a1380_001541_m
   


米政権内の対中強硬派は、ロス商務長官、ライトハイザー通商代表部代表、ナバロ大統領補佐官(米通商製造政策局長)らである。中国の知的財産権保護や企業への補助金の政策が転換されたと確認できるまでは、対中関税政策を緩めない姿勢を鮮明に示している面々だ。その一人のナバロン大統領補佐官が、米中交渉は「良い方向に向かっている」と発言した。先月29日、米中首脳会談が開かれた後の最初の反応である。

 

『ロイター』(7月2日付)は、「米中協議は良い方向 適切な合意に時間必要ーナバロ米大統領補佐官」と題する記事を掲載した。

 

ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)は2日、米中通商協議は正しい方向に向かっているとした上で、妥当な合意に達するには時間を要すると語った。

 

(1)「ナバロ氏はCNBCとのインタビューで、「われわれは非常に良い方向に向かっている」とし、「大統領が述べた通り、協議は複雑で、時間がかかる。われわれは適切な合意を求めている」と述べた。トランプ大統領と中国の習近平国家主席は先月29日の会談で、5月以降停止していた通商協議を再開することで合意。トランプ大統領はさらに、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する禁輸措置を緩和する方針を表明した」

 

この記事通りとすれば、中国側に協議を成功させたいという動機が生まれているはず。それは、予想を上回るスピードで中国経済が悪化していることだ。あえて詳細は書かないが、本欄で取り上げてきたように景況悪化・信用危機・雇用不安など一刻も放置できない事態が進行している。患者の「病状悪化」である。

 

体力のあるうちに手術(経済改革)を受けるべしとの見方が、中国の交渉当事者間に出ているのかも知れない。一方で、強烈な保守派が対峙している。問題解決のカギは、中国内部の保守派vs改革派の綱引きであろう。

 

(2)「ナバロ氏は、ファーウェイを巡る措置について、第5世代(5G)移動通信網構築から排除する方針に変更はないと強調。容認するファーウェイへのチップ販売の規模は年間10億ドル弱の規模に過ぎないとし、「国家安全保障への影響はない」と擁護した。ファーウェイ創業者の任正非最高経営責任者(CEO)は2日、英紙『フィナンシャル・タイムズ(FT)』に対し、トランプ大統領によるファーウェイへの禁輸措置緩和について、事業に「目立った影響」はないとの考えを示した」

 

世間では、ファーウェイへの規制が緩和されるのでないかと期待と警戒の両派に分かれている。ナバロン氏は、「大した緩和でなくエサ程度」と言っている。警戒派は、トランプ氏の大雑把な方針で、対中交渉の土台が揺らぐことを懸念しているのだろう。

 


(3)「ナバロ氏はまた、中国を交渉のテーブルに着かせ、中国に米国産農作物を大量購入する約束を守らせるために、米政府は一部のチップ販売を認めたと説明。「われわれは政治的な小細工のために、何も犠牲にするつもりはない」と述べ、「中国の狙いは、5Gだけでなく、人工知能やブロックチェーン技術の独占であり、われわれはそれを認めない」と語った」

 

ナバロン氏は、中国の長期的な技術窃取計画を見通している。中国が、5Gだけでなく人工知能やブロックチェーン技術の独占を狙っていることを見抜いている。

 

(4)「元米通商代表部(USTR)法律顧問で、現在は法律事務所ホーガン・ロベルズのパートナーであるウォーレン・マルヤマ氏は、中国が慎重に協議してきた合意内容を5月に突如撤回したことは、米中に根本的な意見の食い違いがあることを示していると指摘。米中が合意に至れるかどうかは依然不明だとし、合意する場合にも数カ月かかる可能性があると述べた」

 

下線を引いた部分は、米中間の食い違いよりも、中国国内の対立が鮮明になった結果、反古にする動きに出たのだろう。そうでなければ突然、方向転換するはずがない。交渉過程で、中国が米国に対して、不賛成である旨を発言するはずである。中国は、そういう反応を示さずに「Uターン」した。米国が、中国に裏切られたと怒ったのだ。