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韓国大統領府は突然、対日攻撃姿勢に転じたが危機感の裏返しである。与党の関係者が、日本主張の「第三国仲裁委設置案」受入を全議員にメールするなど焦りの色を強めている。韓国の財界人や工学者で構成された韓国工学翰林院も、日本と真っ向勝負に出れば韓国の敗北必至と見解を発表した。この間、日本政府は一切の反応を示さず無視している。

 

『朝鮮日報』(7月16日付)は、「第三国仲裁委受け入れ、韓国与党関係者が初めて主張」と題する記事を掲載した。

 

韓国与党の側から、強制徴用賠償問題に関する日本の「第三国仲裁委立ち上げ」要求を受け入れるべきだという声が初めて上がった。

 

(1)「国会事務総長を務めて4選の元議員でもある「共に民主党」金星坤(キム・ソンゴン)江南甲地域委員長は14日、同党の議員らにメールを送り「最後の解決案である第三国仲裁案を受け入れて、ひとまず火急の問題を処理し、じっくりと韓国側の論理を国際社会に説明して認められるよう努力しよう」と提案した。15日に与党「共に民主党」側が明らかにした。

 

与党の元有力議員が、現状を見かねて「第三国仲裁委設置案」の受入れを同党の議員らにメールした。大統領府が受入れるかどうかは不明だ。

 

(2)「金・元議員は「韓国が負けそうだから仲裁委案を受け入れないというのは偏狭そうに見え、仲裁委に進んだからといって必ず韓国が不利だというのも杞憂(きゆう)」「審議の過程で国際社会に日本の植民地支配の違法性を伝え、なぜ韓国大法院(最高裁に相当)があのような判決を下さざるを得なかったかを説明するチャンスにもなるだろう」と主張した。日本政府は、韓国大法院の徴用賠償判決以降「仲裁委立ち上げ」を要求してきており、韓国政府が応じないことから、今月1日に輸出制限措置を発表した」

 

日本の植民地支配が、法的な側面で瑕疵はない。占領したわけでなし英米の承認を得て、李朝と合法な条約に基づく。ただ、韓国側は「強制されたもの」と主張している。この反発が戦後一貫して、日韓の対立の原点である。これを再び、国際司法に訴えるというのだ。韓国の意図は何であれ、第三国の法的は判断を仰ぐことが必要だ。

 

(2)「金・元議員は15日、本紙の電話取材に応じて「一歩間違えると、ホワイト国からも排除される津波が押し寄せかねない。津波を防ぐため、あらゆる案を全て検討すべきで、その中に仲裁委も含まれるべき」と語った。その上で金・元議員は「韓国大統領府(青瓦台)ではこの案に消極的だというが、何が国益に合致するか、目的に応じて選択するのが正しい」と主張した。ただし、金・元議員は「仲裁委に向かうとしたら、日本が韓国を相手にしたホワイト国排除や輸出規制などを撤回するという前提を確実にすべき」とも指摘した」

 

韓国大統領府は、「第三国仲裁委設置」で審議されたら負けるという恐怖感を持っている。そうなると、韓国大法院の判決自体が間違いであることを認めているようなものだ。日本政府が、そんな根拠薄弱な判決を受け入れるはずがない。

 

(3)「金・元議員は、「英国や米国は、外交問題で裁判所の立場が政府と違う場合に『司法制限』という、政府の立場を尊重してくれる制度がある。現在、韓国政府は裁判所と日本の間で挟まれているが、立法府が制度を補完して困難を解決してやるべき」とも語った」

 

ここで言う「司法制限」とは、「司法自制原則」を指している。司法は、国家の結んだ条約について判断を下さないという原則である。当然のことだ。

 


『中央日報』(7月16日付)は、「韓日の対立を深めるべきでない 韓国の被害が大きい」と題する記事を掲載した。

 

韓国の財界人や工学者で構成された韓国工学翰林院の会長団の現実診断は厳しかった。日本の経済報復をめぐる韓日間の対立が深刻化し、近く企業の生産ラインが停止する状況だが、出口は見えない。工学翰林院の指導部は12日、中央日報に対し「韓国は現在のように真っ向から対抗すべきではない」とし「政治的・外交的な力を見せるべき」と強調した。

 

(4)「権会長は、「韓日間の葛藤が対立関係に向かっていくと、弱者の韓国の被害が最も大きくなるしかない」とし「今回の紛争の本質は経済でなく政治・外交であるため、いつよりも政治的、外交的な力を見せるべき時だ」と強調した。

(5)「会長団は韓日葛藤のような経済紛争を防ぐためには技術の独立と分業に対する国家的な戦略があるべきだが、そうではないと診断した。朴東健元社長は「すぐに国産化や技術独立のような話が出るが、強大国でない韓国がすべてのことをすることもできず、そうなることを世界は放っておかない」とし「我々の弱点に対する明確な認識に基づいて輸入するものは輸入し、協力することは協力しなければいけない」と述べた。権会長は「まだ差がある素材分野は技術確保をしようとしても長い時間がかかる」とし「これまで戦略を立てなかったわけではないが、政権が5年ごとに交代するため、持続的な実行力が伴わなかった」と評価した」

韓国政府は、化学産業を興すと宣言しているが、いかに困難かを諭している。下線をつけた部分は、日本と張り合わず「共存共栄」を図るべきと示唆しているのだ。