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「象牙の塔」である韓国経済学会の3長老が、ついに文政権へ経済政策変更を迫る異例の事態を迎えた。チョ・チャンウク西江大名誉教授、キム・ギョンス成均館大名誉教授、ク・ジョンモ台湾CTBCビジネススクール碩座(せきざ)教授の3氏である。

 

韓国経済学会は、経済学会全体を統括する「韓国連合経済学会」という色彩が濃い。2016年から昨年まで韓国経済学会を率いてきた3人の会長経験者が24日、ソウル市内で行われた特別座談会で、現政権の経済政策について「全般的な軌道修正が必要だ」と厳しい評価を下した。

 

経済学会3長老が、特別座談会で経済危機を訴えたのは、現状が余りにも悪化していることにある。文政権は、依然として「所得主導成長論」を守っており、大幅最低賃金引上げの正統性を主張している。この説の誤りは、生産性を無視してでも最低賃金の大幅引上げを行えば、個人消費が増えて経済全体を引き上げるというもの。

 

現実は、失業者の増加という事態に直面している。昨年の個人事業主は、100万件以上が廃業を迫られた。最賃大幅引上げが、経済成長に負の結果をもたらした証明である。

 


『朝鮮日報』(6月24日付)は、「韓国経済の最大のリスクは文在寅政権の政策」と題する記事を掲載した。

 

読者が理解しやすいように、私が発言要旨を箇条書に整理した。

 

チョ・チャンウク西江大名誉教授

.経済の失速傾向は当面止めることはできない。

.現政権に入って成功した経済政策は一つもなかった。法人税の引き上げ、最低賃金引き上げ、労働時間短縮など、経済にしわ寄せがいくような政策ばかり打ち出した。

.来年は間違いなく今以上に悪化するだろう。これらの政策リスクが、韓国経済最大のリスクである。

.国内向け政策の不確実性が、韓国大企業による製造業エクソダス(国外脱出)招いた。5.分配政策を推進するために、経済がうまく回っていなければならず、経済を崩壊させるようでは分配政策を推進することができない

.韓国政府の政策は、雇用と成長、さらに分配までも悪化させている。

キム・ギョンス成均館大名誉教授

.グローバル経済が大失速した2011年から韓国経済は成長率が23%と鈍化し、全要素生産性の増加率が急激に落ち込んだ。

.その傾向が最近さらに強まっていると指摘した。

.生産性を高めなければ、低成長から抜け出すのは困難だろう。

 

ク・ジョンモ台湾CTBCビジネススクール碩座(せきざ)教授

.2013年から始まった慢性的な長期低迷が今まで続いている。

.韓国は半導体好況のせいで景気の状況を錯視し、問題点を忘れて政策実験ばかりに熱を上げている。

3,状況がさらに悪化する恐れがあると懸念を示した。

 

3教授の指摘は、その通りである。私がこれまでのブログで指摘してきた点と同一である。その中で注目すべき点は、キム・ギョンス成均館大名誉教授の指摘する点だ。

 

「2011年から韓国経済は成長率が2~3%と鈍化し、全要素生産性の増加率が急激に落ち込んだ。その傾向が最近さらに強まっている」

 

全要素生産性とは、技術の進歩や生産の効率化など、資本や労働の量的変化では説明できない部分が、GDP成長に寄与する度合を示すもの。その全要素生産性の増加率が急激に落ち込んだのは、韓国社会が労組を含めて制度全体が硬直化していることだ。社会が弾力性を失い改革を阻止する勢力が台頭していることを示す。文政権の登場は、さらに全要素生産性を低下させる要因になっている。いわゆる「疫病神」となった。この事実は重大である。