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韓国は迂闊だった。これほど日本の技術に依存しながら、日本をメチャクチャに批判してきた。今、そういう過去を悔いているだろう。世界中で、日本を馬鹿にできるのは韓国だけ、と妙な自信を持ってきたほど。その馬鹿にされてきた日本が、伝家の宝刀を抜く場面にきた。

 

韓国は、日本にどれだけ技術的に依存しているかを調査した結果、これまでの日本に抱いてきた「道徳的」優越感が吹き飛んだ衝撃を受けている。日本からの輸入依存度90%以上の品目が、48品目もあることが判明したからだ。

 

私は、技術貿易収支の黒字額から推測して、韓国は日本の「技術属国」と表現してきた。日本の技術貿易黒字は世界2位である。韓国は、むろん赤字だ。こういう客観的な事実を無視して、日本を感情的に揺さぶってきた結果が、今回の事態を生んだというべきである。日本に対する謙虚さが足りなかったのだ。

 

『聯合ニュース』(7月28日付)は、「劣勢の韓国産業、対日輸入依存度9割超が48品目=輸出規制で危機」と題する記事を掲載した。

 

韓国の民間シンクタンク、現代経済研究院が28日発表した報告書によると、韓国の対日輸入依存度が90%以上の品目は昨年48品目で、輸入額は計27億8000万ドル(約3020億円)に上った。日本が半導体材料などの対韓輸出規制の強化に加え、輸出管理で優遇する「ホワイト国」から韓国を除外した場合、食品や木材を除くほぼ全ての産業が影響を受けることになり、日本より劣位にある韓国の多くの産業が危機にさらされていることが分かった。

 

(1)「韓国が日本から輸入する品目は計4227品目。輸入依存度は紡織用繊維が99.6%、化学工業の生産品が98.4%、車両・航空機・船舶および輸送機器関連品が97.7%などと高かった。対日輸入依存度が50%以上の品目は253品目で、輸入額は158億5000万ドルに上った。さらに、国の輸出競争力を示す「貿易特化係数」(TSI)を分析した結果、重化学工業の大部分で韓国が日本より劣勢であることが分かった」

 

対日輸入依存度の高い産業を整理して表示する。

紡織用繊維               99.6%

化学工業品               98.4%

車両・航空機・船舶および輸送機器関連品 97.7%

 

化学工業と精密工業では、韓国は完全に日本技術の「支配下」にある。韓国が、日本の特許に触れず独自技術を開発することは、かなりの時間と資金を必要とする。半導体製造の3素材は、化学工業品である。

 

下線を引いた貿易特化係数とは、ある品目の貿易黒字額(輸出額-輸入額)の貿易総額(輸出額+輸入額)に対する比率として計算され、-1~+1の間の値をとり、+1に近いほど国際競争力が高い、と評価するもの。この算式を考案したのは、日本人エコノミストの故・金森久雄さんと記憶する。経済白書の分析で考案したもの。この貿易特化係数で、韓国は重化学工業の大部分で日本に劣っていることが判明した。

 


(2)「半導体産業では日本との競争力が急速に低下し、韓国が「絶対劣位」にある。対日輸出額は2000年の31億7000万ドルから18年に12億4000万ドルと急減した一方、対日輸入額は同期間に42億9000万ドルから45億2000万ドルに小幅上昇した」

 

半導体では汎用品(メモリ)では韓国が競争力を持つ。だが、半導体高級品の「非メモリ」のシステム半導体では日本が「絶対優位」である。全自動運転車など高度の技術を要する分野は、システム半導体の領域である。生産量は少ないが高価な半導体である。どっこい、日本の高級半導体技術は生きているのだ。

 

(3)「自動車産業でも日本との差が急拡大している。00年に約1000万ドルだった対日輸出額は18年に3000万ドルに増加したが、対日輸入額は同期間に4000万ドルから12億3000万ドルと30倍近く増えた。日本に競争力で劣る産業が多いため、日本の輸出規制強化によって韓国産業が危機に立たされ、経済成長も脅かされると報告書は指摘した」

 

日本の自動車部品産業は、世界一の競争力を持つっている。ドイツのボッシュ社と日本のデンソーなどトヨタ系自動車部品会社は双璧である。韓国自動車企業が、日本から部品を輸入するのは当然であろう。

 

韓国政府は、世界に冠たる日本製造業の底力を軽視してきた。「灯台下暗し」と言うが、余りにも日本の実力を知らなすぎた。日本の過去だけに関心を持って、現在について無関心であったことの咎めが出ているのだ。韓国は、謙虚になることが世界で生存できる条件である。

そう、謙虚という道徳を身につけることがもっとも必要である。