韓国でまた、大きな問題が持ち上がった。韓国建設業は、積極的に海外へ進出しているが、ラオスで完成目前のダムが決壊し、死者と多数の行方不明者が出ている。韓国政府は、救援隊の派遣を決定した。決壊の原因は不明だが、ダム上部が約1メートルも陥没したと伝えられているところから、ダムの基底部分の岩盤チェックが甘かった可能性も否定できない。
日本のダム工事の映像を見ると、ダムの基底になる岩盤チェックは慎重の上にも慎重を期している様子が分る。このことから見て、何らかのミスがあったので無いかと危惧される。そうでなければ、岩盤と一体になっているべきダムの堰堤に陥没が起こる事態は想像しにくいであろう。
以下の記事は、韓国紙『中央日報』(25日付・26日付)によって構成した。
ラオスで韓国SK建設が参加して建設している大型ダムの一部が崩壊し、数人が死亡して数百人が行方不明になったとロイター通信などが24日に報道した。外信によると23日午後8時ごろラオス南東部アッタプー県でセピエン・セナムノイ水力発電所の補助ダムが決壊した。この事故で50億立方メートルの水が突然放流されて周辺の6つの村を襲った。ラオス当局によると現在まで数人が死亡し数百人が行方不明となった。住宅1370軒が被害を受け、6630人の被災者が発生した。
セピエン・セナムノイダム建設は10億ドル規模の超大型プロジェクトだ。2012年にSK建設が韓国西部発電、現地企業、タイの電力会社と合弁法人(PNPC)を構成して事業を引き受けた。2013年11月に着工し現在92%ほど工事が完了している。来年2月に竣工して発電を開始する計画だった。電力生産量は41万キロワット級で、韓国最大規模の忠州(チュンジュ)ダムに匹敵する。このダムで生産された電力はタイに90%を輸出することになっていた。
7月25日(以下、現地時間)の仏AFP通信によると、SK建設側はダム上段部が流失したことを先週日曜日(22日)午前9時に発見したと明らかにした。ダム決壊の24時間前だ。SK建設側は「(発見後)直ちにラオス当局にこの事実を知らせ、村の住民を避難させ始めた」とし「豪雨によって補修作業が遅れ、補助ダムが決壊する危険が高まると、23日朝からセナムノイダムの水を放流するしかなかった」と釈明した。
実際、現場にいた韓国人はあらかじめ避難して無事だった。CNNは24日、韓国人現場勤労者53人は全員が無事に避難していたと伝えた。
AFPによると、ダム崩壊の兆候はSK建設が明らかにした以前から表れていた。SK建設と共にラオスでダム建設に参加している韓国西部発電は、「20日に中央ダムで11センチの沈下現象が見つかった」と韓国に報告した。AFPは韓国西部発電の今回の事件に関する日誌を入手したと明らかにし、韓国西部発電もダム崩壊の兆候を先週から認知していた可能性を提起した。
実際、韓国西部発電のキム・ビョンスク社長は25日、国会の産業通商資源中小ベンチャー企業委員会で業務報告し、20日に沈下現象を確認したことを明らかにした。22日にはダム上段部10カ所で沈下が発生して復旧装備を手配し、23日午前11時ごろダム上段部が1メートルほど沈下し、この時から避難協力を要請して住民の避難が始まった、と説明した。
韓国の建設業界では、「ダム決壊によって今回の事故が発生したならば、建設工事を引き受けた企業は金銭的側面だけでなく、信頼度でも相当な打撃を受けることになるだろう」と予想する。
施工会社のSK建設・安宰ヒョン社長が25日午後(現地時間)、現地のアッタプー県知事と面会し、救助と復旧に協力を約束した。安氏は、医薬品や食料品、衣類などの支援を求められ、「ラオス政府の緊急救援活動をできる限り積極的に支援する」と応じ、救援物資の支援に加え被災者のための臨時の住まいも最大限提供できるよう最善を尽くす考えを示したという(『聯合ニュース』7月26日付)