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文政権は、日本に負けないと「克日」を旗印にして、素材開発など技術分野に多額の資金を投入する体制を整えている。一方では、2011年の李明博政権下で始めた基礎科学研究プロジェクトを冷遇している。世界的科学誌『ネイチャー』は、この状況を批判する記事を掲載した。とんだところで、大恥をかかされた格好である。基礎科学を軽視する韓国が、応用化学で成功するとも思えない。

 

『朝鮮日報』(9月12日付)は、「『基礎科学研が自律性喪失の危機』、揺らぐ韓国のノーベル賞プロジェクト」と題する記事を掲載した。

 

(1)「世界的な科学雑誌「ネイチャー」が「韓国がノーベル賞受賞者輩出を目指して立ち上げた基礎科学研究院(IBS)の独立性が大きな脅威に直面している」と報じた。ネイチャーは10日(現地時間)「韓国のノーベル賞プロジェクトが厳しい年を過ごしている」という見出しの記事で「IBSはここ12カ月間、研究費の運用や採用不正疑惑に対する監査に続き、予算まで削減された」と報じた。また研究チームのリーダーたちの言葉として「監査結果として公表されたIBS改革案は組織の独立性をむしばみ、本来の任務を脅かす恐れがある」などとも指摘した」

 

韓国のノーベル賞受賞は、金大中・元大統領の「平和賞」だけである。この不名誉を挽回すべく、基礎科学研究院(IBS)を設立したものの、「生みっぱなし」である。韓国社会は、宗族社会だから、宗族が違えば「敵の仕事」と冷遇するのが普通だ。今さら始まった話ではない。ましてや、IBS創設が李明博政権下であれば、文字通りの「敵」になる。文政権とすれば、「潰してしまえ」という認識だろう。

 


(2)「IBSは、「ノーベル賞の産室」と呼ばれるドイツのマックス・プランク研究所と日本の理化学研究所をモデルとして、李明博(イ・ミョンバク)政権当時の2011年に設立された。安定した中長期の大型プロジェクトを支援するという趣旨で、研究チームごとに年間最大で100億ウォン(現在のレートで約9億円、以下同じ)を10年間使えるようにした。ところが昨年行われた国会国政監査で与党・共に民主党などの議員らがIBSの放漫経営を問題視し、科学技術情報通信部(省に相当)に対する監査も行われた。予算も前年の2540億ウォン(約230億円)から2365億ウォン(約214億円)に削減された。当初要求された予算は2712億ウォン(約245億円)だった」

 

基礎科学研究が、おいそれと成果が出るはずがない。気長に成果を待つ。それが、基礎科学を育てる道だ。中韓は、必要な技術を他から買ってくるという認識である。この点が、日本と全く異なっている。そう言っては失礼だが、日本は欧米流儀の研究姿勢だが、中韓は儒教文化圏で、科学技術と無縁の文化(技術蔑視)である。その韓国が、問題を抱えながらここまで来られたのは、一重に日韓併合による「異文化との接触」による。

 

(3)「IBSのキム・ドゥチョル院長はネイチャーとのインタビューで「監査は政治的な動機によって行われ、中間結果が一部メディアに流出した」と指摘した上で「監査で指摘された内容はほとんどが悪意によるものではなく、行政上のミスにすぎない」とも説明した。ネイチャーは「IBSは現政権とは異なった哲学を持っている」として「対立は当然」と報じている。文在寅(ムン・ジェイン)政権は大統領選挙時の公約として、研究者個人を対象とした基礎研究の予算を2倍に増やす考えを示したが、以前の保守政権が設立したIBSについては「一つの研究所が基礎研究の予算を独占しているとの批判がある」と指摘していた」

 

与党「共に民主党」は、IBSの存在を敵視しているはずだ。李明博政権が始めた事業だから許せないのだろう。韓国ドラマによく出てくる筋書きそっくりである。この程度の認識の文政権が、「克日」と言い出した。日本から見れば、笑い話に映る。

 

(4)「一方で科学技術情報通信部は10日、IBSに対する特別点検と総合監査に基づき、複数の研究チームに分散している事務担当者を統合し、研究者が受け取る給与の最低ラインも一律的に引き上げるとする組織の見直し案を発表した。IBSの研究チームは独自の事務職を置き、優れた研究者を迎えるため給与に差を持たせるなど、独自の運営を続けてきた。IBSの院長は今月中に任期を終え交代する」 現在の素材開発など技術分野に力を入れる目的は、政治的な「克日」である。100年以上の差がある日本の後を、短期間で追えるはずがない。民間レベルでは、そういう認識だが、政府が補助金をくれるから貰っているだけ。いずれ、IBSの二の舞で「無駄である」という議論が始まるだろう。