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昨年12月以来、8月まで連続9ヶ月も輸出額が前年を下回っている。輸出依存度の高い韓国経済にとっては不吉な動きである。今年上半期の韓国10大企業グループの営業利益は前年同期に比べ45%も減少している。格付けが、引下げられるのはやむを得ない。

 

『中央日報』(9月11日付)は、「ムーディーズ、『今後12カ月間、韓国企業の信用度は追加で弱まる』」と題する記事を掲載した。

 

 国際格付け機関のムーディーズが、今後12カ月間、韓国企業の信用等級に否定的な影響があるだろうと10日、展望した。

(1)「ムーディーズは、「格付けを付与する韓国非金融企業27社の今年上半期の営業実績のほとんどが信用度に否定的」としながら、「19社は信用度に否定的で、5社は肯定的、3社は中立的であることが分かった」と説明した。あわせて「上半期に全般的な産業業界状況が弱まった」とし「メモリー半導体、製油および石油化学産業は需要が振るわない中で業界状況の鈍化が最も目立った」と付け加えた。続いて「貿易葛藤とグローバル成長鈍化による業界状況の弱化、一部企業の大規模な投資計画などを考慮すると、今後12カ月間、韓国企業の信用度は追加で弱まるだろう」と予想した」

 

ムーディーズが、格付けしている非金融企業27社のうち、19社は格下げすると予告した。その業種は、メモリー半導体、製油および石油化学産業としている。天下のサムスンも引下げ対象なのか。そうなれば、大きな話題になろう。

 

ムーディーズの発表は概略的なものだが、次のデータはかなり概観が掴める。売上横ばいで売上原価が増えていること。その結果、営業利益がかなり食われている実態が把握可能となろう。

 

『朝鮮日報』(9月9日付)は、「韓国10大企業グループ、営業利益45%減・人件費7%増」と題する記事を掲載した。

 

今年上半期の韓国10大企業グループの営業利益は前年同期に比べ40%以上減少したが、人件費は7%以上増えたことが分かった。特にサムスングループの人件費は昨年に比べ8.8%増の19兆6700億ウォン(約1兆7600億円)となり、20兆ウォンに迫った。

 

(2)「企業分析サイト『財閥ドットコム』は8日、資産上位10大グループに属する非金融系上場企業85社の半期報告書を分析した結果、売上高は前年同期比1.1%減の626兆ウォン、営業利益は44.7%減の37兆3900億ウォンだった。売上高よりも営業利益の減少幅が大きかったのは、売上原価と販売管理費を合計した営業費用が急増したためとみられる。特に給与、退職給与、福利厚生費など人件費は昨年上半期の50兆9600億ウォンから今年上半期には54兆5800億ウォンへと7.1%増加した。財閥ドットコムのチョン・ソンソプ代表は「10大グループの今年上半期の採用人数が1.1%増えたのに対し、人件費が7%増えたのは、大企業も最低賃金引き上げによる影響を大きく受けたことを示している」と述べた」

 

10大企業グループの上半期売上高は、前年比1.1%減であったが、営業利益が44.7%も減少した。最大の要因は、人件費の7.1%増である。採用人数は1.1%増だが、人件費が7%増えた結果だという。この賃金増には最低賃金引上げが影響しているという。

 

最賃引上が、大企業の賃金を引上げるカラクリに注目すべきである。文政権が、労組の支援を受けていることを考えると、一種の「便宜供与」にならないのか。この点こそを、韓国検察は突くべきだ。

 

売上微減で、固定費アップになれば損益分岐点は大幅に上がって当然である。その結果、営業利益は44.7%も減益になった。下半期には、売上はさらに減収になるので営業利益の減益幅が拡大する。ムーディーズが17社の格付けを引下げる事情は、こういうところであろう。韓国経済の脆弱性がはっきりと表れている。