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文在寅大統領は18日、与野党代表と会談して「覚書」を発表した。問題は、文氏自身が日本と直接交渉の場に立つかとなれば、かなりの疑問符がついている。「徴用工問題では、被害者の同意と国民感情を考えて」という予防戦を張っている。ただ、日本へ「ホワイト国」除外を要求するだけという「原則論重視」の文大統領にいささかの変化もなさそうだ。

 

『朝鮮日報』(7月19日付)は、「『日本は報復を撤回し外交的な解決に乗り出せ』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領と与野党5党代表が18日午後、青瓦台で会合を開き、日本の半導体素材輸出規制への対策などを論議した。自由韓国党の黄教安(ファン・ギョアン)代表と、正しい未来党の孫鶴圭(ソン・ハッキュ)代表は「政府が韓日首脳会談開催と対日特使派遣を通じて日本の報復問題を外交的に解決しなければならない」と主張した。しかし、文大統領は「特使と高位級会談は解決法になればいつでも可能だ」とし、「しかし無条件に派遣したところでうまくいくということではない。(両国間)協議の末に解決の方法として論議されなければならないだろう」と答えた」

 

下線部分は、建前論である。事前協議が必要なことは当然である。文氏は、先のG20大阪では、事前協議なしの日韓首脳会談を提案していた。

 

(2)「文大統領は同日、冒頭の発言で「最も至急かつ重要なことは日本の輸出制限措置に対して、直ちにわれわれがどのような対応を取るか、主力製造産業で核心素材部品の行き過ぎた日本依存をどのように低下させるかということであって、一緒に知恵を集めていきたい」と語り、対日依存度を下げ、技術自立をしなければならないと主張した」

 

文氏は、短期の問題(「ホワイト国」)と中長期の課題(対日依存度の引下げ)を同時に取り上げ、議論を混同させている。

 

(3)「野党4党代表らは全員「対日特使」派遣に言及した。黄代表は「対日特使を急がなければならない。大統領は困難であってもトップダウン式で行わなければならない」と主張した。孫代表も「日本に李洛淵(イ・ナクヨン)首相ら専門性と権威を有する特使を送って懸案解決のきっかけをつかんでほしい」と話した。二人の代表は文大統領が韓日首脳会談を開催し、直接外交的解決に乗り出すよう求めた。しかし文大統領は「被害者たちの同意と国民の共感が基本」と答えた

 

 

野党代表は、文氏が日韓首脳会談を開催して、直接外交的解決に乗り出すよう求めたが消極姿勢である。日本から徴用工問題に関する「第三国仲裁委設置」を要求されるからだ。文氏には、大統領としての「決意」がないことを示している。「泥を被る」という一時的には国民から不評でも、真に国家の利益になる道は何か。そういう見極めができないお人とお見受けする。気が弱いのだろう。自分の考え方を国民に説く勇気がないのだろう。「反日演説」では、あれだけ激しく日本を批判するが、自身に害が及ぶような問題で逃げ腰である。

 

来年4月の総選挙を目前にした現在、日本と直接交渉する得失を計算に入れているに違いない。そうなると、ただ「反対論」を叫んでいた方が無難という選択肢もあるからだ。だが、韓国経済がさらに落込んで行く中で、国民が「反日」だけの政府に満足しているとは思えない。

 

さらなる失業者増加で風向きが変わり、「無能政府打倒」になる公算が強い。国民感情は、刻々変わるものだ。いつまでも、「国民の同意」という綺麗事を言って事態解決の機会を回避していれば、逆に国民の直撃弾を浴びるであろう。大統領としてのリーダーシップを発揮し、国民を説得することも仕事なのだ。