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文在寅大統領は、日本による韓国への「ホワイト国」取消し問題を「非常時」と表現して、撤回を求めている。だが、なぜこういう問題が持ち上がったか。その原因を全く考えようとしない態度は、理解に苦しむところだ。原因があるから結果があるわけで、結果だけを取り出して騒ぎ回る姿は滑稽である。韓国のほとんどの言動は、原因抜きの結果論である。

 

『朝鮮日報』(7月14日付)は、「崔相竜氏、道徳性や善悪の二分法では何も解決できない」と題する記事を掲載した。

 

崔相竜(チェ・サンヨン)元駐日大使は74日に行った本紙とのインタビューで、1965年の国交正常化以降、最悪と言われている韓日関係について「首脳同士の信頼関係の崩壊が招いた結果であり、結局二人の首脳が結者解之(自分でまいた種は自分で刈り取るべき)しなければならない問題」と言い切った。崔相竜元大使は1998年に韓日関係の新たな道しるべを築いたと評価されている「金大中(キム・デジュン)小淵共同宣言」の準備に深く関与したほか、金大中政権では駐日大使(2000~2002年)として活躍した。

 

崔氏は、「今後、日本による追加の経済報復に続き、韓国による『日本企業の差し押さえ資産の現金化』にまで発展する場合、韓日関係は危険なパニック状態へと陥る恐れがある」との見方を示した。今年下半期の「ゴールデンタイム」を逃せば、両国関係は「修復不可能」に陥ってしまう可能性があると指摘する。

 


(質問)G20の前に文在寅大統領が韓日首脳会談の開催に対する意思を表明し、韓国政府が徴用工問題の解決策として「両国の企業が資金を拠出して賠償金を支払う案」を提案した。

 

(1)「韓国政府の発表案(11基金案)は意味ある代案だったが、あっけなく日本に拒否された。問題はタイミングだった。これまで日本の多くの提案に韓国政府が責任ある態度で回答してこなかったが、もう少し早い段階でこの案を提案し、日本と事前協議を持つべきだった。韓国外交の未熟さが出てしまったのだ。首脳会談も『日本の令和時代における両国関係の発展』『2020年の東京オリンピック』『北朝鮮問題における協力関係』など建設的な接点を名分に、より早い段階で協議すべきだった。そうできなかったことで、こうした事態を招いた」

 

ここでは、韓国外交の未熟さを指摘している。日本と事前協議すべきであったにもかかわらず、それを忌避してこういう事態を招いた。大統領府は、「86世代」という学生運動家上がりの政策素人集団であることが招いた混乱と言うべきだ。

 

(質問)韓国政府も日本に対する強硬姿勢を貫くものと思われる。

 

(2)「文在寅政権は道徳的優位という観点で韓日関係を見つめている。道徳性は非常に重要な価値観だが、外交を道徳化して相手国を善悪の二分法で見る場合は交渉が不可能で、どんな問題も解決することができない。道徳的に優位に立った方が寛大な姿勢を見せることで、名分・実利を同時に確保した前例が日本の植民地支配に対する反省・謝罪を具体化した「金大中・小淵宣言」だ。故・金大中元大統領は当時、日本の国会演説で『日本には過ぎ去った過去を直視する勇気が必要だ』と主張しながらも、戦後日本が平和や経済成長、韓国の通貨危機克服などに貢献した点についても感謝の意を表した」

 

文氏は、韓国朱子学に深く毒されており、自らを道徳者として高みに置き、日本を非道徳者と位置づける本質的な間違いを犯している。そのことに気付かない文氏は、すべてにおいて日本が譲歩すべきという錯覚に囚われている。「甘え」と呼んでも良かろう。文氏が、このまま譲歩もせずに進めば、韓国経済は混乱に見舞われる。この時点で、米国は仲裁に出てくるのだろう。