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韓国の公務員は、朝鮮李朝の「科挙」の流れを汲むので、試験が厳しく何年掛けても挑戦する狭き門です。まさに学歴社会を象徴するような職業です。しかし、苦労を重ねて国家公務員になっても、時の政権からいつお払い箱になるか分りません。そういう不安定な職業です。

 

文政権は、朴政権など保守党政権で活躍した外交官をすべて「追放」してしまいました。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、という類いの追放です。韓国外交部(外務省)本庁から外れたビルに、これらの追放された外交官が、仕事も与えられずにたむろしているそうです。何と無駄な人間の使い方でしょうか。呆れるほかありません。

 

文大統領は、口を開けば崇高な話をしています。しかし、自分のやっていることは、無慈悲きわまりないことを平気でやる人物のようです。公務員は、時の政権が命令する業務に対して全力で取り組みます。それが理由で、政権が代われば追放される。これでは割の合わない仕事になります。

 

文政権は、「反日」のチャンピオンです。朴政権の手で合意に達した日韓慰安婦合意を、文政権の手で「ちゃぶ台返し」で空中分解させました。この合意をまとめるため努力した外交官は全員、追放の身です。

 

こうして、徴用工問題が起こっても、ベテラン外交官がゼロでは、日本との水面下交渉が不可能になったのです。かつて、韓国外交部で花形の日本大使館勤務は現在、不人気な職場になっています。

 

韓国が、公務員の使い捨てをやっているのには理由があります。

 

韓国の官僚制が、意識の面で近代官僚制になっていないことです。20世紀初頭のドイツの社会学者マックス・ヴェーバーは、官僚制を近代官僚制と家産官僚制の二種類に分けました。前者の近代官僚制は、業務判断が担当者によって変わらず、法律通りに執行する、としています。後者の家産官僚制は、担当者によって判断内容が異なるもので、専制国家の官僚に多いとしました。

 

韓国官僚制は、政権が勝手に法律の解釈を変えるので近代官僚制を家産官僚制に変質させているのです。社会派弁護士の文大統領ですら、官僚を家産官僚の低い位置に押し下げているのです。韓国社会には、前近代の専制的意識が残っていると考えるほかありません。執拗なまでに過去にこだわる。一種の精神的な偏気を感じざるを得ません。

 

反日もこの過去偏気性がもたらす「病気」です。何の落ち度もない外交官が、過去の政権で対日業務を担当したという理由だけで干されてしまう。これは、どう見ても官僚を家産意識で見ている証拠です。当の文大統領は、李朝意識ということになります。時代錯誤の大統領が登場したものです。