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文在寅政権の登場は、韓国経済を確実に暗転させた。反企業主義が充満しているからだ。大企業法人税率の引き上げという世界の大勢に逆らい、企業の設備投資を縮小させてしまった。これだけに止まらず、最低賃金の大幅引上げや週労働時間52時間という枠をはめた。この結果、昨年の韓国企業の営業利益は、金利すら払えない企業が全体の32%にも達する事態を招いた。

 

米中貿易戦争は、韓国経済に大きな影響を与える。対中国輸出は4分の1を占めている。中国の対米輸出が、高関税によって抑圧を受けている影響は、韓国輸出に影響を与えている。この状況は今後ますます強まるので、韓国企業の「ゾンビ化」はさらに進行することは不可避である。

 

『朝鮮日報』(6月21日付け)は、「韓国企業、利益で利払い賄えない32%ー韓銀調査」と題する記事を掲載した。

 

韓国銀行(中央銀行)が20日、国会に提出した「2019年上半期金融安定報告書」によると、昨年利益で借入金の利息を賄えなかった企業が3割以上あることが分かった。世界的な金融危機による影響が大きかった2010年以来8年ぶりの深刻な状況だ。特に飲食・宿泊業では半数以上を占めた。

 

(1)「韓銀は外部監査を受けた業績公示企業21213社を対象に昨年の債務償還能力などを分析した。その結果、インタレスト・カバレッジ・レシオが1に満たない企業が32.1%に達した。前年を2.4ポイント上回り、関連統計を取り始めた2010年(26.9%)以来の高さだった。インタレスト・カバレッジ・レシオは企業が本業で稼いだ収益(営業利益)を支払利息で割った指標。1を下回れば収益で利息すら賄えないことを示す。昨年の調査対象企業の全体平均は5.9で、前年(6.3)よりも低下した。収益性が悪化し、債務償還能力が低下したことを示している。サムスン電子のような収益性が高い電機・電子業種を除くと平均は3.9に低下する。これは15年(3.5)に次ぐ低さだ。中小企業のインタレスト・カバレッジ・レシオは2.5にとどまった」。

 

サムスン電子の「巨人」が属する高収益の電機・電子業種を除くと、平均インタレスト・カバレッジ・レシオは3.9に低下する。つまり、韓国企業の営業利益は、支払い金利の3.9倍しか稼げなかったことを意味する。中小企業に至っては2.5倍に過ぎない。これでは、設備投資をする余裕もなくなり、「その日暮らし」を余儀なくされている。この「主犯」が文政権である。企業を苦しめる「反企業」政府という不可思議な存在になっている。企業が稼げば、それが歳入増になって政府活動を支えるもの。そういう面へ頭が回らないのだ。

 


(2)「米中貿易戦争がエスカレートするなど企業を取り巻く環境がさらに悪化し、今年の売上高が前年に比べ平均で3%悪化した場合、インタレスト・カバレッジ・レシオが1未満の企業は37.5%まで増えると推定される。韓銀は「輸出業種の場合、今後業況が悪化する可能性が高く、各金融機関は企業の信用リスクを先制的に管理すべきだ」と指摘した」

 

韓銀調査によれば、今年1~3月期の売上高増加率は前年同期比で2.4%の減少である。2016年7~9月期(-4.8%)以来2年3カ月ぶりにマイナスに転じた。昨年10~12月期(6.0%)と比較すると様変りの状態だ。

韓銀では、今年の売上高が前年比で3%の減収になれば、インタレスト・カバレッジ・レシオが1未満の企業が37.5%にもなると警戒している。当然、歳入は減少するので政府は国債発行に依存する。すでに、バラマキ財政になっているので、文政権は一層の窮地に立たされよう。