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韓国政府が、米国の政府・議会から「GSOMIA破棄」を巡り集中的批判を浴び、血迷った行動に出て来た。従来、韓国政府が米国政府へ異議を申し立てるときは、米大使を非公開で呼び出し意思を伝えてきた。それが今回、メディアに予告して米大使を韓国外交部へ招致するという前例のない行動に出たのだ。国内向けゼスチャーだが、韓国政府の強がりを見せていると不評を買っている。

 

『朝鮮日報』(8月29日付)は、「韓国政府、米大使呼んで問いただす、前例のない衝突」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国外交部の趙世暎(チョ・セヨン)第1次官が28日、ハリー・ハリス駐韓米国大使を外交部庁舎に呼び、青瓦台の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄決定に対するトランプ政権の公の場での批判を『自制してほしい』と頼んだ」と外交消息筋が明らかにした。GSOMIA破棄をめぐり米国の懸念が高まっていることに対し、韓国政府が不満を公に伝えたものだ。韓国外交部は2人が会ったことを「面談」と表現したが、外交関係者の間では「事実上の警告・抗議の意味が込められていると見るべきだ」という意見が多かった」

 

韓国政府が、米国政府から公然と批判されるにいたり、国内的には不利な立場に立たされてきた。文政権が、米韓関係の悪化を意図したGSOMIA破棄であったことが明らかになってきたからだ。そこで、ハリス米国大使を招致して、米国政府による批判の自制を要請したもの。

 

(2)「ランドール・シュライバー米国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は同日、韓国外交部から自制要請があったのにもかかわらず、米ワシントンで行われた講演で、GSOMIA破棄について、「強い懸念と失望感を表明する」「韓国にGSOMIAを延長するよう要求する」と述べた。また、「米国は、文在寅(ムン・ジェイン)政権の決定は否定的な影響を与えるものだと繰り返し明確に言ってきた」とも述べた」

 

韓国政府の「自制要請」にも関わらず、シュライバー米国防次官補は堂々と韓国政府批判をやっている。「GSOMIA破棄」が、いかに米国の怒りを買ったかという証明だ。トランプ大統領まで、G7サミットで二度も文大統領批判を展開している。韓国は、窮地にたたされている。

 

『朝鮮日報』(8月29日付)は、「米シンクタンク、『米国大使呼んだ文政権、自分だけが正しいと主張』」と題する記事を掲載した。

 

韓国外交部が28日にハリー・ハリス駐韓米国大使を呼んで、青瓦台の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄決定に対するトランプ政権の公の場での批判を「自制してほしい」と抗議したことについて、米国の専門家たちは「韓米間の緊急危機管理が必要だ」と主張している。また、韓米の確執が深まれば、在韓米軍削減というカードが切られる可能性があるとの予想も飛び出した。

 


(3)「米国のシンクタンク「民主主義守護財団」のマシュー・ハ研究員は同日、「まだ韓米同盟の構図が崩れたとは思わない」と言いながらも、「文在寅(ムン・ジェイン)政権は常に自分たちだけが正しいと主張するので、対話を通じた解決が容易でない傾向がある」「現在は韓米外相級電話会談など緊急危機管理が必要な状況だ」「GSOMIA破棄は在韓米軍と米国の安保にも直接影響を与える。韓国は米国の安保懸念に共感しようという努力をしなければならない」と語った」

 

米国は、米国青年の生命を賭けて韓国防衛に当ったという自負心がある。韓国が、米国の琴線に触れるような行動をすれば、反撃されるのは致し方ない。

 

(4)「匿名希望のシンクタンク関係者は「韓国外交部がハリス大使に正式に抗議したことで、トランプ政権内における文在寅政権への反感はさらに大きくなるだろう」「問題は、トランプ大統領がこの問題をどう感じているかということだ」と言った。同盟を重要だと考えておらず、長期的には在韓米軍を撤収させたいと思っているトランプ大統領としては、「韓国は米国とたもとを分かとうとしている」と感じているかもしれない、ということだ。

 

韓国は、米国への態度を対日本並みに振る舞えば、絶対に強い拒絶に合うだろう。米国には、米軍の韓国撤収という切り札があるからだ。

 

(5)「米タフツ大学のイ・ソンユン教授は26日、米国の政治専門紙『ザ・ヒル』への寄稿文で、GSOMIA破棄による韓米衝突を懸念し、「韓国で広まっている反日感情が反米感情にならないよう、発言や行動を慎重にし、韓国を侮辱してはならない」と書いた。だが、その一方では、「トランプ政権は韓国と日本に(衝突するという)進路を変える必要があるとのシグナルを送るべきだ」「(このようなシグナルは)声明や非理性的な防衛費分担金要求ではなく、在韓米軍削減のための『構造調整』交渉でのみ伝えられる」と述べた。韓国が最後まで米国の意向に反すれば、在韓米軍削減というカードを切ることも検討しなければならないという意味だ」

 

ここでも、在韓米軍の撤退カードが取り上げられている。これは、文政権にとって野党からの批判材料にされるだけに手痛いしっぺ返しである。