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昨年10月、ペンス米副大統領が行った中国批判演説は、「米中冷戦」を告げる厳しい内容であった。以来、ペンス氏の中国批判演説は磨きがかかっている。中国の受けたショックは相当なものだった。それだけに、破壊力十分なペンス演説が、今週末の大阪G20サミット中に炸裂したら、まとまる話も壊れるリスクが高くなる。そこで急遽、日程を再調整することになった。

 

『ロイター』(6月21日付)は、「ペンス副大統領が中国演説中止、米中会談控え緊張回避か」と題する記事を掲載した。

 

ペンス米副大統領が中国政策に関する演説を中止したことが、米政府当局者の話で分かった。米中首脳会談を目前に控え、緊張激化を回避したいとの思惑が働いたようだ。演説予定は、29日であった。この当初日程では、大阪G20サミットが開会中である。そこへ、演説のスケジュールを合わせたことは、米中首脳会談開催が危ぶまれていたことを窺わせている。こういうギリギリの線に合わせた「精巧爆弾」が準備されていたとは、米国の執念を示している。

 

(1)「この当局者は、「今週のトランプ大統領と習近平国家主席との電話会談が順調だったことから、ペンス氏の演説を来週の大阪20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)以降にずらすことがより適切であるとトランプ氏やペンス氏は判断した」と指摘した。さらに「米中協議には進展の余地があり、たとえそれが漸進的であっても、可能性の芽をつむことは望ましくない」と語った」

 

ペンス氏の演説内容は、トランプ氏と協議して決められている。その意味で、ペンス演説は、トランプ演説の代読という性格を帯びている。それだけに、注目度が高い。

 


(2)「中止決定は、完全な驚きをもって受け止められた訳ではない。米政界ではここ数週間、ペンス氏が演説のトーンを和らげるか中止に踏み切るといううわさが飛び交っていた。ペンス氏側近は当初、5月29日に中国に関する演説を行うと公表、人権などの問題で強硬な発言をすれば貿易摩擦緩和に水を差す可能性を懸念する声が中国や米経済界から上がっていた。香港でのデモ運動や天安門事件記念日で、敏感な時期に差し掛かってもいた。

ペンス氏は昨年10月の講演で中国の政策を手厳しく批判した経緯がある」

 

米国は、対中問題で通商の次に人権問題というスケジュールを決めている。これまで米国は、新疆ウイグル族問題に対して、本格的に追求する姿勢を見せずにきた。これから本番を迎える方針だ。