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文政権が、民族主義者集団でなく合理的判断を重視する立場であれば、まだ救いがあったかも知れない。現実は、無鉄砲な学生運動家上がりの「元闘士」グループである。「学生団交」気分で、がなり立てて歩く姿に一片の知性も感じられないのだ。

 

最低賃金の大幅引上げは、生産性上昇を無視した幼稚な政策であった。学生が教室で目を輝かして聞いた理屈であったとしても、生産性上昇を無視したところに決定的な敗北要因があった。IMFやOECDが、事前に理論的にも成り立たない政策であると忠告していた。それを無視して実行し、ご覧の通りの結果を招いている。

 

さらに、日韓関係悪化も致命傷になった。不買運動を立ち上げて一見、日本に対抗する姿で国民を結束させる効用はあってもその場限りである。企業は、日本へ対抗することに危惧の念を深め、不確実性によって設備投資を見送っている。消費者は、不安心理を高めて財布の紐を引締め、消費不振と消費者物価マイナスの主因になっている。

 

こうして、韓国の潜在成長率は急速に落込んでいる。総人口に占める生産年齢人口比率は、2013年にピークを迎えていた。それ以後、韓国は「人口オーナス期」に突入している。文政権にその認識が完全に欠如している。最低賃金の大幅引上げなど,自殺行為そのもの。こうして韓国は、文政権の無謀な政策によって、活力を急速に失う事態に直面している。

 

『韓国経済新聞』(9月10日付)は、「韓国の潜在成長率下降速度速まる、構造改革で生産性上げなければ」と題する記事を掲載した。

 

 (1)「 韓国銀行は9日、調査統計月報に収録された報告書「韓国の潜在成長率推定」を通じ、「2019~2020年の年平均潜在成長率推定値は2.5~2.6%で、2016~2020年推定値の2.7~2.8%より0.2ポイント低い水準」と分析した。2019~2020年の推定値が2016~2020年の数値を下回ったのは、最近の潜在成長率下降速度が予想より速くなったためだ」

 

潜在成長率とはその国の労働と資本を最大に活用して達成できる成長率を指す。①就業者数(労働投入)と②設備・建設投資(資本投入)、③技術革新・制度・法(総要素生産性)などの変数で構成される。これらの3項目を一つずつ見ていくと、確かに韓国経済は厳しい局面にある。

    労働投入は、人口動態の変化と最賃大幅引上げで構造的な悪化状態になった。

    資本投入は、企業が最強労組を回避すべく、国内投資よりも海外投資を選択している。

    総要素生産性は、労組の非協力によって阻まれている。

要するに、文政権という「親労組」勢力の拡大が、韓国経済の根幹を食い荒らしていることが浮き上がっている。

 

私は、決して「反労組主義者」ではない。健全な労組活動は不可欠だが、政治的に偏向すると生産性向上のブレーキになる危険性が高い点を強調したいだけである。その意味で、日本の労組活動は理想的である。

 


(2)「韓国銀行は、年平均潜在成長率推定値が2000年以降、次のように変ったと指摘した。

2001~2005年の5.0~5.2%

2006~2010年が4.1~4.2%

2011~2015年が3.0~3.4%

2016~2020年が2.7~2.8%

19年と20年の潜在成長率は、2001年の半分水準にとどまる」

今年と来年の潜在成長率は、2.5%程度としている。今年の成長率は、海外投資銀行の多くの予測が2%割れの1.8%程度と見込んでいる。成長率ギャップ(2.5%-1.8%)は、0.7%ポイントになる。これだけのギャップ率になると、大不況感に襲われて当然だ。来年の総選挙で、与党は勝利できるだろうか。不況下で政権与党が勝った例を聞かない。


(3)「潜在成長率が下り坂を歩んでいるのは労働と資本投入の増加傾向が鈍化した結果だ。韓国銀行は今後も潜在成長率下落傾向が続くと予想した。少子高齢化で生産年齢人口が急速に減っている上に、主力産業成長は鈍化しているためだ。韓国銀行は潜在成長率を拡充するため経済全般を対象に構造改革に出なければならないと指摘した。各種規制を緩和し、産業の参入障壁を低くすると同時に、労働市場制度も改善しなければならないと提言した」

 

下線を引いたように、労働市場の改善を求めている。労組が頑として譲らない年功序列賃金と終身雇用制を止めなければ、労働市場は流動化しない。働き方の多様化によって,110万人失業者に雇用の場を保証しなければならないのだ。その文政権は、労組と結託しており労働市場改革は絶望的である。