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文在寅(ムン・ジェイン)政権は、言うまでもなく5年間の任期である。だが、自らの政権の人気を高めるべく行っている政権戦略が、韓国の永遠の発展に資する国家戦略から見て著しくかけ離れていることが分る。

 

「親中朝・反日米」が、文政権の本音である。反日は鮮明に打ち出している。親日排除という形で現在、韓国全土に吹き荒れているところだ。日本を侮辱しておきながら、「未来戦術では日韓が手を取り合って」と言われても、日本が「ハイ、そうしましょう」と言うはずがない。文氏には、人情の機微が分らないとすれば「人間失格」と言わざるを得ない。

 

『朝鮮日報』(6月23日付)は、「康京和外相は『人形』にすぎない」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の楊相勲(ヤン・サンフン)主筆である。

 

(1)「1カ月前に米国ワシントンを訪問したある人物は、米国で北朝鮮の話がほとんど持ち上がらなくなったのを見て、非常に驚いたという。最初から最後まで中国関連の話で持ち切りだったのだ。「今こそ中国を抑制する最後のチャンス」という米政界のコンセンサスを強く感じたという。習近平は、「今後100年は頭角を現すことなく待ちなさい(韜光養晦〈とうこうようかい〉)」と諭した鄧小平の遺言を破り、50年にもなる前から自己主張を始めたことで、深刻な逆風にさらされている。だからといって退くこともできない。権威が失墜し、中国国内の反・習近平勢力が力を付ける恐れがあるからだ」

 

習近平氏は、中国国内で逆風に出会っていると言う。米国と貿易戦争を始めたからだ。現在の国力で、米中が互角に戦えるはずもなく、トランプ旋風にやられっぱなしである。文大統領は、こういう中国の「反習近平」の突風を理解せず、米中覇権争いで去就を決められずにいる。国家戦略とすれば、米韓同盟がある以上当然の選択だ。だが、「政権戦略」としての「親中朝・反日米」が足かせになっている。

 


(2)「日本の安倍晋三首相は、対日強硬一辺倒の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と韓国に向かって「愚かだとしか言いようがない」と言ったという。当時日本は「インド・太平洋戦略」を推し進めながら、米国を説得していた。米国、日本、オーストラリア、インドがインド・太平洋で中国を包囲し抑制しなければならないという同戦略は、現在そのまま実行されている。米国は歴史と伝統が備わった「太平洋司令部」という名称を「インド・太平洋司令部」へと変更した。韓国が含まれていないにもかかわらず、在韓米軍と韓米連合司令部の指揮機関名が変更された意味合いについては、韓国国内ではほとんど論議されなかった」

 

(3)「日本は中国に次いで空母2隻を導入するようになる。これは米国も承認済みだ。もともと親日国家であるインドは、日本とマラッカ海峡近くで1年に5回も合同軍事演習を行った。中国がインド洋に確保したスリランカ海軍基地の近くに、日本とインドが海軍基地を建設する。韓国油槽船はこの基地の前を通ってマラッカ海峡に進入しなければならない。「愚かだとしか言いようがない」という言葉が「韓国の国家戦略は何なのか」を問う質問ならば、一体何と答えるのだろうか。北朝鮮に対する太陽政策がその回答なのか。太陽政策は国家戦略なのか、それとも政権戦略なのか」

 

朝鮮李朝以来、韓国は外交がきわめて下手である。右顧左眄しており、「洞ヶ峠」を決め込むうちに大勢を見失うという、笑いにもならない失策を繰り返している。この原因は、余りにも目先の利益を重視するからだ。「安物買いの銭失い」が、韓国外交を失敗させる原因に違いない。

 

(4)「韓国の力は現在われわれ自らが実感している。米中間に挟まって呼吸すらできないような状況だ。日本は最も早く米国の側に付いた。しかし、中国は韓国には脅しを掛けながらも、日本には何も要求していない。日本のGDPにおける対中輸出は3%にすぎない。貿易関係が崩れれば、苦しむのは中国の側だ。韓国のGDPにおける対中輸出は10%を占めている。貿易関係が消滅すれば、中国よりも韓国の方が痛手を負う。これが韓国の国力なのだ。韓国の周りには、強大国だけがひしめいている。われわれは強大国に影響を及ぼすことができる国ではなく、強大国の影響を受ける国なのだ。強大国の動向を真っ先に把握して、これに対応し、国家戦略の方向性を決定しなければならない」

 

日本は、明治維新以降の歴史で日米が安定的関係を維持できた時、平和の配当金を得られた。韓国も、米韓同盟の原点に立ち返るべきである。同じ思想の国が手を取り合うのが原則である。哲学者カントが『永遠平和のために』で主張するように、民主国は民主国で手を取り合うのが原則なのだ。「親中朝・反日米」は政権戦略である。「国家戦略」はカントの永遠平和論である。