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中国は、10月1日の「国慶節」の祝賀ムードを盛り上げるべく、米国との話合い路線を演出し始めている。これが、本物か一時的なムードかは、10月の閣僚会議を待たなければならない。米国には、「一時的」という慎重論も根強い。

 

中国が追加関税の対象とする米製品から大豆や豚肉などの一部農産物を除外すると、新華社が13日、報じた。それによると、「中国は市場原則および世界貿易機関(WTO)規則に従い、本日から大豆や豚肉などの農産物を購入する関連企業を支援する」と発表。中国国務院の関税税則委員会が、一部農産物に対する追加関税を除外するとした。また中国は高品質の米農産物を輸入する見込みとした。米農務省は13日、民間の輸出業者が中国向けの米国産大豆20万4000トンを購入したことを認めた。以上は、『ロイター』(9月13日付)が、報じたもの。

 

中国は、米国産大豆を大量に買付けを発表して、米国の反応を見ている。米国は、すでに関税引上の延期を発表しており、久しぶりに「休戦ムード」を醸し合っているところだ。中国の製造業がピンチであること。米国の農村部で、トランプ氏の支持離れが見え始めたこと。双方が、気になる現象に見舞われている。

 

『日本経済新聞 電子版』(9月13日付)は、「景気減速、米中追い込む、貿易協議『暫定合意』に言及」と題する記事を掲載した。

 

米中間で合意しやすい分野から、最も難しい分野までの「難易度」を示すと、次のようになる。1から8に至るまでの難易度だ。

.貿易赤字

.知的財産

.為替

.技術移転

.発動済みの追加関税

.履行検証

.産業補助金

.ファーウェイ

 


(1)「米国と中国が停滞する貿易協議の打開策を瀬踏みし始めた。トランプ米大統領は双方の溝が深い分野を棚上げする「暫定合意」の可能性に言及し、中国も米国産農産品の購入に動き出した。経済への悪影響が広がり、国内の批判が高まっているためだ。ただ、米中とも安易な合意には慎重な強硬派を内部に抱え、先行きは予断を許さない。「たぶん検討する」。トランプ氏は12日、記者団に暫定合意の可能性について問われると、視野に入れていると認めた。「むしろ全体で合意したい」とクギを刺したものの、中国が建国70周年を祝う101日に予定していた追加関税拡大の延期に続き、2日連続で柔軟な姿勢をみせた」

 

(2)「米中貿易協議は中国が国有企業などに支給する産業補助金といった構造問題のほか、米国が中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に課した制裁措置など難題が山積みだ。ある中国政府関係者は「中国は今後の貿易交渉では関税に的を絞るだろう」と話し、ファーウェイ問題を切り離す可能性に言及する。米政府・議会内では安全保障の観点から制裁緩和への反対論が根強いためだ。難題はとりあえず先送りし、比較的合意しやすい分野だけ先行させる戦略だ」

 

上記の難易度によれば、先ず、「入り口」で中国が米国産農産品の輸入を増やして、「歓迎の辞」を述べたようなものだ。ここをスタートラインにする。最終段階の「ファーウェイ」まで辿ることは、米国にその意思がないことで最難関とされている。ただ、トランプ氏の「気まぐれ」でバーゲンに応じる危険性あることから、米議会はトランプ氏が手をつけられないように法案化する動きまである。米議会への中国警戒論は強く、ファーウェイが安全保障のカギを握っているという認識である。