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最近の日韓対立の中で、韓国では多くの人が「日本をもっと知るべきだ」と発言し始めているそうです。7月に発刊された、元ソウル大学教授らによる『反日種族主義』は、10万部に達するというベストセラーになっています。年内に、文藝春秋から翻訳が出るそうです。韓国左翼からはきわめて評判の悪い本ですが、日本の立場を認めていますので、ぜひ、読んで欲しいと思います。

 

韓国は、「反日」、「排日」、侮蔑という意味での「侮日」まで、感情論で日本を排斥しています。感情論ですから、日本のことを知ろうという「理性」は働きません。日本のことに関心を持つと「親日」に間違われ不利益を被るというのが関の山です。

 


こういう雰囲気の中で、『反日種族主義』が10万部とは破格の売れ行きでしょう。日韓の対立が深まってきた7月以降、韓国の消費者心理指数が格段の悪化傾向を強めています。韓国では過去、政治不安が消費者心理悪化に結びつき、消費減退を招いているのです。日本との対立が、一種の政治不安を醸し出しています。

 

韓国の高学歴社会では、「日本をもっと知ろう」という動きが始まってもなんら不思議はないのです。こういう雰囲気の中で、孫一(ソン・イル)元釜山大学教授が『幕末の風雲児、榎本武揚と明治維新』を発行したそうです。期せずして、元大学教授が、韓国でポジティブな意味での日本歴史書を発行するのは不思議な気がします。

 

現役教授の時代には、いろいろと厄介な問題がつきまとうので、引退して自由な身になってから、伸び伸びと執筆したかったのでしょう。

 

『幕末の風雲児、榎本武揚と明治維新』は、次のような内容だそうです。『朝鮮日報』(9月15日付)が、「国の未来のため反乱軍の司令官とも手を携える」と題する寄稿を掲載しました。筆者は、朴薫(パク・フン)ソウル大学東洋史学科教授です。

 

「(江戸)幕府は1862年、当時26歳だった俊才・榎本をオランダに留学させた。榎本は砲術、化学、蒸気機関学、国際法を猛烈に学んだ。隣国で戦争が起こったら、駆け付けて観戦することも忘れなかった。しかし1867年に日本へ戻ってからあまりたたずして、幕府は自ら政権を天皇へ渡し、「秩序を保って」退却した。榎本は幕府海軍を率い、北海道まで逃れて抵抗したが、結局は捕虜になってしまった。当然、斬首されるべきところ。しかし明治政府も、政権を「秩序を保って」引き継いだ。榎本の西洋知識を惜しんだ「敵将」黒田清隆は榎本を助けた。その後、榎本は明治政府で遂には外務大臣まで務め、才能を余すところなく還元した」

 

ここで、言わんとしている点は、敵だからと言って相手の存在を抹殺せずに、長所を生かせば双方がプラスになると説いているのでしょう。

 

「革命や変革は、反体制勢力が主導するもののようであっても、実は体制側の対応の仕方やレベルがその性格を規定するケースが多い」とも指摘しています。

 

体制側の榎本武揚に活躍の場を与えた、黒田清隆という反体制側の柔軟さが大事であると言っているのです。日韓問題解決に、ヒントを与えているように思います。韓国の読者にぜひ気付いて貰いたいものですね。