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けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

儒教は経済発展にマイナス

落込んだ中国の潜在成長率

文政権顕著な国民生活圧迫

 

韓国は、中国の儒教文化圏に属している。朝鮮李朝(1392~1910年)は、国教を朱子学(儒教)と定めたので、韓国思想は中国とほぼ重なり合っている。現代韓国が、中国に対して外交面で一歩も二歩も下がっている姿勢は、宗主国・中国への気配りの現れだ。

 

儒教では、地理的に中国から遠くなるに従い、儒教文化の恩恵が及ばないので「化外(けがい)の地」として蔑まされてきた。韓国にとっての日本は、「化外の地」そのものである。こうした伝統的な思考方式に慣らされてきた韓国が、日本に対して「道徳的に一段高い」という潜在意識で臨んでいることは明らか。文在寅大統領が時折、「道徳的に高い韓国」と発言するのは、儒教文化による影響とみるべきだろう。

 

儒教は経済発展にマイナス

中国と韓国を彩る儒教は、社会の進歩に対してアクセル役か、ブレーキ役であるか。この違いを明確に知ることが重要である。中国は、「共産主義」を標榜している。社会発展の過程から見れば、資本主義社会の次に来るのが共産主義社会である。マルクスはこう規定していた。資本主義が高度の発展を遂げた後に、共産主義社会が到来すると見ていたのである。

 

この点で言えば、中国は資本主義を経験していない社会だ。専制主義から「封建主義と資本主義」を経験せず、共産主義へと暴力革命で一挙に権力を奪った政権である。未だに、国民へ選挙の機会も与えず、「一党独裁」を強要している。なぜ、国民に選挙権を与えないか。それは、選挙制度を恐れているからなのだ。

 

「選挙」という新しい文明に出遭った中国が、魔物でも扱うような姿勢で、中国伝統の専制主義に逃げ込んでいるのは、これまでの人類文化に先例がある。20世紀の英国歴史学者アーノルド・トインビーによれば、新文明に遭遇した時、その未知なる文明に挑戦せず、伝統文化に逃げ込むのは「狂信派」(ゼロット派)と呼ばれている。儒教文化圏とアラブ文化圏がこれに該当するのだ。こうして中韓は、今なお「ゼロット派」に属しており、新しい文化への取り組みに尻込みする文化パターンである。

 

新文明に遭遇した時に逃げ帰らずに戦い、それを通して新しい知恵を学ぶ一派が存在する。トインビーは、これを「ヘロデ派」と名付けた。現在の先進国は日本を含めて、すべて「ヘロデ派」である。こう見ると、日本が韓国と文化摩擦を起こすのは当然と言える。価値基準が異なるゆえに、日韓は潜在的に衝突する可能性が大きい関係性にある。

 

韓国は選挙制度もあり、先進国と同じ価値観である。だが、韓国は「ゼロット派」という肌着を身につけていることを忘れてはならない。外見とは異なって、最後は「本性」を見せてくるのだ。韓国国内で制度改革を拒否して、合理化が進まない裏に、こういう改革へのブレーキが作動している。

 

一例を挙げれば、労働市場の改革は御法度である。終身雇用制と年功序列賃金に固執するので、労働市場の流動化が進まず転職の可能性は小さい。よって、失業率が高止まりするなど弊害が顕著だ。また、転職できずに中途退職して自営業へ走り、それが一層雇用を不安定にさせるなど、多くの社会問題を引き起こしている。

 

中国と韓国の経済は、「ゼロット派」ゆえに制度改革に消極的であり、生産性向上が不活発という共通要因を抱えている。この中韓両国は、貿易関係において相互依存性が高い。韓国の場合、対中国輸出は25.1%(2017年)で首位である。中国経済の好不況に影響を受けやすい輸出構造だ。中国のGDPが1%ポイント下落すれば、韓国のGDP成長率が0.5%ポイントの下落を招くという試算があるほど。韓国が、中国経済へもたれかかっているのだ。

 

このことから分るように、韓国経済は中国の好不況に強い影響を受ける。それだけに、中国が制度改革に消極的という文化的要因を考えると、韓国も同じ消極性を秘めているゆえに、今後の韓国経済について一段の警戒観を持つべきだろう。(つづく)