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文大統領は、曺国(チョ・グク)前民情首席秘書官を法相に任命した。これだけの疑惑を抱える人物が、選りに選って悪を裁く司法のトップにつくとはパロディである。韓国の民主主義とは、この程度のものだろう。口では道徳を説き、日本に正義を実現せよと迫る文氏だ。これ程、矛楯した人事決定もなかろう。

 

国民の半分以上が、法相就任に反対したのだ。それを無視しての強行である。今後、就任に反対した国民は、どういう対応をするかだ。当面は、来年4月の総選挙である。経済のさらなる悪化は確実である。失業率は高まり、消費者の不安心理が極度に高まる中で、国民に向かいどのような弁解をするのか。経済状況から見れば、最悪事態で迎える総選挙である。ただでも与党に不利な経済環境で、法相疑惑が加われば、選挙結果のおおよその見当がつきそうだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(9月9日付)は、「文氏、疑惑の側近を法相任命 保守との対立必至 と題する記事を掲載した。

 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は9日、娘の進学などを巡る不正疑惑が取り沙汰される側近の曺国(チョ・グク)前民情首席秘書官の法相任命を強行した。世論の反発は必至だが、肝煎りの検察改革に賛同する革新系勢力の支持を優先した。抵抗する検察や保守勢力との対立は強まり、文政権の日本への強硬姿勢も続く見通しだ。

 

(1)「文氏は9日、大統領府で開いた閣僚任命状の授与式で異例の国民向け談話を読み上げた。「明確な違法行為が確認されていないのに、疑惑だけで任命しなければ悪い先例になると」。「ややもすれば国民分裂につながる恐れもある状況で、深く悩まざるを得なかった」とも語り、熟慮の判断だったことをうかがわせた。曺国氏は一連の疑惑について自身の関与を否定してきた。しかし、6日の国会の聴聞会は休憩を挟んで約14時間続き、野党議員の追及を受けた。同日夜には検察が曺氏の妻を私文書偽造罪で電撃的に在宅起訴した。検察が捜査を進めるなかで、法相人事を強行すれば世論の反発は避けられない。一方で任命を断念すれば保守勢力を勢いづかせ、自らの求心力の低下を招く

 

下線をつけた部分が、文氏が政治家として進退に窮した選択であったことを窺わせている。文氏は、チョ氏について原則に基づき一貫している点を評価したが、その裏で家族ぐるみの疑惑を背負い込んでいる。文氏は、「泣いて馬謖を斬る」という英断ができなかった点で後々、厳しい批判を浴びるだろう。そして、文氏の任期が終わり、次期政権が保守党になれば、この不明朗人事は、検察の手で暴かれるだろう。それほど,異常な人事である。

 

(3)「最終的に文氏は側近の曺国氏を法相に起用し、「本丸」と位置づける検察改革を断行する道を選んだ。改革案は政治権力の影響を受けやすい検察が独占する捜査権の一部を警察に委譲する内容だ。文氏は談話で「権力機関の政治的中立を法制度として完成させる」と述べた。組織防衛に走る検察は全面対決の構えをみせる。曺国氏の妻の起訴に続き、9日には疑惑の私募ファンドに関わる投資会社代表の逮捕令状を請求した。捜査対象が曺国氏にまで及べば、法相とその指揮下の検察が対立する異例の事態になる

 

検察は、意地になってもチョ氏周辺の捜査を行うだろう。「叩けば埃が出る」もの。人間が神でない証拠だ。必ず出てくるだろう。そういう最悪事態を文氏が考えなかったとすれば、その盲点は日韓関係でも同じである。文氏は、徴用工問題で「我流の理屈」に拘り、日本側の対応を読めなかった。

 

韓国検察は日本の立場と同じである。文氏の盲点を突いて来るだろう。文氏は、意外と防御の弱い人間である。責める側に立てば与しやすいのであろう。徴用工問題で、日本が攻め込んだように、韓国検察は「捜査権」を後ろ盾にしてチョ氏を攻め込むだろう。そうなった場合、文政権はどうなるか。そこまで読めない文氏であれば、もはやどうにもならない。文政権は自壊だ。