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韓国は、日本と半導体素材を巡る紛争で、米国へ仲裁の依頼をしました。結果は断られました。日韓双方が、米国の同盟国である以上、どちらかの肩を持つわけにいかなという理由でした。これは表面的なこと。米国に実害が及んでいないことが理由と見られます。

 

今回の半導体輸出規制問題は、日本としても引け時の判断が難しくなります。韓国の半導体生産が落込んで、世界のサプライチェーンを揺るがす事態になれば、日本へ批判の矢が飛んできます。それを防ぎつつ、日本の要求を最大限実現するには、まさに引き際のタイミングが勝負を決めると思います。

 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領には、「策」はなさそうです。豊臣秀吉の朝鮮出兵時、朝鮮水軍を率いて日本水軍を破った「李舜臣」(イ・スイシン)の偉業を称え、現代の「安倍水軍」を打ち負かすという「神風」を期待しているほどです。

 

文氏は、「李舜臣」を持出すほどです。手詰まりであることは明白です。米国へ送った大統領府の高官も、何らの成果もあげられませんでした。韓国は、「ホワイト国」の優遇措置を受けられなくなる不満を訴えるだけで、その原因については沈黙しています。原因は、韓国大法院の徴用工判決です。文氏は、日韓基本条約を骨抜きにする大法院判決を尊重すると言い続け、日本との話合いを拒否してきました。

 

この頑なな姿勢が、今回の日韓半導体素材を巡る問題を引き起こしました。韓国政府は、その認識があるので、日本からの「報復」を懸念していました。現実は、無策に等しい対応でした。文政権の対応が後手、後手になっている理由は、問題の本質を表面的に捉えるパターンに陥っているからです。

 

中国との間で揉めているTHAAD(超高高度ミサイル網)設置でも、中国の威嚇にまんまと乗せられて大失敗し、痛い目に遭っています。韓国の安全保障に関わる問題で、三つの約束をして文書(「三不」)で渡したのです。その場限りで、問題を解決できればよしとする「刹那的」な対応です。

 

実は今回、韓国は米国へ日本説得の仲裁を求めるべく高官を派遣しました。これは、深く考えて打った手とは思えません。苦し紛れに行ったものでしょう。これが、大きな外交的な落し穴、日本にとっては大きな「得点」になる可能性を秘めていると思います。その「得点」とは何か。あす発行する「メルマガ73号」で解明したいと思います。