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韓国政府は、政府高官を米国へ送り日韓紛争を訴えたが、仲裁に出ようという要人は現れず失望感を深めている。経済副首相は、報復策をとることはしないと、静観する姿勢を見せている。

 

『中央日報』(7月30日付)は、「仲裁しようというワシントンの要人はいなかった」と題する記事を掲載した。

 

 日本の「ホワイトリスト(輸出優遇国)」除外という貿易戦争の拡大が迫っている。我々は米国を説得するために総力を傾けた。政府・国会・民間代表団20人余りがワシントンを相次いで訪れた。

(1) 「兪明希(ユ・ミョンヒ)交渉本部長通商産業本部長、金鉉宗(キム・ヒョンジョン)青瓦台(チョンワデ、大統領府)国家安保室第2次長と丁世均(チョン・セギュン)元議長を含めた国会代表団、対外経済政策研究院など民間代表団が米政府・議会・シンクタンクを全方向から接触した。結論は終始一貫していた。「米国が介入や仲裁をすることはない。両国がうまく解決してほしい」だった。

米国要人が、韓国の訴えを聞いても仲介を回避しているのは、韓国が訴えるだけで、その原因である徴用工問題の認識がないからだろう。この点の解決なくして「ホワイト国」関連問題は解決しない。韓国は、その点について気付こうとしていないのだ。

 

(2) 「マーク・ナッパー国務副次官補代行(日本・韓国担当)は25日に会った韓国議員にややつっこんだ内心を見せた。ナッパー副次官補代行は「日本政府と企業からかなり以前から韓日葛藤について聞いていた。韓国政府と企業家にも会って両国の立場は十分によく知っている」と話した。また「米国がどちらか片方に立って仲裁をすればもう片方の同盟と関係が損なわれかねない。米国ができる最善のことは韓日両国が対話できるように環境づくりをすること」と話した。米国の役割は韓日対話を促したり環境を整えたりする程度だという意味だ。トランプ式表現では「文大統領も良くて、安倍も特別な人」だからだ。

韓国は、徴用工問題が国際法違反の判決であることを知るべきだ。司法が、条約に介入することは御法度という「司法自制の原則」を無視したところに問題の根源がある。

 


(3)「ナッパー副次官補代行のように韓日葛藤を見慣れた者にとっては「韓日問題への介入は一筋縄ではいかないうえに、良い結果を見ることもない」という考えが固定化している。今年初めから多方面のチャネルを通じて韓日関係に対する懸念を伝えていたにもかかわらず、事態だけが悪化したことに対する疲労感も根底にある 結局、我々は日本の戦争拡大に一人寂しく対抗しなければならない。日本のホワイトリスト除外が現実化される場合、年間200億ドル(約2兆1800億円)の被害対策から用意しなければならないだろう」

 

下線を引いた部分は、米国が今年初めから韓国へ懸念を伝えていたにもかかわらず、韓国が何らの対応も取らずにきた結果である。一方、韓国政府はこの点を指摘されれば、グーの音もでない

 

洪副首相は、次のよう語った。『韓国経済新聞』が7月30日に伝えた。

 

(4)「ホワイトリストからの除外が現実化すれば輸出規制対象が拡大する恐れがある」とし「すべての可能性を念頭に置いて徹底的に備えている」と強調した。輸入先の多角化、国内生産の拡充、国産化、関連規制の合理化および迅速処理などを推進しているという説明だ。ただし「日本に対して我々も相応する措置を準備しているか」という質問には「不当な措置には断固として対応していかなければならないが、対応-逆対抗の悪循環は両国双方にとって決して望ましくない」と話した(『韓国経済新聞』7月30日付)。

下線を引いた部分は、これまでの韓国政府の発言と異なり、事態の深刻さが分ってきたのだろう。韓国には、被害が拡大しないようにするという受け身になっている。文大統領は当初、「報復する」と鼻息が荒かったが、もはやそのようなことで問題が解決しないことを覚ったにちがいない。