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韓国大統領は、「86世代」特有の民族主義を前面に出してきた。「親中朝・反日米」路線である。1980年代の学生運動を支えた、この北朝鮮金日成主唱の「チュチェ(主体)思想」を、現代韓国の外交戦略に蘇らせようという大胆な挑戦である。

 

大統領府の文大統領の側近は、前記の「86世代」にあたる元学生運動家である。国益=民族主義の立場である。この「86世代」が唱える民族主義は、南北統一が国益であるとしている。そのためには韓国が「自由と民主主義」を捨てて、北朝鮮と一体化することさえ厭わないという「狂信集団」だ。自由と民主主義を捨てても、北朝鮮の金正恩氏の元に馳せ参じたいという信念に燃えている集団なのだ。

 

この「狂信集団」が、「GSOMIA破棄」を編み出したものだ。先ず、日本との関係を絶てば、軍事的な絆を薄められる。それを通して、米韓同盟も次第に希薄化させるという狙いである。それが、韓国の国益であるという認識を臆面もなく打ち出してきた。

 

『聯合ニュース』(8月30日付)は、「GSOMIA終了は国益に沿った決定、米との同盟より優先と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国政府が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了を決定したことに対し、米高官らが相次いで懸念を表明するなど、韓米同盟への影響を危惧する声が上がっていることについて、青瓦台(大統領府)の関係者は29日、米国は米国の立場と見方により事案をみているが、韓国も同様であり、各国は自国の利益のために最善を尽くす」とし、「(重要な)同盟関係であっても、韓国の国益のためには、何も優先することはできない」との見解を示した

 

下線部は一見、もっともらしい理屈だが、安全保障に対する基本認識に欠けている。これが、「86世代」の1980年代認識である。現在は、安全保障インフラという認識に立っており、軍事情報の共有化が不可欠になっている。ミサイル情報など瞬時に共有すべきである。日韓がそれぞれ米国を経由しての情報交換では間に合わないのだ。こういう根本的な認識も持たず、大統領府の安全保障担当になっていることに驚くのだ。

 

米国の国益は米国一国で為し得ず、日米韓三カ国による安全保障インフラがあってこそ可能である。軍事情報の意義は、時代の変化に伴って変ることを知らなければならない。

 

(2)「日本とのGSOMIA終了を決定した際に、国益を外交政策の最優先基準とするとした政府の原則が、米国との関係においても例外ではないことを強調したものと受け止められる。 外交部の趙世暎(チョ・セヨン)第1次官は前日、ハリス駐韓米大使を同部に呼び、韓日GSOMIAの終了と関連し、米政府が失望と懸念を繰り返し表明するのは韓米関係を強化する上で役立たないと指摘し、自制するよう要請した」

 

韓国の国益が第一であり、米国に優先すると指摘している。ここまで言い切るならば、なぜ韓国に米軍が駐留しているのか。韓国軍だけでは防衛できないから米軍の駐留を認めているはず。韓国に米軍が駐留する以上、韓国は米国と同一歩調が求められる運命である。今なお、統帥権は米軍が掌握している中では、米韓軍が一体化した情報ルートが必要である。同時に、自衛隊が得た情報を日米韓三カ国による安全保障インフラが活用すれば、一本の矢よりも三本の矢が強くなる理屈で、瞬時に敵へ対応できる。

 

(3)「一方で同関係者は、「2国間の情報共有や安保・経済分野の意思疎通がどの程度うまくいくかが問題であり、米国とより多くの意思疎通を通じ、(韓米関係に)隙が生じないよう最善を尽くす」と強調した。また29日の閣議で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新型の国産潜水艦の建造などにより国防力を強化すると述べたことに対し、南北関係に否定的な影響を及ぼしかねないとの指摘が出ていることについては、「国防力の強化はすべての国の共通事項」と反論した」

 

米韓だけの情報だけでなく、日本の情報が加わった日米韓三カ国による安全保障インフラが不可欠である。この認識が韓国には欠けている。「日本憎し」が、こういう偏った防衛意識を育てたのだ。国防は、情報戦から始まる。この基本認識もなく、国産潜水艦の建造によって、防衛は質的充実が高まると考えている。それも大事だが、瞬時の情報が先ず必要なのだ。