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中国の年金財政ほど複雑怪奇なものはない。過去、年金積立金が流用されたりして、あるべき財源が存在しないなど信じがたい杜撰な管理がされている。これまで、海外メディアが中国の年金財源を報道してきたが、多くは、すでに赤字というもの。

 

『フィナンシャル・タイムズ』(2018年9月13日付)は、「中国、福祉財源の賃金税徴収強化」は、次のような報道をしてきた。

 

「人口の高齢化と労働力の縮小を背景に、中国の公的年金制度は大きな財源不足に直面している。17年時点で社会保険の支出額は賃金税の徴収額を4650億元(約7兆4400億円)上回り、差額は一般税収で補てんしている。国泰君安証券によると、差額は20年に1兆8000億元(約28兆8000億円)、30年には3兆2000億元(約51兆2000億円)に拡大する見通しだ」

 

年金財源不足は、次のような推移をたどる予測である。

17年は、約7兆4400億円

20年は、約28兆8000億円

30年は、約51兆2000億円

 

前記の『FT』では、すでに中国全体の年金財政は赤字になっているはずである。それにしても、膨大な赤字である。今後の経済成長率の低下を考えれば、果たして年金制度を維持できるのか疑問である。

 


一方、都市勤労者の年金財政はまだ黒字という記事が現れた。

 

『日本経済新聞 電子版』(7月17日付)は、「中国の年金積立金 2035年に枯渇 長期試算に衝撃」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国が公的年金の財源拡充を急いでいる。政府系研究機関が「会社員らが加入する公的年金の積立金が2035年に枯渇する」との試算を公表し、若者らの間で年金への不安が広がっていることに対応する。不安のきっかけは、中国社会科学院が4月に公表した報告書だった。サラリーマンら34千万人が加入する「全国都市企業従業員基本年金」に関し、19~50年の収支状況を試算した」

 

サラリーマンら34千万人が加入する「全国都市企業従業員基本年金」の年金財政報告である。これは、都市サラリーマンの年金財政であるから資金の横流しはないのだろう。

 

(2)「報告書によると、高齢化で支出の伸びが収入の伸びを上回り、単年度の収支は19年の1062億元(約17千億円)の黒字から28年に1181億元の赤字に転落する。赤字幅は年々拡大し、50年には11兆2774億元まで膨らむ。19年末に4兆2600億元ある積立金は27年に6兆9900億元に増えるが、35年には底をつく。それ以降は毎年の赤字をすべて財政で補填しなければならない」

 

年金資金の運用は、国内金融市場でしかできない仕組みになっているのであろう。海外への資金流出を防止してきたので、年金資金も例外でなかったはずだ。外貨準備高3兆1000億ドルを守るための資本規制が、こうして年金財政破綻への危機をもたらしている。中国経済を総合的に観察すると、完全な落第状態になっている。