a1370_000550_m
   

韓国が、あらん限りの材料を集めて「対日報復」をはじめている。「ホワイト国除外」を巡るWTO提訴、東京五輪での旭日旗禁止、福島原発汚水問題の国際化。これだけ隣国に嫌がらせをしてくると、怒りを超えて「ため息」が出る。韓国は、日本が全く反応しないでいると見ているとすれば誤算であろう。雷は一度にまとめて落ちるだろう。

 

徴用工賠償金支払いで、韓国が差し押さえている日本企業資産を現金化すれば、日本は強烈な対抗策に出るだろうと予想されている。韓国は、それを承知で資産の売却に踏み切るとすれば、自ら混乱を招くようなものというのだ。

 

『中央日報』(9月12日付)は、「今、北東アジアは専門家診断、東京から見た日韓葛藤の解決法」と題する記事を掲載した。この記事は、東京大学大学院総合文化研究科の木宮正史教授のインタビューである。

 

(1)「韓国政府が大法院(最高裁)の判決と韓日請求権協定が両立できる様々な案を講じるという立場をもっと真剣に明らかにすべきだ。大法院判決で最も重要なのは被害者の個人の請求権を認めたことだ。判決に十分に従うためには請求権が十分に実現される方法を見出すことが優先されるべきだ。個人的には『2+1』、つまり韓国政府と韓国企業、そして日本企業が一緒に対応することが望ましいと考えている」

この「2+1」案は当初、日韓の間で話題になっていたが、文大統領が一蹴して泡と消えた。日韓の混乱は、文氏の間違った認識が招いた側面がきわめて大きい。

 

(2)「GSOMIAは日本との交渉材料になり得ないと考えている。GSOMIA終了は日本だけが一方的に被害を被るのではなく韓日が同時に被害を被ることだ。それよりは今年の年末の日本企業の資産現金化の時期が重要な起点となるだろう。実際に資産の現金化が行われれば、今の安倍政権であれば、韓国の半導体産業に実質的なダメージを与える強力な制裁を加えるものと見る。制裁で韓国を脅かすのは不埒だと思うだろうが、善悪の問題ではなく現実の問題として考えなければならない

韓国は、GSOMIAとホワイト国除外をバーター取引する考えだ。日本は問題の次元が違うと拒否している。当然である。もっと深刻な問題は、徴用工賠償金で日本企業の資産を売却すれば、日本は強烈な「爆弾」を投下すると予測している。これは、「外交的保護権」として認められているからだ。

 

外交的保護権とは、ある国家の国籍を有する私人が、他国の国際違法行為によって損害を受けた場合に、国籍国(注:日本)が国際違法行為を行った国(注:韓国)に対して国家責任を追及できる国際法上の権限である。安倍首相が、韓国大法院判決を国際法違反と言い続けている裏に、日本は外交的保護権を使って対抗する意思を明確にしている。今の安倍内閣であれば、「韓国制裁」に乗り出すとしている。

 

(3)「対称的で相互競争的関係として相手に対する配慮が必要だ。『率直に言いたいことは言うのが本当の友達』という人もいるが、現実ではそうではない。両国が置かれた状況と解決すべき課題が複数の意味で非常に似通ってきている。米中が対立する状況で、それぞれどのような位置に立つのか、互いに競争しながらもどのように協力して解決していくか考えなければならない。例えば、北朝鮮が今後軟着陸できる方法を見出すためには必ず韓日が協力しなければならない。また、米中が極端に対立しないように韓日が影響力を及ぼす可能性は十分にあると見ている」

韓国は、狭量な民族主義を捨てるべきとしている。子どもじみた「反日」が、韓国の運命にプラスでないのだ。南北統一の場合、日本の役割は大きいはずである。文氏には、そういう局面での青写真が描けない人物のようである。反日=南北統一という図式だが、これは外交的に間違いである。今後、衰退必至の韓国経済に、北朝鮮を支える力はない。この現実を認識すべきである。