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『ハンギョレ』は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がかつて発刊準備委員をした関係で熱烈支援の論調を張っている。左派メディアは、こういう見方をするのか、と参考までに取り上げてみた。

 

左派メディアを除いた韓国世論は、ほぼ今回の日本による輸出手続き強化が文政権の外交政策のミスによって引き起こされたとしている。これは、文政権にとってきわめて重荷であることを窺わせている。韓国でも、大法院による徴用工判決が双手を挙げて受け入れられていないことを示している。文政権にとっては、徴用工問題とそれがもたらした日本の輸出規制が、命取りになるリスクを孕んでいる。

 

『ハンギョレ』(7月6日付)は、「日本の報復が『韓国政府の責任』というとんでもない主張」と題する社説を掲載した。

 

呆れて開いた口がふさがらないほどだ。一部のマスコミと自由韓国党が、安倍政権の経済報復を韓国政府のせいにしているからだ。政府の安易な対処や誤った対応があるなら、それを批判し、覚醒を促さなければならない。しかし、韓国政府が経済報復を自ら招いたという主張は、事実関係に合わないだけでなく、政治目的経済報復をする安倍政権を助けることになる。

 

(1)「強制徴用被害の賠償は、韓国政府の決定ではなく、韓国最高裁(大法院)の判決だ。経済と無関係な最高裁の判決を理由に、(日本が)経済報復を行うのは常識に反するもので、これが今回の事態の核心だ。日本メディアも、安倍政権が今月21日の参議院選挙で保守層を結集し、改憲を発議できる3分の2以上の議席を確保するため、韓国バッシングをしていると批判している」

 

日本メディアの論調は当初、「自由貿易擁護論」の立場であった。だが、時間の経過と共に、韓国の戦略物資管理がずさんであることから、慎重な立場になっており、野党代表すら政府決断容認に傾いている。

 

私は一貫して今回の政府決定を支持してきた。理由は、「ホワイト国」の恩典を外すことが、輸出規制を意味しないという点だ。恩典を与えられた韓国は、あたかも既得権益と錯覚している。非「ホワイト国」が、日本へ苦情を申し立てていない以上、韓国も日本政府の決定に従うべきである。韓国が、騒ぎ立てるのは日本への甘えである。この甘えを一掃して、日韓関係は、他人同士であることを再確認して、一定の距離を置いた冷めた関係に立ち戻すべきなのだ。

 


(2)「『朝鮮日報』は4日付の社説で、日本政府の貿易報復を批判しながらも、「今回の事態は強制徴用者賠償をめぐる外交的軋轢のために起こった政府発の爆弾だ」と主張した。韓国政府の対日外交が貿易報復を招いたと、強引な主張を展開している。これに先立ち、2日付の社説では、「日本が韓国の技術弱点を狙って報復を加え、全世界が科学技術の開発に総力戦を繰り広げているが、私たちは(52時間労働制のために)研究・開発者たちが働きたくても働けない呆れた国になった」と主張した。安倍政権の経済報復と週52時間労働制を結び付けて、韓国政府を攻撃する想像力は実に驚くべきだ。『韓国経済』は3日付の社説で「韓国をこのように甘く見る日本の非常識と無礼を、韓国が自ら招いた側面が大きい」としており、『文化日報』も2日付の社説で「文政権が慰安婦合意と最高裁判所関連判決の遅延を積弊とみなし、処断を下したことも影響を及ぼしたと思われる」とし、「文大統領は、自分の過ちは自分で解決する覚悟で、安倍首相と交渉に乗り出さなければならない」と主張した。表向きでは日本を批判しているようだが、実は韓国政府に責任を転嫁している」

 

韓国最大の発行部数を誇る『朝鮮日報』は、文政権に対峙する報道姿勢を取っている。やりたい放題の文政権の「監視役」として貴重な存在だ。『韓国経済新聞』は、韓国メディアでは、知日派として公正な分析を行っている。

 

これまでの韓国では、日本側に立つ報道は御法度であった。それが、日本による「ホワイト国」外しの現実に直面して、文政権の滅茶苦茶な対日政策が改めて反省するきっかけになっているようだ。

 

(2)「自由韓国党も連日政府攻撃に乗り出している。今月2日、「日本貿易報復措置、輸出7カ月連続マイナス、『経済破綻』は文在寅(ムン・ジェイン)政権自らが招いた」というタイトルの論評を出したのに続き、ナ・ギョンウォン院内代表は4日、国会演説で「感傷的民族主義、閉ざされた民族主義に浸って、感情外交、軋轢外交で韓日関係を破綻させた」と主張した。キム・ムソン議員は3日、国会外交統一委員会で、文在寅政権が朴槿恵(パク・クネ)政権の「慰安婦合意」を覆したことで、日本との信頼が崩れ、国民が被害を受けていると強弁した」

 

自由韓国党は、朴槿惠(パク・クネ)政権の与党である。朴大統領の弾劾で党勢は大きく傾いていたが、文政権の失政とともに支持率を回復させている。次期大統領選では、十分に復権できるところまできている。今回の輸出規制問題は、文政権と与党にとって大きな打撃になろう。

 

(3)「一部マスコミと自由韓国党はとんでもない主張をやめるべきだ。政府の対応に誤りがあったとしても、事態悪化の根源である安倍政権の政略を越えるものではない。いくら現政権が嫌でも、このように事態をごまかすのは、国と国民いずれにも被害を与えかねない」

 

このパラグラフに、『ハンギョレ紙』の本音が出ている。下線の部分で、文政権の外交ミスを認めているのだ。文政権応援団も、内心は気が気でない様子だ。