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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、政治の師匠である盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領から「政治をやらない方がいい」と忠告されていたそうです。理由は、文氏が融通のきかない原理主義者であると、理由まで明示されていました。

 

文氏は大統領在任、すでに満2年を過ぎた現在、日韓関係で最大の危機を迎えました。外交危機が経済危機を誘発したのです。自らの排日という政治姿勢が招いた危機と言えるでしょう。文氏が、自らの政治生命を危機におとしいれている背景は何でしょうか。

 

私は3つあるように思います。

 

断絶リスク:先制的反応の失敗

淘汰リスク:変化に適応できない

阻害リスク:信頼と相互主義の喪失

 


以上の3つは、20世紀最大の歴史家と言われるアーノルド・トインビーが、『歴史の研究』の中からつかみ取った歴史の発展と衰退に関わるエピソードに酷似しているのです。トインビーは、一つの文明が新しい文明と出会った時、対応に2つあると指摘しました。

 

ゼロット派(狂信派)とヘロデ派です。前者は保守派であり後者は積極派です。文氏はゼロット派。日本の安倍首相は、ヘロデ派で積極的に取り組んでいます。この両者の取り組みでは、上手く行くはずがありません。反発し衝突するのは不可避です。

 

ゼロット派は、伝統的な殻に閉じ籠もりがちです。文氏が、韓国朱子学の申し子のように振る舞っています。「排日積弊」を推進している裏には、独特の優越感があるのです。文氏は、政治的には進歩派ですが、内実は保守派です。それは、先に掲げた3つのリスク(断絶・淘汰・阻害)をすべて体現しているからです。日韓関係の悪化は、前記3つのリスクを凝縮したものでしょう。その例を書いておきます。

 

断絶リスク:大法院判決が出た後、日本との交渉の道をすべて絶ってしまいました。

淘汰リスク:日本がどういう反応するか、全く予想もつかなかったのです。

阻害リスク:日本との関係がほぼ切れました。

 

文氏は、北朝鮮との交流に最大の政治エネルギーをつぎ込んでいます。そのために、日韓関係を踏み台にしたと言えます。これが、文氏の運命を暗転させたと思います。文氏は、日本=国内保守派=積弊という構図をつくって一括りに排除して、北朝鮮交流促進の夢を描いていました。リスクの大きい道を、なんのリスクヘッジも掛けずに進みました。それは、朴槿惠(パククネ)政権が余りにも不人気ゆえに、保守党が短期に息を吹き返すことがないと即断したからです。政治は生き物。その保守党が、どっこい生き返ってきたのです。