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中国の消費者が理性を取り戻し、住宅バブルに背を見せ始めてきた。この裏には、中国政府が「理性」的行動を迫られているという事情がある。このまま債務を積み上げっていったらどうなるか。目先の景気減速に目を瞑り、経済不振を米中貿易戦争の影響になすりつけて、「経済正常化」に舵を切り替えたと見るべきだ。

 

『人民網』(9月9日付)は、「北京、中古不動産市場に秋風、様子見ムードで値下げ」と

題する記事を掲載した。

 

今月末、不動産市場に向けて打ち出された政策「930新政」が3周年を迎える。北京市の不動産市場はこの3年間、全体として冷え込み、購入者の心理は徐々に理性を取り戻した。今年8月のデータをみると、北京市場の取引の中心である中古不動産の取引量は、前月比5.4%減少し、前年同期比19.9%減少した。「北京晩報」が伝えた。

 

(1)「不動産仲介業者は、「総価格が1千万元(1元は約15.0円)を超える不動産資源を前に、買い手は物件を見に来てまず『8掛けにならないか』とたずねる。かつては単価が10万元(約1500万円)だった一部の人気コミュニティは、オーナーが売り急いでいるため、価格の最低ラインがすでに7万元(約1050万円)ほどまで下がった。市場には様子見のムードが広がってオーナーは価格引き下げを迫られており、このため同じコミュティの同じタイプの物件でも価格の開きが非常に大きくなっている」と述べた。

 

10万元した物件が、現在は7万元となれば3割の値下がりである。オーナーは,売り急いでいるという。これまでの売り方主導が逆転して、買い方リードに変ってという。不動産バブルが終わったことの証明だ。

 

(2)「各仲介業者の内部データからも中古不動産市場の冷え込みがうかがえる。北京鏈家二手房のリアルタイム取引戸数は同6%減少し、8月に成約した中古物件の平均価格は1平方メートルあたり6万1223元(約91万円)で、前月比1.5%、前年同期比3.2%、それぞれ低下した。鏈家によると、価格は3ヶ月連続で前年同期比も前月比も同時に低下し、市場の持続的冷え込みの流れは明らかだという」

 

(3)「北京麦田房産では8月に売り手全体の価格交渉幅がマイナス5.95%になり、前月比0.38ポイント低下し、価格交渉の余地は6ヶ月連続で拡大した。我愛我家の北京中古住宅仲介機関の8月のリアルタイム取引戸数は前月比11.31%減少し、前年同期比16.41%減少し、2月を除いて今年最低の戸数になり、市場が再び冷え込んだことがわかる。業界の分析によると、目下の市場は様子見のムードが濃厚だ。貝殻找房の関係研究員によれば、「これまでは市場参入ニーズが小幅に増加していたが、市場の取引にはまだつながっていない」という」

 

不動産の市場心理が一変してきた印象が強い。こうなると、値下がりペースが速くなろう。従来にない変化だ。中国経済の難儀が始まる。

 


(4)「麦田房産のアナリストは、「北京中古不動産市場の取引量は3ヶ月続けて12千戸前後で小幅に変動し、8月は前月の小幅増加に続く連続増加とはならず、再び小幅に低下した。
ここからニーズが引き続き低調で、様子見ムードが濃厚であることがわかる。一方で、北京の不動産政策は安定して変化はなく、特に貸出政策は引き続きニーズを抑制している。また一方で、7月末に政府が『不動産を短期的な経済活性化の手段とはしない』と定めたことも、市場の予想のさらなる安定にプラスになっており、売買双方の駆け引きはまだしばらく続くとみられる」との見方を示した」

 

人口動態から見ても、住宅価格が上昇する合理的な理由はない。総人口に占める生産年齢人口のピークは、2011年であった。ここから8年間も住宅バブルを煽ってきた計算になる。この後遺症が、中国経済を苦しめるであろう。中国政府が、この事実に気付いたのだ。

 

(5)「貝殻研究院によれば、価格の低下が様子見ムードを一層刺激し、特に硬直的需要をもつ顧客は価格により敏感なため、総価格400万元(約6000万円)以下の硬直的需要の対象となる不動産資源は取引のリズムが遅くなり、オーナーは買い手が付かないことから買い換えが困難になり、市場の改善の動きも遅くなり、市場は「悪循環」に陥りつつあるという」

 

中古住宅の買手がつかなくなった最大の理由は、先行きの値下がり期待である。中国でも、ようやくこういう「正常な感覚」が生まれるようになった。それだけに、この先安感は一段と高まるはずだ。中国経済の置かれた状況から、「先高期待」は生まれまい。