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けさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

4~6月期もマイナス成長?

S&P企業格付け引下げ示唆

韓国の外交専門家は日本寄り

日本は最後の米国仲裁に乗る

 

韓国経済は厳しい局面にあります。今年1~3月期の実質GDP成長率は、前期比マイナス0.4%でした。内需不振が続いている上に、頼みの輸出不振が加わりました。4~6月期のGDP統計は、7月下旬の発表と見られます。1~3月期の経済状況からさらに悪化して、2期連続のマイナス成長が予想されるほどです。

 

こういう状況下で、日本が韓国向け輸出の半導体製造の3素材について、輸出手続きの審査を厳重に行う旨を発表しました。3素材とは、次のようなものです。

エッチングガス(高純度フッ化水素)、

レジスト(感光剤)、

フッ素ポリイミド

 

日本が世界市場の70~90%を生産している独占的な強味を持つ半導体材料です。個別審査で最大限90日という期間を設けたので、韓国は「輸出抑制」措置として反発しています。日本は、あくまでも通関手続きであると説明しています。このように、安全保障に関わる戦略物資の韓国向け輸出は、これまで「ホワイト国」とされ一括処理で済まされてきました。韓国は、この「ホワイト国」27ヶ国の一カ国でしたが、この特典を外されました。正式には7月末の法改正で正式決定となります。

 

韓国が、この「ホワイト国」から外される理由は、戦略物資管理が厳格に行われていないという点が指摘されています。そこで、日本が輸出審査を厳重に行うとしています。韓国は、この輸出通関手続きの煩雑化が「逆非関税障壁」の一種になるとしています。

 

日韓関係が安定していれば、非「ホワイト国」でも通関手続きが順調に進み、輸出抑制という懸念がなくなるはずです。日本は、これによって韓国の「反日行動」を抑制する効果が期待できるでしょう。

 

7月以降、日本の「ホワイト国」外しによって、韓国主力産業の半導体(全輸出の約20%)に陰りが出る事態になると、問題は世界中のサプライチェーンに大きな影響が出てきます。日本が、「半導体3素材の輸出にブレーキを掛けた結果」として、加害者の席に座らされるリスクを抱えます。そこで、日本としては難しい選択を迫られます。この問題の解決私案は、最後で取り上げます。

 


4~6月期もマイナス成長?

厳しい韓国経済の実態を見ていきます。4~6月期のGDP統計が発表される前に、韓国政府はそれとなく「景気悪化」を示唆する発表をしました。

 

7月3日、韓国政府は2019年の実質GDP成長率見通しを半年前より0.2ポイント引き下げ、2.4~2.5%としました。常識的に言えば、4~6月期の経済データが良くない結果、政府が早手回しに経済成長率の下方修正に踏み切ったと読むべきでしょう。

 

次のような予測データが発表されました。参考までに政府発表データを上げておきます。基準は前年比です。

 

最新の2019年韓国経済 主要予測データ

民間消費 2.4%増加   前回(2.7%増)

設備投資 4.0%減少   前回(1.0%増)

建設投資 2.8%減少   前回(2.0%減)

輸出   5.0%減少   前回(3.1%増)

輸入   4.1%減少   前回(4.2%増)

経常黒字 605億ドル   前回(640億ドル)

GDP  .4~2.5%  前回(0.2ポイント引き下げ)

 

これらのデータを見て気付くことは、設備投資(4%減)と輸出(5%減)の落込みが大きいことです。それだけに景気への影響力は大きく、雇用にしわ寄せが出てきます。それは、民間消費に波及します。政府予想では、ここにゲタを履かせて.4%増にしていますが、達成は不可能でしょう。

 

そのように見る理由は、最低賃金の大幅引上げが雇用状況を悪化させており、アルバイトすら高い競争率で、必ず採用される保証はありません。これが、若者の海外旅行熱に水を掛けているほどです。

 

その上、頼みの個人消費にさらなる警戒信号が出てきました。日韓対立によって、半導体生産が滞る事態になれば、韓国経済は総崩れになります。すでに、自動車は低収益にあえいでいます。ここで、最後の砦の半導体に黄信号が出れば、韓国経済は沈没しかねません。

 

こういう危機感がひしひしと迫る中で、個人消費が前年比で2.4%増(前回予想2.7%増)に止まれるか疑問です。結局、今年の実質GDP成長率は、政府予想の2.4~2.5%でなく、さらに下がるという見方が出てきました。(つづく)