6月18日付)は、「中国1位は終焉へ インドが27年ごろ人口世界一に-大変化到来」と題する記事を掲載した。

 

国連人口部は17日、世界人口推計を発表した。注目すべき米中の推計結果を示したい。

 

2020年      2100年    増減率

中国 14億3900万人  10億6500万人 -26%

米国  3億3100万人   4億4500万人 +34%

 

人口動態において、米中の置かれている状況は天と地もの差が出た。米国は移民国家である。世界の憧れの地として移民希望は増加の一途だ。若者の移民だから出生率は高く、米国経済発展に不可欠の存在である。

 

中国は、一人っ子政策(1979~2015年)の結果、生産年齢人口比率を急激に引き上げた。これが40年間で平均9.8%成長を実現させた原動力である。一方では、この「一人っ子政策」が、合計特殊出生率を劇的に引下げて、2100年の人口が2020年比で26%も減少させる「負の遺産」をもたらすことになった。

 

中国経済は、エレベーターに乗ったように、急上昇と急降下という象徴的な動きをするが、すべて人口政策の失敗と不動産バブル経済の負の連鎖の結果というほかない。不動産バブルで家計債務が急増している。これが、2016年以降の「子ども二人制」となっても一人しか生まない経済的な要因である。習近平氏は、不動産バブルを利用してGDPを押し上げた。現在は、これらの人為的な政策がすべて失敗して、経済成長を阻害する要因へと逆転した。皮肉なものだ。習氏の表情が冴えない理由である。