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中国は、空前絶後の不動産バブルを引き起こし、未だにその渦中にある。バブル経済がいかなる後遺症をもたらすかは、日本経済のそれが証明している。中国の不動産バブルは、債務総額の対GDP比によっても明らかだ。中国は、すでに300%を上回っている。

 

米中貿易戦争による輸出減を補うべく、中国はさらなるインフラ投資を全額債務で行う羽目に陥っている。これは、債務がさらに膨らむことを意味する。GDPを押し上げる目的だけの投資ゆえに非効率投資である。債務返済は、最初から望めないものだ。まさに、泥沼経済である。

 

『レコードチャイナ』(6月11日付)は、「中国はなぜ日本と同じ轍を踏むことはないかー露メディア」と題する記事を掲載した。

 

中国メディア『参考消息』(6月7日付)によると、ロシアメディア『スプートニク』は、「中国が日本の轍(てつ)を踏むことがないと言える理由」とする記事を掲載した。この記事の特色は、中国に不動産バブルが起こっているという事実認識がゼロであること。こういう観察不十分な記事にありがちな、「中国万々歳」である。

記事は、「米国が貿易戦争と技術面での脅しを加えることによって中国経済を弱めようとしているが、これはかつて日本に使ったのと同様の方法だ」と分析。「しかし、中国には優位性があるため日本と同じ轍を踏むことはない」とした。

この記事では、「80年代の日本は経済の実力が最高になっていた時期だ」と紹介。「自動車やその部品、オフィス設備、電気製品などが世界中でよく売れており、米国は日本に対して巨額の貿易赤字となっていた。技術面でも日本が米国を超えると世界中の人から期待されていた。しかしその後、85年のプラザ合意から困難な状況に陥り始め、90年には東京株式市場が暴落し、そこから失われた10年が始まった」と指摘。「中国はこの隣国の失敗から教訓を学んでおり、一連の優位性も持ち合わせているため、日本と同じ轍は踏まない」と論じた。



(1)「中国が有する優位性について記事は、1つに「人民元は当時の円と違って、国際金融システムに深く溶け込んではいないこと」を挙げた。「中国は国際金融の義務という束縛を受けることはないため、プラザ合意のようなことは発生しない」と記事は分析。「米国に対する依存度も中国は当時の日本より低いため、平等という基礎の上で交渉することができ、独自の道を歩める」とした」

中国の貿易黒字のうち対米貿易で稼ぎ出しているのは、約6割にも達している。この大半が外資系企業の輸出によるものだ。当時の日本の輸出はすべて日本企業によるものだった。サプライチェーンの再編が行なわれれば、中国の輸出機能は大幅な低下を余儀なくされる。

 

人民元相場は、自由変動性でなく管理変動性である。中国の貿易黒字減少は、人民元相場に一方的な売り投機を誘い込むリスクを孕んでいる。それが、資金流出をもたらし一層の投機を生み出す要因になるはずだ。自由変動相場制では、相場の自律変動が期待できるが、管理変動性にはそのような自律的相場変動要因はない。一方通行の「人民元危機」を招く。

 

(2)「2つ目は、「中国には14億の人口という巨大な市場がある」こと。このため中国は、米国からの圧力に首尾よく対処することができ、中国政府は国内需要を喚起することで、全面的な小康社会を実現している」

 

中国は、少子高齢化の急激な進行が起こっている。14億の人口でも生産年齢人口(15~59歳)が減少し、名目GDP比の個人消費は39%(2017年)と日本よりも特段に低い。日本のバブル崩壊時(1990年)は、51%であった。

 

中国は、名目GDP比の個人消費が40%に満たない。この状況では、とても「小康状態」と言いがたい。米中貿易戦争の影響で失業者は増えており、社会不安が高まっている。

 

(3)「3つ目は、「現在の中国経済の規模はピーク時の日本と比べてもより強大である」こと。「現在の中国の輸出規模は80年代の日本よりずっと大きく、しかもハイテク製品に重点を置いている違いがある」とし、「輸出で大きな部分を占めているのが、パソコンやオフィス設備、集積回路、スマートフォンなど価値の高いものだ」と論じた」

 

ハイテク製品のブランドは、過半が外資系企業のブランドである。中国は、世界企業の「下請け」に過ぎない。外資系企業が、サプライチェーンを中国から他国へ移せば、中国からの輸出はゼロになる。こういうサプライチェーンの再編成が、米国政府の狙いである。中国の弱味は、「下請け」に過ぎない点だ。

 

自社ブランドのファーウェイは、米国政府から技術とソフトの輸出規制で欧州市場からの撤退を余儀なくされる。一貫生産でない中国ブランドの弱味が現れている。