a0960_006618_m
   

日本政府は、7月4日から韓国の半導体・テレビ・スマートフォンなどの製造に欠かせない3つの先端材料の輸出を規制することにしたと産経新聞などが報じたことから大騒ぎになっている。昨年11月、韓国大法院(最高裁)は、戦時中の日本における徴用工への賠償を求める判決を下した。以来、日本政府はすでに解決済みの問題として反発、国際法違反として韓国政府に話合いを求めて来たが無反応で取り合わない姿勢を見せきた。日本政府が、これに業を煮やしての報復措置と受け取られている。

 

『朝鮮日報』(7月1日付)は、「『華為制裁の10倍』の衝撃、韓国政府は日本の報復に備えているのか」と題する社説を掲載した。

 

日本政府は半導体・テレビ・スマートフォンなどの製造に欠かせない3つの先端材料の韓国向け輸出を規制することにしたと産経新聞が報じた。日本政府はこれまで、これら3品目を輸出する際の手続きを大幅に簡素化する「ホワイト国」(優遇国)27カ国に韓国を入れていたが、今月4日から韓国を外す制裁方針を正式発表する予定だという。強制徴用賠償判決や慰安婦財団解散などが重なり、感情的な溝を深めてきた韓日関係が、ついに一触即発となりかねない局面に至っている。

 

(1)「(3品目とは)半導体ウェハーを思い通りの形状に削り、ディスクに細かい回路を描くのに使われるエッチングガス(高純度フッ化水素)とレジスト(感光剤)、スマートフォンやテレビのディスプレイ工程に使われるフッ素ポリイミドは日本が世界市場の7090%を生産している。半導体は昨年の韓国の全輸出の約20%を占め、サムスンのスマートフォンは現在、世界シェア1位。世界市場で販売されているテレビ の2台に1台はサムスンかLGのテレビだ。もし日本がこの3つのハイテク素材の輸出を遅延または中止すれば、韓国経済は壊滅的な損失が避けられなくなる。米中のはざまで揺れた「ファーウェイ(華為技術)制裁問題」で、韓国企業は打撃を受けることになるかもしれないと心配していたが、今度はそれ以上の大きな問題が日本で起こりつつある。日本の規制が現実のものとなれば、韓国経済が受ける打撃はファーウェイ制裁問題の場合の10倍になると言われている」

 

前記の3品目は、かねてから日本が韓国への報復策として噂に上ってきたものだ。韓国政府が、こういう動きを察知しながら日本政府へ対応しなかったのは怠慢というべきだ。

 

韓国国内では、「日本が一度、怒りの対応を始めたら大変な事態を招く」という警告の意見が噴出している。本欄は、そういう声を最大限、紹介してきた。秀吉の朝鮮出兵も、李朝の日本への対応の拙さが招いた事件という文書の存在まで指摘されている。むろん、本欄はそれを取り上げてきた。

 

敗戦後、日本は韓国の批判にさらされ続けてきた。「無反省国」「戦犯国」「帝国主義国家」「軍事国家」とあらん限りの紙つぶてが投げつけられてきた。日本は、それに対して反論もせずに耐えてきたのだ。鳩山由紀夫元首相のように、韓国が「もういいと言うまで日本は謝罪し続けろ」という意見もある。それは、少数説であろう。

 


(2)「日本政府はこれまで、「強制徴用賠償問題で韓国に差し押さえされた日本企業の資産が売却され、実質的な被害が生じたら報復措置を取る」と警告してきた。日本の今回の規制発表は、報復の引き金に指をかけて韓国側の動きに注視するという予告だ。今回のG20サミット主催国の首相・安倍首相が19カ国の首脳や国際機関代表と会いながら、最も近い国・韓国の大統領との対面は8秒間の握手だけで終わったことも、こうした措置を念頭に置いていたからだろう。日本の対応は十分に予想されていたが、韓国政府がどのような対策を立てているのか心配だ。ファーウェイ制裁問題が浮上した時、韓国大統領府は「各企業が自律的に対処すべき事項だ」と言ったが、その10倍と言われる衝撃が迫っていても、同じ言葉を繰り返すつもりなのだろうか」

 

日本の怒りが爆発するとなると、韓国経済も大きな影響が出る。韓国政府は、真摯な態度を持って日本政府へ対応すべきだ。あくまでも、国際法違反であるという日本の批判を無視するとしたら、日本が最終的に報復措置を取るのは致し方あるまい。