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中国経済は、定石通りの衰弱過程に入っている。日本経済のバブルの発生と崩壊過程をつぶさに眺めてきた者には、なんら驚くべき現象ではない。当然、起こることが起こっていると見るべきだろう。

 

中国は、貿易戦争で国内景気が行き詰まっても合意しない点に、非合理的な思考の原型を見る思いがする。これだけ非合理的な中国が、世界一の経済規模になることは不可能であることを立証している。政治的な理由で妥協できないのだろう。

 

『ロイター』(8月14日付)は、「中国経済指標、7月は低迷が顕著、鉱工業生産は17年ぶりの低い伸び」と題する記事を掲載した。

 

中国国家統計局が発表した7月の鉱工業生産は前年同月比4.8%増と17年ぶりの低い伸びにとどまった。その他の経済指標も軒並み予想を下回っており、米国との貿易摩擦が激化するなか、中国景気の鈍化が深刻化している。中国政府は1年以上前から景気支援策を打ち出してきたが、債務膨張のリスクを冒してもさらに強力な措置が必要か疑問を突きつけられている。

 

(1)「マッコーリー・グループのグレーターチャイナ経済部門のトップ、Larry Hu氏は「逆風はかなり強く、きょう発表された統計はコンセンサスをかなり下回った。中国経済にはさらなる刺激策が必要だ。景気は今後も鈍化が続く見通しで、ある時点で当局はインフラ・不動産部門への支援措置を余儀なくされるだろう。年内にもそうした状況になる見込みだ」と述べた」

 

中国は、発展途上国を「債務漬け」にして平気な顔をしていたが、自国経済でも同じ姿勢であることが分った。要するに、合理的な経済計算が不得手な民族であることが分る。目的達成には、手段を選ばないというタイプの国家だ。膨れ上がる債務の処理を考えずに「突撃」する。帝国が最後に倒れるコースを歩み始めているとしか言いようがない。

 

もはや、インフラ・不動産投資は中国にとって「麻薬」と同じである。打たなければ倒れる。自転車と同じだ。こぎ続けなければ倒れる事態に突入している。これが、GDP2位の国家の最後の姿だ。

 


(2)「鉱工業生産は6月の6.3%増から伸びが鈍化し、市場予想(5.8%増)を下回った。7月の伸び率は2002年2月以来の低水準。景気支援で政府が力を入れてきたインフラ投資も低迷。バブルの懸念がありながらも、数少ない有望分野とみられていた不動産投資も低い伸びとなった工業情報省は先月、保護貿易主義を理由に今年の工業部門の成長率目標5.5%~6.0%を達成するには「多大な努力」を要するとの認識を示した」

 

少子高齢化が進む中で、何時までも住宅建設が続くはずがない。こういう人口動態からの制約条件を考えたことがないのだろう。保護貿易主義=米中貿易戦争の結果、工業部門の成長率目標5.5~6.0%達成は困難になっている。それでも、習氏の政治権力維持のために、米中貿易戦争で妥結しない。典型的な「政治戦争」になってきた。

 

(3)「小売売上高は前年比7.6%増と、6月の9.8%増から伸びが鈍化し、市場予想(8.6%増)を下回った。雇用を巡る懸念も圧迫要因になっている可能性がある。7月の調査ベースの全国の失業率は5.3%で6月の5.1%から上昇した。ただ、市場関係者の多くは、実際の失業率はこれをかなり上回るとみている。ノムラのリサーチノートは「経済成長率はまだ底を打っておらず、中国政府は景気支援の政策スタンスを維持するとの見方に変わりはない」としている。同社は、第3・四半期と第4・四半期の成長率は政府の目標レンジの下限である6.0%に減速すると予想している」

 

輸出減少が、製造業を直撃している。失業者が増えているので、小売売上高は前年比7.6%増と、6月の9.8%増から伸びが大幅に鈍化した。ノムラのリサーチノートは、第3・四半期と第4・四半期の成長率は政府の目標レンジの下限である6.0%に減速すると予想しているが、この線に収まりそうだ。習氏は、最大の政治危機を迎えている。