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文大統領は、南北融和を唱える一方で、韓国軍の装備近代化に力を入れている。北朝鮮は早速、この動きを批判しているが、韓国にはそうせざるを得ない事情があるのだ。出生率低下にともなう若者不足。もう一つは、将来の韓国経済の低成長率を見込み、今のうちに高額兵器を購入しておこうという狙いだ。

 

韓国政府の動きで腑に落ちないのは、将来の人口動態や潜在成長力の予測で、改善させようという意欲が消えていることだ。日本であれば、合計特殊出生率の回復目標を立てて、それを実現すべく政策を総動員する。韓国はそれを諦めていることだ。この裏には、現在の労組と市民団体を満足させる政策で十分、という狙いがあるように思える。きわめて、退廃的な政策を考えているようだ。

 

『ロイター』(9月11日付)は、「韓国が国防支出を急拡大、警戒強める北朝鮮」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国と北朝鮮は、2018年以来の対話の積極化とは裏腹に、軍の近代化に多額の予算を投じ続けてきた。対話が中断した今、このことは両国間に緊張をもたらしている。北朝鮮が最近短距離ミサイルを発射したことで、両国による軍備拡張が注目を浴びた。北朝鮮はミサイル発射によって、韓国の新たな武器からの防衛に必要な兵器が完成した、と説明している。北朝鮮国営メディアは11日、金正恩朝鮮労働党委員長が10日に「超大型多連装ロケット砲」の試射を視察したと報じた。アナリストによると、これは韓国軍を脅かす兵器だ。米韓合同軍事演習と、韓国による空母、ステルス戦闘機、偵察衛星などの防衛調達について、北朝鮮はあからさまな先制攻撃準備だと厳しく批判している」

 

北朝鮮が最近、相次いでミサイル発射を行った背景に、下線を引いたような事情がある。経済規模で、圧倒的に引きはされている北朝鮮は、ミサイルでしか韓国を攻撃できる武器がないことを示してもいる。

 

(2)「韓国の国防支出急増は、文大統領の南北融和路線と矛盾するように見える。だが、アナリストによると、主な動機は他の問題にある。人口動態の変化や、長年の同盟国である米国との関係の変化だ。1950─53年の朝鮮戦争以降、韓国軍と在韓米軍の戦時の作戦統制権(OPCON)は米軍が握っている。国際平和カーネギー基金(ワシントン)のアナリスト、キャスリン・ボットー氏によると、文大統領はOPCONの韓国軍への移管を政権の主要目標としており、軍備増強は米国の承認を得る上で重要な役割を担う。また、韓国は高齢化が進んでおり、軍に従事できる若者の数も減っている。防衛白書によると、同国は軍隊の人数を現在の59万9000人から2025年までに50万人へと減らす計画で「規模は小さく、戦闘能力は強く」するのが目的だ」

 

韓国軍は、作戦統帥権を米軍に委ねていることから一本立ちしたいこと。また、出生率の急激低下から、兵員数の減少は必至である。それを武器の近代化でカバーしようという狙いであろう。

 

(3)「ソウル在住の西側防衛関連の高官によると、文大統領は景気が悪化して軍事支出が難しくなる前に、可能な限り単独の軍事能力を増強しておきたい考えだ。「韓国は予算に対する比率で見て、世界で最大の軍事R&D(研究開発費)支出国への道を進んでいる。国際舞台でかつてないほど大きな立場を築こうとしている」と、この高官は話した」

 

下線をつけた部分は重大な意味を持っている。韓国政府は、最低賃金の大幅引上げが韓国経済に負の効果を与えているという認識があることだ。これは、重大な背信行為である。自らの政策失敗によって、潜在成長率の低下を予測しているからだ。こういう政権に委ねざるを得ない韓国の不幸は、筆舌に尽くしがたいように思える。韓国経済は、敗北ムードである。