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この記事を読まれると、日本に生まれた幸せを実感するであろう。中国の「社会信用システム」は、当人が知らぬ間に行政が決めた基準によって採点されている。悪い点をつけられると不利益を被るという。福沢諭吉の「天は人の上に人をつくらず」とは、全く違う世界が中国である。

 

『ブルームバーグ』(6月20日付)は、「社会信用システムで壮大な実験進める中国、暗黒社会到来の前触れか」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国江蘇省の蘇州市は、市民の振る舞いに対して賞罰を与える社会信用システムの実験で、習近平政権が2018年に選んだ12カ所の1つである。市の花「桂花」がこのシステムの名称だ。配偶者の有無や学歴、社会保障給付などの約20の指標に関するデータが収集される仕組みだが、ペンス米副大統領ら欧米の政治家は英国の作家ジョージ・オーウェルが描いた暗黒社会につながる制度だとこのシステムを激しく批判している。世界中の独裁国家のモデルとなり得るかもしれないからだ」

 

約20の項目についてのデータが収集されている。配偶者の有無や学歴、社会保障給付などだ。結婚は、個人の自由だが、未婚はマイナス点がつけられているのだろう。税金の未納もチェックされている。滞納を防ごうというねらいだ。

 

(2)「社会信用システムの支持者は、米国で多くの個人向け融資の審査に使われる信用スコア「FICO」に近いものだと主張するが、中国の制度は国民を監視するため公共の場所での監視カメラや決済システムなど広範な監視ネットワークを用いており、はるかに厳しいものであることは間違いない。ボランティア活動や期限通りの支払い、ごみの投げ捨てがないなどの良い行いに対しては特典が付与される一方、悪い行いをすれば金融・公共サービスが突然受けられなくなることもあり得る」

ボランティア活動・期限通りの納税・ゴミを投げ捨てない「善良」な行為は加点される。悪い行為をすれば、金融や公共サービスを受けられなくなるという不利益を受ける。幼稚園か小学生並みの扱いだ。中国のモラルの低さを反映した評価システムであることは間違いない。ここまでやらなければ、「ゴミの投げ捨て」を防げないとは情けない社会だ。

 

(3)「蘇州市によれば、桂花は社会保障や民事など20程度の公的部門から個人情報を収集している。スコアは基準の100点から始まり、良い行いをすれば最高200点までポイントが増える。ただ社会信用システムを利用する他の地方当局同様、蘇州市は悪い行いを定義付けてどれだけポイントが減らされるかについてのルールをまだ導入していない」

 

スコアの基準は100点。善行には200点までの加点がつく。

 

(4)「地元メディアの報道によると、蘇州で監視対象となっている1300万人のうち約8人に1人が昨年8月時点で100点を超えるスコアだった。100点に満たなかったのは4731人だけで、その全員が融資返済を怠ったか、裁判所の判決に従わなかった「不履行者」だった。残る1100万人余りは基準の100点だ。それでも罰則という考えは、すでに懸念を広げつつある。隣接する浙江省の義烏市では、歩行者に道を譲らなかったとして交通警官から3点を差し引かれた市民が銀行融資を断られたと語った。システムの乱用・悪用を防ぐチェック・アンド・バランスの機能を確保しながら、どう現行の法制度に組み入れていくかが問題だ」

 

基準点100に、減点と加点されて合計点が算出されるシステムである。蘇州で監視対象となっている1300万人のうち約8人に1人が、昨年8月時点で100点を超えるスコアだった。100点に満たなかった「落第組」は4731人。この比率は、0.036%にあたる。比率で見れば「微少」だが、1300万都市で4731人に不利益が及ぶとはショックである。