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韓国人は目下、「反日不買運動」で盛り上がっている。この原因は、「日本人が過去を反省しない」ことではない。そういう指摘が、日本の経済学者から提示された。日本が、韓国に対して本格的な経済制裁に出てきたと錯覚し怯え、「経済制裁しないでくれ」というシグナルと言うのだ。

 

私は、8月28日のブログで、「韓国、『自業自得』消費者心理指数は急悪化、反日不買運動が不安『拡大』」と題する記事を掲載した。その主旨は、次の通りである。

 

韓国政府は、「反日不買運動」を煽った結果、目標通り日本製品購買や訪日旅行者を減らして成功した。一方、消費者の不安心理を高めるという「ワナ」に、自ら引っかかる矛楯に落ち込んでいる。韓国の消費者心理指数は、この8月に92.59へ落込んだ。7月の95.9から急落し最悪事態を迎えている。

 

「NO JAPAN」と反日の幟を立て表面的に威勢は強かった。韓国与党、「共に民主党」関係者には心強い旗であっても、野党や中立派には韓国経済の将来への不安を煽ることであったのだ。韓国の独立後、日韓関係が悪化しても、経済面には波及しない「政経分離」が働いてきた。今回は「政経不分離」である。政治や外交面の対立が、初めて経済面に波及する恐れが出てきた。韓国政府が、こう宣伝して反日を煽ってきたのだ。

 

韓国政府は、「反日不買運動」をやればやるほど、その経済的マイナス面を意識せざるを得なくなっている。急速な消費者心理指数の悪化。その裏に見られる現実がこれだ。韓国政府は、想像もしていなかった虚を突かれた思いであろう。

 

以上のような私の分析とほぼ似た論文が登場した。

 

『日本経済新聞』(8月28日付「経済教室」)、木村幹・神戸大学教授「冷え込む日韓関係(上)経済への波及、韓国に危機感」である。

 

(1)「19年の(光復節で)文大統領の演説にはどんな特徴があったのだろうか。多くの日本メディアは、元徴用工問題や輸出管理厳格化などで悪化する日韓関係を巡り、日本への対決姿勢をトーンダウンさせたことに注目した。しかしながら、この演説にはより注目すべきことがあった。それはこの演説が例年のものとは比べものにならないほど「今」の日韓関係を意識したものであり、また実際にその大きな部分が日韓関係に割かれていたことだ。そしてさらに2点に注意する必要がある」

 

韓国の国民は、文氏が発言するような「過去」にはこだわっていない。最も重視しているのは、「今」の経済生活が日本の経済制裁によって苦しくなることへの懸念である。私が、ブログで指摘した消費者心理の急悪化は、不買運動に伴う不安心理の裏返しであるとした見方と似通っているように思う。

 


(2)「第1にこの演説では同時に、元徴用工問題や慰安婦問題といった日本側が大きな関心を持つ「過去」のイシュー(問題)については何も触れなかったことだ。

2にこの演説の内容が前後する時期の韓国政府の日本へのメッセージと大きく異なっていることだ。日本政府が輸出手続きを簡略化する優遇対象国(ホワイト国)からの韓国除外を閣議決定した82日、文大統領は一部メディアが「盗っ人たけだけしい」とまで訳した用語を使って日本を激しく非難した。そして8月22日、つまり光復節演説からわずか1週間後、韓国政府は日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を発表した。わずか12週間で外交方針が二転三転した」

 

日本人は、韓国が二言目には「反省していない」という言葉に鋭敏に反応して怒る。私もその一人だが、韓国では「挨拶程度」の軽いジャブである。日本人は、生真面目だから心から怒る。この事実を韓国社会は知らないのだ。

 

日本の「教養人」や朝日新聞が、常に謝罪の言葉を発し記事を書くから、日本人は過去の話をしても聞き流すという誤解が生まれている。そうではない。日本人が現在、本気になって「政経不分離」を打ち出したことに、韓国人はうろたえて不買運動に飛び込んでいる。韓国人の不安心理の表れでもある。

 

このことから分る点は、韓国人は日本の過去を揶揄するような言い方をしてはいけないことだ。不買運動に直進している韓国人に、日本は経済制裁しないことを知らせること。この二点が守られれば、今の騒動は終息に向かうというヒントが得られる。

 

(3)「この2点からわれわれは何がわかるのだろうか。

1の点からわかるのは韓国人の日韓関係への関心が「過去」に関わる歴史認識問題ではなく、「今」の問題、より具体的には7月に経済産業省が一部半導体関連物品の輸出管理厳格化を発表して以来の経済問題に向けられていることだ。事実、朴槿恵(パク・クネ)政権下の慰安婦合意や1810月の元徴用工問題を巡る大法院判決など、歴史認識問題に関わる事件で韓国大統領や与党の支持率はほとんど動かなかった。それが、日本側の措置発表後、5%程度の水準で上下している。同様にこれまでは掛け声倒れに終わってきた日本製品や日本への旅行のボイコット運動は、現実の経済・社会交流に影響を与える規模にまで拡大しつつある」

 

文政権の失敗は、日本人の嫌がる「過去」を前面に据えて攻め込んできたことだ。前国連事務総長の潘基文(パン・ギムン)氏は今年1月、日本外交で「過去」を持出すのは禁じ手として、文大統領にアドバイスしている。さすがは老練な外交官である。過去の日韓の軋轢を経験した当事者だけが吐ける言葉だ。

 

文大統領は、日本の過去をこれでもか、これでもかという調子で叩いている。全くの愚策である。日本は、大きな心で「経済制裁しない、輸出手続きの調整が済めば元通りの輸出に戻る」旨を発表すれば、韓国の不買運動は収まるであろう。意外とこの一言が、事態を収めるきっかけになるように思う。