韓国で中立立場の『聯合ニュース』が、いたずらに日本との対立を続ける無益さを報道するようになってきた。国内では、「日本製品不買運動」が派手に報道されて「反日」を煽っている。だが、不買は一時的な鬱憤晴らしになっても、これで日本が譲歩する訳でもない。虚しさが募るだけである。
韓国が、現在の日韓対立を収拾するにはどうするかだ。自己主張のみでは、軋轢を増すばかりである。『聯合ニュース』(7月19日付)は、次のように指摘している。
「関係の立て直しに向けては、まずは韓日間で最低限の対話チャンネルを復活させ、問題の解決を巡り2国間で虚心坦懐(たんかい)に議論する必要があると指摘される。また、韓国政府は日本に不当な報復措置の撤回を強く求めながらも、戦略的判断に基づいた対応を取るべきだとの声も次第に強まっている」
下線をつけた部分は、韓国政府が日本に妥協せよと迫っている。日本側の立場からすれば、韓国を「ホワイト国」から外さざるを得ない事情がいくつもある。原因をつくったのは韓国だ。自国の行った日本への「非礼」の数々を忘れた振りをするのでなく、改めることである。それが、「戦略的な判断」というのであろう。
『中央日報』(7月19日付)は、「韓国、日本の経済報復には厳重対処するものの徴用問題には交渉力発揮すべき」と題するコラムを掲載した。筆者は、朴チョル熙(パク・チョルヒ)/ソウル大学国際大学院教授である。
(1)「韓国政府が強制徴用判決に対する後続対策を出すことができないなら、(日本は)2次・3次報復措置を出す可能性が高い。もちろん日本も損害を受けて痛みはあるが、韓国のほうがはるかに大きな苦痛に耐えなければならない「非対称的被害」という点を見落としてはいけない。韓国が世界貿易機関(WTO)に提訴して正当性を訴えるのは当然だが、結論が出るまでに2~3年はかかるので直前の実効的対策にはなりえない」
日韓が対立すれば、韓国が「非対称的被害」で大きな損害を被ることを指摘している。だから、韓国は無益な対抗をすべきでないと説いている。
(2)「 韓国政府は日本の輸出規制措置が「輸出禁止措置」ではなく「輸出制限措置」であることをよく分かって対処する必要がある。煩わしい手続きが増えて納品期日が遅れても日本が輸出をしないということではない。過度に大騒ぎする必要はない。日本が短期間に輸出規制措置を引っ込める可能性が高くない状態で、韓国政府と企業は輸出規制が過度に強硬一辺倒の原則主義に流れないように日本と円滑な疎通を持続していく必要がある」
非「ホワイト国」扱いは、「輸出禁止措置」ではなく「輸出制限措置」であることを説明している。それ故、韓国が強硬一辺倒で日本に対応することは、無益であると指摘している。
(3)「日本と妥協できる部分は妥協し、韓国側が与えられるものは与える交渉の技術を発揮する時だ。日本が要求してきた福島近隣8県の水産物禁輸措置と関連し、日本が輸出品目を全数調査するという条件で一部解除するのも友好的ジェスチャーになりえる。WTOで勝訴した状態なので、優位に立った交渉が可能だ」。
韓国は、福島近隣8県の水産物禁輸措置を「全数調査」を条件に緩和することも必要としている。これを糸口に、日本との交渉を始めるようにと「知恵」をつけているのだ。
(4)「 何より強制徴用判決に対する政府の後続措置を真剣に考慮するタイミングがきた。日本と事前協議のない韓国の拙速な代案提示はかえって日本をさらに刺激しかねない。実質的に両国が受容できる代案の摸索に積極的に取り組まなければならない。どんな形であろうと韓国政府が含まれない措置は日本が応じる可能性がほとんどない」
韓国は、徴用工問題で日本が受入れ可能な案を事前に示して反応を見るべきとしている。一方的に韓国案を提案しても、日本が拒否するだけだと指摘する。この辺り、文大統領よりはるかに柔軟である。日本は、韓国良識派がこういう動きをしていることを知っておくべきだろう。
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