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米国政府による中国スパイ網への警戒は一段と厳しくなる。次世代通信網「5G」では、機器の製造・設計まで中国外を義務づける検討が進んでいる。ファーウェイ製品の購入禁止だけでなく、「5G」の機器・部品も中国外での製造を条件にするもの。中国が部品や機器に「バックドア」を忍ばせれば、まんまと米国でスパイ活動が可能になるからだ。

 

「米国の中国への信頼関係は、完全にゼロとなっている。中国が、監視・分析ツールをひそかに米国に配置しようとしている証拠がある。中国政府の後ろ盾を受けた杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などの中国メーカーが生産する監視カメラ数万台の存在を考えるといい。それらはセキュリティー上のリスクになり得ると米中経済安全保障調査委員会(USCC)のキャロライン・バーソロミュー委員長は指摘している。懸念されているのは、そうしたカメラを中国政府が遠隔で監視している可能性があることだ」(『ウォール・ストリート・ジャーナル』6月21日付寄稿「中国の監視網、米国への拡大許すな」)

 

中国の諜報網は、監視カメラの輸出に際してバックドアを忍ばせている懸念が強まっている。こういう切迫した事情を背景に、米国は「5G」で厳しい制約を課す案を検討中である。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月24日付)は、「米国向け5G機器、中国製以外の使用義務づけを検討ー関係筋」と題する記事を掲載した。

 

トランプ米政権は、米国内で使用する第5世代(5G)移動通信システムの機器について、中国以外での設計・製造を義務づけることを検討している。関係筋が明らかにした。実現すれば世界の製造業の構造を変化させ、米中の緊張がさらに高まる恐れがある

 


(1)「5月の大統領令は、サイバーセキュリティー面の懸念から一部の外国製の通信機器・サービスを禁じるというもので、150日間にわたる米通信業界サプライチェーンの見直しが始まっている。関係筋によると、この一環として米当局者は通信機器メーカーに、基地局向け電子機器、ルーター、スイッチ(経路制御装置)などの米国向けハードウエアやソフトウエアを中国以外で製造・開発できるか尋ねている。この聞き取りは初期段階で非公式なものだという。大統領令は、150日以内に具体的な規則案のリストを作成するよう求めているだけで、期限は10月。このため、規則案が実際に導入されるまでは数カ月あるいは数年かかる可能性がある」

 

米国は、中国企業の通信機器製品の輸入を規制する以外、中国国内で生産された製品・部品を組み込んだ中国以外の企業製品にまで規制の網を張る検討を行っている。

 

(2)「米国のワイヤレス通信サービス会社向けに通信機器を販売している大手企業には、フィンランドの ノキア 、スウェーデンのエリクソンなどがある。新たな規則案はこうした企業に、主要事業の中国以外への移管を強いることになる可能性がある。世界の通信機器および関連サービス・インフラ業界の年間売上高は2500億ドル(約268000億円)で、米国は最大の市場。米国にはワイヤレス通信機器の主要メーカーがない」

 

米国が、世界の通信機器や関連サービスの最大市場であるゆえ、米国政府が独自の規制を実現可能という背景がある。中国が、こういう形で米国市場から完全に閉出されることは、大きな痛手だ。習近平氏が、「世界覇権を握る」と野望を剥き出しにした報いである。