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韓国の8月消費者物価が、前年比「-0.04%」になったことで警戒信号が出てきた。今年1月以来、「0%台」がずっと続いている中での「マイナス」である。突発的な「マイナス」でないことに要注意だ。

 

韓国経済が、正常軌道を歩んでいるものならば、「突発的マイナス」でそれほど気にもとめる必要はない。だが、景気循環状況から判断して韓国経済はすでに「不況局面」に入っている。9月20日、韓国統計庁は正式に「不況認識」を発表せざるを得ないところへ追い込まれている。こういう現実を無視して、気休めの楽観論を流すべきではない。無責任の誹りを受けるだけだ。

 

『中央日報』(9月16日付)は、「デフレは大げさ」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の  ナ・ヒョンチョル論説委員である。

 

(1)「8月の消費者物価指数が104.81を記録し、104.85だった1年前より0.04%下がった。1965年に関連統計の作成を始めてから初めてのマイナスだ。通貨危機の渦中だった1999年2月に記録した0.2%以降で最も低い水準という。そうでなくても物価が今年に入って7カ月間0%の上昇率を見せていたところだ。そのためだろうか、四方からデフレの危険性を叫ぶ声が聞こえてきている」

 

物価は、景気の体温計である。需要と供給の強弱を示している。決して、無視して言いわけがない。経済は、「傾向」で判断すべきものだ。上昇・下降の波動を描く中で、現状はどこに位置しているのか。その意味で物価は体温計であり、羅針盤の役割を果たしている。

(2)「韓国経済のデフレリスクはまだ体感しにくい。まずデフレになるには相当期間持続して物価が下落しなければならない。通常1年以上物価が下がらなくてはならない。日本は1999年から2011年までの13年のうち11年で物価上昇率がマイナスだった。需要をあおるため大幅な量的緩和とマイナス金利を使わなければならなかった。これに比較すると1カ月物価指標がマイナスである韓国のデフレを心配するのはとても性急だ。市場に行き商品価格を昨年と比較してみるといい。ほとんどが昨年より大きく上がっているだろう。こうした状況でデフレをうんぬんするのは、いもしないオオカミが来ると大声を張り上げるヒツジ飼いの少年のようだ」

 

消費者物価指数(CPI)は、今年1月から7月まで前年比「0%台」に止まってきた。日本の消費者物価指数も「0%台」であることをご存じであろうか。世界の「低物価王」日本と同じ状況の落込んでいる事実を知れば、韓国も安閑としてはいられまい。このコラムの筆者は、韓国の消費者心理指数が100を割って下降局面あること。特に、日韓関係の悪化している7~8月に消費者心理指数の悪化をご存じないようだ。8月のCPIが、マイナスになったことに神経を払うべきなのは、この消費者心理指数の落込みだ。

 

(3)「 いま大韓民国はデフレを体験していない。それでも叫び声が鳴り響くのは物価そのものに対する懸念というよりは、景気鈍化で経済が冷え込む兆しが見えているのにともなう不安感だ。賢明な政府ならばこの不安感を無視してはならない。経済の半分は心理という。不安感をうまく手なずけて経済主導者の自信を高める政策が必要だ。増やした財政が経済にどれだけ戻ってくるのか、低金利状況での金利引き下げが経済にどのように助けになるのかを国民にしっかり説明する政府を期待する」
 
下線を引いた部分は、きわめて重要なことを指摘している。物価が体温計であり羅針盤であるのは、景気自体が悪化している証拠である。物価と景気は別次元のものでない。この点を誤解しているようだ。このコラムの筆者は、
「デフレは大げさ」というタイトルをつけたが、現在の高失業率をなんと解釈しているのか聞いて見たいと思う。