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韓国は7月1日、日本から半導体製造3素材の輸出抑制措置を受けている。この間にサムスンとライバルの台湾TSMC(台湾積体電路製造)が、大規模な設備投資への動き始めたと韓国が神経を尖らせている。TSMCだけでなく、東芝、インテルなど韓国半導体メーカーのライバルが足早な動きを見せているというのだ。この裏には、米中対立の影が見られるという指摘が出てきた。謎めいた動きである。

 

『朝鮮日報』(7月30日付)は、「サムスン・SKが日本に足止めされている間にインテル・TSMCが大規模投資」と題する記事を掲載した。

 

(1)「TSMC、東芝、インテルなど韓国のライバル各社は、韓国半導体企業が不確実性に縛られて微動もできない間に、追撃をかわしたり、あるいは追い抜いたりすることを狙っている。半導体業界によれば、サムスン電子が2030年までに133兆ウォン(約12兆2000億円)を投じ、メモリー半導体、非メモリー半導体の双方で首位を目指すとする「半導体ビジョン2030」が本格始動しない段階で、危機に直面したとの分析が聞かれる」

 

(2)「日本の輸出規制が始まってから4週間が経過した29日時点でも日本製の高純度フッ化水素は韓国に供給されていない。半導体業界は「重要素材の在庫が底をつく10月初めには最悪の状況が訪れかねない」と懸念する」。

 

(3)「韓国企業が不安に包まれる間、ファウンドリー(半導体受託生産)で世界首位のTSMCは26日、半導体設備エンジニア、研究開発人材、プロセスエンジニアなど3000人以上を年内に採用する計画を明らかにした。TSMCが一度に3000人以上を採用するのは、1987年の設立以来初めてだ。ファウンドリー市場で急速な追い上げを見せる2位のサムスン電子が、日本に足かせをはめられている間、引き離しにかかったものとみられる」

 

以上のようにサムスンとTSMCが、半導体世界一を目指してしのぎを削って競争している段階で、日本の半導体製造3素材輸出規制が重なったのだ。これには、米中対立の影がちらつくとの指摘がある。サムスンが、中国側についたという疑いを持たれているのだ。

 

韓国政府は、米国政府からファーウェイ製品を拒否するように度重なる要請を受けながら、「企業の問題」として拒否してきた。これは、ファーウェイ製品を受入れる前兆と判断され、サムスンは中国企業と協力する意向と見られている。そうなると、サムスンの半導体発展は米国に不利益をもたらすに違いない。そこで、サムスンのライバル企業を支援して、サムスンを追い越す戦略が仕組まれているという見方が出ても不思議はない。

 


『大紀元』(7月30日付)は、「RCEPでの韓国の発言、世耕経産相が国際的な信頼失うと苦言 輸出管理は国内措置を強調」と題する記事を掲載した。

 

(4)「経済産業省は74日、軍事転用が容易とされる「リスト規制品」の輸出管理体制の見直しを実施した。これは、輸出管理のずさんな韓国に対する輸出管理の強化措置とみられている。日本メディアによると、日本当局は、日本の先端素材を輸入した韓国が第三国を経由して、北朝鮮やイラン、中国、マレーシアなどへの横流しを疑っている。韓国の朝鮮日報は517日、ミサイルの弾頭加工やウラン濃縮装置など、大量破壊兵器に転用可能な戦略物資の違法輸出が急増していると報じた。同様の内容を7月10日、日本のフジニュースネットワーク(FNN)も放送した」

 

韓国から第三国を経由して横流しされている疑惑が持たれている。この問題は、すでに日韓のメディアが報じている。

 

(5)「日刊工業新聞は7月27日、韓国に対する日本の輸出管理措置は、技術覇権を争う米中代理戦争に遠因があると伝えた。同紙によると、現在、最先端半導体を生産できるのは韓国・サムスン電子と台湾・台湾積体電路製造(TSMC)の2社。半導体業界関係筋の話として、「TSMCは米国側だが、サムスンは中国に近づきつつあった」という。同紙によると、日本は、同盟国である米国との安全保障上の協力の観点から、ファーウェイなど中国情報通信企業と協力する韓国半導体メーカーへの材料の供給の制限に動いた可能性があるという」

 

下線は、きわめて重要な点を指摘している。この視点からサムスンとTSMCの対照的な動きを見ると、この裏には米国が絡んでいるとも読める。米国が、日韓対立の調整に動かない理由も分るはずだ。