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日韓関係が、現在のような混乱状況に陥った原因はどこにあるのか。朝鮮日報は、有識者による「紙面審査」できわめて有益な見解を述べている。結論を言えば、昨年10月の韓国大法院(最高裁)による旧徴用工賠償判決にあることは動かぬ事実だ。文大統領が、この判決を「神の声」と錯覚して、一切の政治行動を拒否したので、日韓に大きな対立を生むことになった。煎じ詰めれば、文在寅(ムン・ジェイン)その人が背負うべき十字架であろう。

 

『朝鮮日報』(7月12日付)は、「識者が朝鮮日報に提言、韓日基本条約に対する政府の立場を問いただせ」と題する記事を掲載した。

 

朝鮮日報読者権益保護委員会は8日に定例の会議を開き、朝鮮日報が先月報じた内容について意見を交換したもの。この記事を読むと、大法院が国家で結ばれた条約に介入したことが間違いであると指摘している。「司法自制原則」と言って、外交を巡る裁判においては行政府の判断を尊重するというのが、国際法における原則であるからだ。日本が、大法院判決を国際法違反と強調しているのは正しい。

 

(1)「日本による経済報復のきっかけとなった昨年10月の大法院(最高裁に相当)による強制徴用賠償判決を巡っては、韓国政府は自分たちの立場や考えはなく、大法院が決めたことなので関与できないという言葉を繰り返している。それなら大統領と政府ではなく大法院に対して問題を解決するよう日本に言えということか。2005年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は韓日国交正常化交渉に関する外交文書を公表したが、当時のイ・ヘチャン国務総理を委員長とする官民合同委員会は、強制徴用被害者への個人請求権は事実上消滅したとの結論を下した

 

文氏は、自己の「積弊排日」という政治目的にとって、大法院判決が渡りに船であった。これを徹底的に利用して日本を追い詰める方針であった。それが、韓国を「ホワイト国」から外す日本の戦略で逆転された。ドラマを見るような光景である。

 

(2)「この委員会には当時大統領府民政主席だった文在寅(ムン・ジェイン)大統領も政府側の委員として参加していた。朝鮮日報は、当時の、官民合同委員会による審議の根拠や結論などはもちろん、朴正煕(パク・チョンヒ)・盧武鉉元大統領当時、特別法を制定し徴用被害者に補償が行われた事実も伝えなければならない」

 

盧武鉉政権下で、強制徴用被害者への個人請求権は、事実上消滅したとの結論を下していた。文氏もこれを決める委員会のメンバーであった。その結論をひっくり返す大法院判決が出ても、文大統領は政治的に動こうとせず、混乱を傍観していた。その「罪」はきわめて重い。

 


(3)「政府は慰安婦問題の解決を目指す「和解治癒財団」を解散し、大法院は国家間の条約(1965年の韓日請求権協定)を認めない判決を下した。外交対立を意図的に放置したと言わざるを得ない。これらが日本に口実を与えた。日本政府にも責任はある。しかし政府の間違った外交政策によって非常に多くの国益が失われる事態を招いたにもかかわらず、これを十分に批判できなかった」

 

文政権は、慰安婦問題の「和解治癒財団」を解散し、大法院判決の影響を知りつつ動こうとしなかった。これは、外交問題を意図的に放置したことになる。これが、日韓対立を抜き差しならぬところまで追い込んだ。日韓首脳会談が開ける雰囲気でなかった。

 

(4)「尹徳敏(ユン・ドクミン)元国立外交院院長は、「国家間で締結された条約を覆す判決に果たして何の意味があるのか。国際法上の司法自制原則が守られなかったことは遺憾」と指摘した。司法自制原則とは、外交を巡る裁判においては行政府の判断を尊重するという国際法における原則だ。韓国政府が国際法を無視したという側面を明確にすれば、問題解決のきっかけをつかむことができる

 

文氏は、大法院判決を利用して、日本を追い詰める方針であった。だからこそ、日本からの呼びかけに応じなかった。ただ、日本がこれに対してどのように手を打つのか。そこまでは想像もしなかったのだ。ここが文氏の限界であろう。文氏がこの危機を乗り越える道は、「司法自制原則」に立ち返り、大法院判決に縛られずに行動する「自由度」を持つことだ。これができなければ、袋小路を歩むほかない。