テイカカズラ
   

貿易戦争は、もともと通貨切下げ戦争に発展しかねない危険性を帯びている。ついに、米中貿易戦争は、中国の人民元切下げになって「終末期」を迎える感が深まっている。この背景には、中国が米国への報復手段がなくなったという、「追い詰められた」状況にあることを示している。

 

中国は9月1日以降、米国が第4弾3000億ドル相当に10%関税を科すことに対抗、人民元相場を1ドル=7元割れを容認する姿勢を鮮明にした。これに反発した米国財務省が、中国を通貨操作国に指定したもの。事態は、新たな段階を迎える。米国は、IMF(国際通貨基金)と共同で調査に着手する。

 

『大紀元』(8月6日付)は、「中国元安容認で1ドル7元台下落、米が為替操作国に指定」と題する記事を掲載した。

 

5日中国上海外国為替市場とオフショア市場では、人民元相場が対ドルでそれぞれ1ドル=7元の心理的大台を下回った。115月ぶりの元安・ドル高水準となった。この影響で、欧米主要株式市場は大幅に値下がりした。中国当局は、米の関税措置に対抗するための元安容認姿勢が鮮明となった。米財務省は同日、中国を「為替操作国」に認定したと発表し、今後経済制裁を強化していくとした。

 

(1)「オンショア市場の上海市場では、5日朝取引が開始した直後に、元は対ドルで急落した。一時1ドル=7.0532元台につけ、2008年3月25日以来の安値となった。一方、中国人民銀行(中央銀行)はこの日、元の対ドルでの基準値(中間値)を1ドル=6.9225元に設定した。先週末の基準値と比べて、0.0229元の元安・ドル高水準で、基準値として8カ月ぶりの低水準となった。香港紙『香港経済日報』5日付によると、市場関係者は、大幅に元安水準と設定された基準値から、米の制裁関税に対抗して、輸出に有利にするためにさらなる元安を容認するという中国側の姿勢が明らかだと指摘した。一部の市場関係者は、今後元相場が1ドル=7.2台まで下落すると予測する

 

当局の元の対ドル基準値が、5日は先週末に比べて0.0229元の元安・ドル高水準である。これから、当局の元安意思が、明確に示されたと判断された。米国は、この事態に「為替操作国」に指定した。

 


(2)「急激な元安を受けて、トランプ米大統領は5日ツイッターで、「中国は人民元レートをほぼ史上最低の水準まで下落させた。これは為替操作だ」「これは重大な違反行為で、中国をいずれ著しく弱体化させることになる」と厳しく批判した。米財務省は同日、中国を「為替操作国」に指定した。同省がウェブサイトに掲載した声明によると、ムニューシン財務長官が「中国は通貨操作国である」と決定した。今後、長官は国際通貨基金(IMF)と協力し、中国による不公正な競争優位を排除していくという」

 

IMFは、これまで中国を擁護する姿勢が強かった。専務理事のラガルド氏が、自らの再任を巡り人民元の「SDR(特別引出権)」昇格と条件に取引したのでないか。私は、一貫してこの立場だ。人民元は、SDRに昇格する条件が一つもなかったからだ。SDRは、中国の「箔付」に利用されたのである。こういう不明朗な関係が、ラガルド氏の任期満了に伴う退任で消えた。この際、SDR昇格の裏事情も合わせて徹底的に追求するべきだ。中国にとっては、思わざる状況変化になった。

 

(3)「元相場が1ドル=7元台を割り込んだことに、欧米金融市場の動揺が収まらなかった。5日の米株式市場で主要株価指数のダウ工業株30種平均は前週末と比べて767ドル安となった。今年最大の下落幅だ。ロイター通信によると、欧州株式市場も2カ月ぶりの安値を付けて5日の取引を終えた。欧米各国の投資家の間では米中貿易摩擦がさらに激化するとの不安が広がっている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国当局の元安容認は、今後一段の元安や海外への資金流出の加速化を招くため、中国にとって「自傷行為」だと警鐘を鳴らした」

 

人民元の7元割れは、世界の金融市場に動揺をもたらしている。米中貿易戦争の激化の一方、中国が、元安を承認したことから一段の人民元安に伴う海外への資金流出懸念が指摘されている。中国が、メンツで米中合意を反古にしたデメリットが鮮明になろう。