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韓国の光復節に当り、文大統領演説が注目されていた。強烈な反日でなく、対話を呼びかけるもので、これまでの「感情100%演説」とは違っていた。ただ、演説中に聞き捨てならぬ発言があった。日本が朝鮮を不幸にしたという指摘である。

 

経済史という側面から言えば、朝鮮は日本の植民地によって工業化が進んだという厳然たる事実を無視している。生活が向上したので人口も増えている。そして、何よりも教育制度の普及によって、貧しい家庭の子どもでも進学できる時代になったのだ。

 

牢固として続いてきた両班(ヤンバン:地主などの特権階級)制度は、李朝によって廃止されたものの、確実に効果を上げたのは日本の統治による。貧しい家庭の子どもが高等教育を受けられる時代へ転換させたのは日本だ。現在の反日は、旧ヤンバン階級の末裔と思われる。自らの特権を奪ったのが日本という思いであろう。

 

朴正煕・元大統領は、在任中しばしばお忍びで来日し、自民党関係者とゴルフを楽しんだという。石原慎太郎氏の回顧談によれば、この朴氏が「日本統治下であったから、自分は日本人教師によって進学を勧められ今日がある」としみじみと語ったという。教育制度の普及・充実は、明治維新以降における日本の基本理念であった。それを朝鮮でも実施したのだ。

 

同じ日本の植民地になった台湾で、元総統の李登輝氏も同様の発言をしている。儒教教育から一転して、日本は西洋流の近代教育を台湾で行った。これが、どれだけ台湾の近代化に役立ったか分らないと。朝鮮と台湾は、日本の植民地として同じ行政が行われている。それにも関わらず、韓国は日本を批判する。台湾は感謝する。大きなちがいだ。

 

この差は どこから生じているのか。それは、韓国人の儒教からくる「劣等感」に他なるまい。台湾は、清国領であったが「化外の地」として行政も放置されていた地域である。日本が植民地にすると申入れたとき、半ば喜んで手放した島である。首切り蛮族の蟄居する台湾は、清国が手を焼いていた場所である。日本は、それを根気よく「教化」した。

 

韓国が真の一流国になるには、日本統治時代の総合的な評価が可能になる時であろう。現状の恨み辛みだけを言い募って、プラス面をすべて切り捨てる政治状況の下では不可能である。言葉を換えれば、「早く大人になれ」ということだ。恨み辛みの中からは、何も生まれない。

 

『聯合ニュース』(8月15日付)は、「文大統領、責任ある経済強国・揺るがすことのできない国へー光復節演説」と題する記事を掲載した。

 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)74周年の記念式典の演説で、「私は本日、いかなる危機にも毅然として対処してきた国民を思いながら、われわれがつくりたい国、『誰も揺るがすことができない国』を、改めて誓う」と述べた。

文大統領は、まだ韓国は十分に強くなく、分断状態にあるために「誰も揺るがすことができない国」を実現できずにいるとした。実現を誓うとの発言は、日本の対韓輸出規制の強化によって韓国経済が直面した危機を必ず乗り越えるという強い意志の表れといえる。日本に対する批判の度合いを低くしながら対話の重要性を強調するもので、この呼び掛けに日本政府がどう答えるか注目される」

(1)「続けて、「責任ある経済大国として自由貿易の秩序を守り東アジアの平等な協力を引き出したい」とし、「わが国民が奇跡のように成し遂げた経済発展の成果と底力は分け合うことはできても、奪われるわけにはいかない。経済での主権がしっかりしているときわれわれは自らの運命の主人となり、揺れなくなる」と述べた」

 

下線をつけた部分は、日韓基本条約で約10億ドルの資金が日本から提供された結果だ。独力で成し遂げたものではない。文政権は、この奇跡の復興を実現させた保守政権を歴史から消そうとしている。不当な扱いだ。

 

(2)「韓日関係について、文大統領は「われわれは過去に留まることなく日本と安保・経済協力を続けてきた」とし、「日本と共に日帝強制占領期における被害者の苦しみを実質的に癒すために取り組み、歴史を鏡とし固く手を結ぼうとする立場を堅持してきた」と述べた。そして「過去を省察するのは過去にこだわることではなく過去から立ち直り未来へと進むことだ」とし、「日本が隣国を不幸にした過去を省察する中で、東アジアの平和と繁栄を共にけん引していくことをわれわれは望んでいる」と強調した」

 

日本は,ASEANの発展に十分力を尽くしている。韓国から「説教」される筋ではない。