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韓国に、司法の中立性はあり得ないことが証明された。文大統領が、韓国検察によるチョ・グク法務部長官の疑惑捜査に対し苦言を呈する事態が起こったからだ。文大統領が、折りに触れて発言する「韓国は三権分立の国家」は疑わしいことを証明するもの。三権分立であるならば、行政のトップである大統領が、司法へ介入発言できるはずがない。

 

『東亜日報』(9月28日付)は、「文大統領、『検察は省察』をと曺国氏捜査をけん制」と題する記事を掲載した。

 

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が検察に対して、「検察改革を求める声が高まっている現実を検察は省察することを望む」と述べた。検察の曺国(チョ・グク)法務部長官に対する捜査で、被疑事実の公表など論議が起こっている状況で、文大統領は尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長が率いる検察に最後の警告を送った。

 

文大統領は27日、高ミン廷(コ・ミンジョン)大統領府報道官が代読したメッセージで、「検察改革は高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の設置や捜査権の調整などの法・制度的改革だけでなく、検察権行使の方式や捜査慣行などの改革が共に行われなければならない」とし、このように話した。検察自ら問題点を正し、改善しろという意味だ。

 

(1)「特に文大統領は、「検察は国民に対して公権力を直接的に行使する機関であるため、厳正だが人権を尊重する節制された検察権の行使が何よりも重要だ」とし、「今の検察は、国民の念願である捜査権の独立と検察改革という歴史的使命を持っており、その改革の主体であることを特に肝に銘じてもらいたい」と述べた。このような発言は、与党で提起している「ホコリはたき式捜査」「人権侵害捜査」という批判と同じ文脈であり、大統領府内外では尹氏の検察改革を見守った後、文大統領が検察人事権を行使する可能性があるという観測が流れている」

 

法相自宅を11時間家宅捜査したことや、法相の二人の子どもの事情聴取が「人権侵害捜査」と言えるだろうか。文氏の発言は、余りにも法相擁護の姿勢が強すぎる発言である。もともと、文氏が強引に任命した人事である。任命前に、検察からチョ氏に疑惑が多過ぎという報告を受けていたという。それを無視したのは文大統領である。自らの任命責任を棚上げして、検察批判は的外れの発言である。

 

(2)「それと共に、文大統領は曺氏関連疑惑については、「曺長官が責任を負わなければならないことがあるのかも、検察の捜査など司法手続きによって明らかになることだ」とし、「検察がすべきことは検察に任せ、国政は国政で正常に運営するよう知恵を集めることを望む」と強調した。検察の捜査結果によって曺氏の進退を近く決める可能性があるというメッセージとも読める」

 

大統領たる者は、こういう「謎解き」のような発言をすべきでない。「三権分立」が本当であるならば、検察捜査にすべてを委ねる。その捜査方法に問題があれば裁判過程で明らかになるはずだ。文氏がいくら弁護士資格を持つとは言え、大統領発言としてふさわしくない。

 

(3)「文大統領のメッセージに対して、大検察庁は、「検察は憲法の精神に則って人権を尊重し、法の手続きによって厳正に捜査し、国民が望む改革に最善を尽くす」という原則的な立場を明らかにした。しかし検察内部では、「長官に続き大統領まで捜査に干渉している」という不満が出ている。野党「自由韓国党」の羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表は、「大統領まで出て、検察を攻撃している。これは国民に対する挑戦であり、大韓民国の法秩序に対する攻撃だ」と批判した」

 

下線をつけた部分は、真っ当な批判である。検察内部で、法相のほかに大統領までが事件の「もみ消し」に動き始めたという印象を持たせたことは得策でない。こうなると、検察改革の狙いが、どこにあるのか疑わしくなる。文氏の退任後、自らの身辺を捜査させないという煙幕に使おうしている。こういう批判を裏付けるのだ。文氏は、慎重の上にも慎重を期して行動すべきである。