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韓国経済を支える輸出が、この6月まで連続7ヶ月の減少となった。この結果、日韓関係の悪化による半導体製造の3素材の輸入減を見込んで、今年のGDP成長率は1%台に低下するとの悲観論が出てきた。09年以来の低成長は免れないとしている。

 

『韓国経済新聞』(7月16日付)は、「最悪の状況に備えた経済運用が必要になった」と題する社説を掲載した。

 

 (1)「日本の核心素材輸出規制により、半導体の生産と輸出減少が可視化すれば、今年の韓国の経済成長率は1.73~1.96%に落ちる可能性があるという民間シンクタンクの見通しが出てきた。文在寅(ムン・ジェイン)政権で初代国民経済諮問会議副議長を務めた金広斗(キム・グァンドゥ)西江(ソガン)大学客員教授が院長を務めている国家未来研究院であることからさらに目を引く。こうした警告はモルガン・スタンレー(1.8%)野村(1.8%)、INGグループ(1.5%)など海外からも出ている。内外の他の見通し機関も同調する兆しだ」

 

韓国国内から初めて2%割れの成長率予測が出てきた。日本からの半導体製造の3素材の輸入減という不確定条件を加味している点を割引く必要はあろう。ただ、海外の3機関からは1%台の予測が出ているから不気味な感じは否めない。


(2)「日本の経済報復が表面化する前、韓国政府が米中貿易戦争にともなう輸出減少と投資不振などにより、それまでの2.6~2.7%から0.2ポイント引き下げ、.4~2.5%の目標値に比べても大きく低い。下半期の経済政策方向の前提条件から揺らぐ状況だ。1%台の成長率が現実化すれば金融危機で0.7%にとどまった2009年以降で最悪の成長率を記録することになる」

4~6月期のGDPは7月下旬の発表になる。輸出減の状況から言えば、マイナス成長の予測も否定できない。

 


(3) 「国家未来研究院が予想した1%台の成長率は「追加補正予算効果」まで含めたものだ。政府が特段の対策を出さなければ経済がさらに悪化する可能性を排除できないという警告だ。経済環境、雇用状況、市場受容性などを考慮して最低賃金の速度調節に出たように、現実と乖離があるならばどのような経済政策も修正・補完するという姿勢が必要だ

 

文政権は最近、企業寄りの政策に舵を切っているから、一部に規制緩和政策に出る可能性もあろう。来年4月の総選挙を控えて事態の悪化を傍観できないからだ。一方、3度目の金融危機が襲う懸念も否定しがたい。企業の不況抵抗力は急激に落ちてきた。


(4)「韓国政府が非常な覚悟をするならば週52時間労働制だけでなく企業が耐えがたいと訴える各種労働・環境・安全規制などに対しても前向きなアプローチを宣言できない理由はない。企業経営にリスクや不確実性を抱かせる法適用と立法を一時的に猶予するのもひとつの方法だ。経済が手のほどこしようもなく墜落する前に韓国政府は下半期の経済政策を最悪の状況に備えた非常経済運用に全面転換しなければならないだろう」

 

週52時間労働が、不況を加速化しているとの批判も絶えない。ここまで、手直しするとなれば、労組の政権離れが決定的になって、4月の総選挙を戦えないという問題が出てくるだろう。

 

(5)「 韓国政府の認識は現状を「最悪の危機」と考える企業の判断とは距離があるようにみえる。米国の仲裁を引き出すためにワシントンを訪問した青瓦台(チョンワデ、大統領府)の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長が「国債報償運動」を取り上げ、チョ・グク民情首席秘書官が「東学革命」を思い起こさせることからしてそうだ。青瓦台が現実的な解決策を見いだす工夫はせず何を考えているのかわからない」

大統領府の高官は、経済への認識が希薄な集団である。これが、経済悪化への認識を遅らせる要因になっているので、責任逃れの屁理屈を弄ぶ危険性が高い。