a0960_008407_m
   


中国経済が、危険水域へ足を踏み入れていることは明らかである。インフラ投資や減税を行っても、実態経済に影響しなくなってきた。日本経済が、バブル崩壊後に辿った道を、中国がいま経験させられているに過ぎない。バブル崩壊後とは、経済がフリーズすることだ。

 

こうして、潜在的リスク通貨になった人民元は、新たな安全な場所を求めて動き出している。それが仮想通貨取引である。資本取引自由化がされていない中国では、仮想通貨によって資金を持ち出す以外に道はない。中国政府は2017年、仮想通貨取引を禁止されている。その抜け道が、店頭取引である。

 

『ロイター』(8月18日付)は、「中国投資家、景気減速と元安で仮想通貨になだれ込む」と題する記事を掲載した。

 

アジアやニューヨークの市場関係者によると、米中通商紛争の激化と人民元安の進行により、中国の投資家の間で暗号資産(仮想通貨)を求める動きが強まっている。中国人に人気の仮想通貨取引所で売買が増え、店頭市場を仲立ちするブローカーが取引の多さを認めているという。

 

仮想通貨の取引量を把握するのは非常に難しく、これは中国に限ったことではない。ほとんどの仮想通貨を支えるブロックチェーン技術では、通貨のやり取りに使われるデジタルウォレットの記録をたどることが可能だが、送り手の居場所は特定できない。また中国は政府が2017年に仮想通貨取引所の運営を禁じたため、国内に仮想通貨に関するデータがほとんど存在しない。

 

(1)「マルタを拠点とし、中国人の間でよく知られた仮想通貨取引所であるOKExの運営責任者、アンディー・チャン氏によると、米中通商紛争による中国の景気減速や人民元安を受けて、大口投資家の一角が人民元を仮想通貨に置き換えている。人民元が急落した5日に代表的仮想通貨のビットコインは7%上昇。仮想通貨市場の時価総額は9%増加し、中国の投資家が人民元を売り、仮想通貨を買っているとの憶測が広がった」

 

人民元相場急落の8月5日、ビットコインは7%の上昇と連動した動きになっている。中国投資家が、人民元を売り仮想通貨を買っているとみられている。

 

(2)「チャン氏は、「人民元だけでなく、中国経済全体が懸念されている。米中通商紛争のせいでインターネット関連企業の多くは採用を凍結し、事実上の人員削減を進めている」と述べた。中国は厳しい資本統制を維持しており、資金を海外に持ち出したい国民にとって選択肢はほとんどない。そのため仮想通貨が国外に資産を移す魅力的な手段になっている。実際、今年は仮想通貨市場のボラティリティが低いタイミングで、人民元安とビットコイン高に正の相関が生じている。仮想通貨取引所イートロのアナリスト、マティ・グリーンスパン氏によると、イートロでは1ドル=7元を超えるドル高局面で仮想通貨とコモディティーの取引が大幅に増加した一方、株式の取引は緩やかに減少し、為替の取引は横ばいだった」

 

中国の富裕層は、中国経済の減速と人民元安相場に直面して、取引禁止の仮想通貨で資本逃避に動き出している。

 


(3)「グリーンスパン氏は、「中国人民銀行(中央銀行)が人民元について決断を下した日には、暗号資産の上昇が目立った。イートロでは通貨資産全体で取引量が1週間前の2倍になった」と語る。ただ、仮想通貨を買ったのが中国人投資家かどうかは特定できないという。

中国の投資家は国内の規制にもかかわらず、引き続き仮想通貨を活発に取引している。取引のほとんどは店頭市場や、対話アプリ「ウィーチャット」などで行われているようだ

 

下線を引いたような方法で、富裕層は仮想通貨取引に参加している。資本取引の自由化が行われていない現状では、やむを得ないことかもしれない。

 

(4)「香港の仮想通貨ファンド、ケネティックのマネジングパートナー、ジェアン・チュー氏によると、地元の店頭市場では米中通商紛争の影響が広がったこの3カ月間に中国の取引量が2倍以上に増えた。 市場関係者によると、米ドルに連動する仮想通貨「テザー」と人民元・香港ドルの売買でサヤを抜き、利益を上げるチャンスがあることも、個人投資家が仮想通貨を取引する要因になっている。香港の仮想資産投資会社オリチャル・パートナーズのアンソニー・ウォン氏は、「国境を越えて資本を動かそうとする人々の多くが、その手段としてテザーを使おうとしている」と述べた」

 

「テザー」取引は、ほとんど中国人投資家が占めているといわれる。これまで、ドルとの連動性が見られることから人気を集めている。