勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2018年11月


    日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は26日午前、社内向けの説明会で「ルノーとの提携関係は対等ではない」と述べ、関係を見直す意向を示したという。説明会に出席した社員が明らかにした。日本経済新聞11月26日夕刊が伝えた。

     

    仏ルノーは日産に43%を出資する一方、日産からルノーへの出資比率は15%で議決権がない状態だ。これでは、日産がルノーに占領させているようなもの。日産社内の士気は上がらない。今春、ルノー技術陣が日産技術陣と顔合わせしたが、「占領軍気取り」で命令したとして、顰蹙を買ったという。技術レベルは、ルノー側が低いだけに一層の不満を招いた。

     

    『ブルームバーグ』(11月23日付)は、「日産自、ルノーとの資本構成見直しも、アライアンス持続でー関係者」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日産自動車は仏ルノーとの資本構成を再検討する可能性を示した。カルロス・ゴーン容疑者の会長職を解いた後のアライアンスのあり方を考える。事情に詳しい関係者は23日、匿名を条件にアライアンスの進め方、体制の在り方、資本構成も当然もう1回考え直すこともあると述べた。ゴーン容疑者の会長職解任を全会一致で決めた22日の取締役会ではアライアンスの重要性について再確認した。関係者は、アライアンスを持続可能にするため基本的なことからきっちり見直すと語った。その際には三菱自動車を含めた3社の理解を共有する」

     

    約20年前、ルノーと日産の力関係で決められた出資比率と議決権の有無が、今なお踏襲されていることは不合理である。現在の勢力関係に見合った出資比率と議決権に訂正することが、アライアンス(ルノー・日産・三菱の連合体)を維持し発展させる前提条件だろう。

     

    フランス政府は、現状維持を狙っている。日産・三菱の産み出す蜜を狙っているが、それはいつまで続くはずがない。先に、日仏の閣僚が会談して、互いにアライアンスへの介入を控えることで合意した。これは、日本が先手を打って日産主導権確立への後押しと見られる。フランス政府の介入を抑えて、企業同士の交渉になれば、力関係からみて日産に有利な条件が引き出せるという思惑かもしれない。

     

    (2)「日産自の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は22日、ルノーとの資本構成について『今は現状の安定化が一番』と答えていた。現在はルノーが日産自に43.4%を出資して議決権があるのに対し、日産自はルノーに15%出資するが議決権はない。日本の会社法では日産自が出資比率を25%に上げるとルノーの議決権が消滅する。また日産自が増資してもルノーの出資比率が下がり、影響力も低下する。SBI証券の遠藤功治企業調査部長は、ルノーと日産自の資本関係について『売上高も利益もルノーより大きい日産自がルノーに支配される不均衡は是正する必要がある』と述べた。同時にルノーが日産自の議決権を持たない形については『ルノー筆頭株主であるフランス政府の理解が得にくく難しいのではないか』との見方を示した」

     

    日産とルノーの関係を安定させるには、現在の力関係に合わせた改訂しかない。世界2位の販売実績を持つアライアンスを崩壊させてはもったいない話である。日本に、トヨタとアライアンスの2大自動車グループが存在すれば事実上、日本が世界の自動車業界を制することになる。このチャンスを生かして、日産にアライアンスの支配権を持たせる工夫をすべきだ。

     

     

     


    韓国で国籍放棄者が激増している。韓国政治は、革新政権の下で国民に顔を向けているはずである。だが、就職難と兵役義務の強化で、「韓国籍」を離脱する人が増えている。韓国は、互いにいがみ合っており、些細なことでも激昂する社会である。宗族制の名残を今に伝えており、住みにくいのだろう。

     

    『朝鮮日報』(11月25日付)は、「今年の韓国国籍放棄者すでに3万人、就職難や兵役義務強化が影響」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「今年に入って10月までに3万人を突破し、過去10年で最多になったことが分かった。野党・自由韓国党の朱光徳(チュ・グァンドク)議員が25日に法務部(省に相当)から入手した資料によると、今年1月から10月までに韓国国籍を喪失した人は23791人、国籍を離脱した人は6493人で、計3284人が韓国国籍を失った」

     

    (2)「過去10年(2008~17年)の国籍放棄者は年間2万人台で推移していたが、今年は大幅に増加した。国籍放棄者とは、外国への移住などにより外国籍を取得して自動的に韓国国籍を喪失する「国籍の喪失」と、出生時から二重国籍だった人が届出によって外国国籍を選択する「国籍の離脱」の二つのケースに分けられる」

     

    今年1~10月までのデータで、次のような結果が分った。

     

        国籍を喪失した人とは、外国籍を取得して韓国籍を失う人:2万3791人

    自発的に国籍を放棄するケース。今年1~10月に帰化という形で外国国籍を取得した韓国人は2万1022人で、昨年より3305人増え、2008~17年の平均(1万8925人)と比べても2097人多かった。年換算で2万8549人人にもなる

     

        国籍を離脱した人とは、二重国籍を解消して韓国籍を失う人:6493人

    今年1~10月の国籍離脱者は6493人で、前年同期(1905人)の3倍以上、2008~17年の平均(1002人)の6倍以上となっている。国籍離脱者は、兵役免除を目的とした満18歳未満の在外韓国系2世の男性がほとんどだ。年換算では、7791人である

     

    以上の、韓国データと日本のデータを比較すると、驚くべき結果が出た。日本では、「日本人」の誇りからか、国籍喪失者も国籍離脱者も桁違いに少ないのだ。

     

    日本国籍離脱者(二重国籍解消)

    平成24年 262名

    平成25年 380名

    平成26年 603名

    平成27年 518名

    平成28年 613名

     

    日本国籍喪失者(外国籍取得)

    平成24年 711名

    平成25年 767名

    平成26年 899名

    平成27年 921名

    平成28年1058名

     

    日本でも他国への帰化が増えている。国際結婚のケースもあるだろうし、ごく自然な変化である。2016年(平成28年)でも1058人だ。韓国は2008~17年の平均が、1万8925人である。日韓の総人口比からみて、韓国の国籍喪失者は極めて高い。韓国が住みにくい社会であることを図らずも証明している。余り、日本批判を言わない方が良さそうだ。



    日本人が、旧日本軍の軍服を着るのは、映画やドラマのシーンだけである。太平洋戦争への深い反省があるからだ。中国の若者がなぜ、そういう行動に出るだろうか。中国では、これを「精日」(精神的日本人)と呼んでいる。もちろん、遊び心であることは間違いないとしても、その心底に潜むものは、中国政治体制への批判であろう。

     

    中国では、TVで荒唐無稽な「反日ドラマ」を流している。視聴者から嘲笑を買っていることも知らないで、愚かな振る舞いを続けているのだ。ところが、現実の日本旅行をすると、余りにもかけ離れた姿に驚き、途端に「日本ファン」になるという話がよく伝えられている。

     

    中国と比べた日本は、中国の青年にとって「別天地」に映るのだろう。中国共産党が批判する日本と、現在の日本の落差に戸惑っているはずだ。その戸惑いが、「精日」へ向かわせていると読むべきだ。

     

    中国では、婉曲話法で批判することがある。相手を直接批判すると角が立つからだ。そういう中国人の心情からすれば、「精日」は共産党批判の表れだ。中国共産党は、それを察知して、先ず、南京市が厳罰に処する法律をつくった。

     

    『レコードチャイナ』(11月26日付)は、「南京市、精神日本人行為に処罰条例、1213日施行」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国『中央テレビ』(11月25日付)のニュースサイトによると、中国江蘇省人民代表大会常務委員会会議は23日、南京大虐殺を否定する行為や、南京市内の国家追悼施設で旧日本軍の軍服を着るなどの「精日(精神日本人)」行為を処罰する「南京市国家公祭保障条例」を満票で可決した。条例は1213日から施行される」

    (2)「中国では、日本軍国主義を称賛する『精日』と呼ばれる人たちの言動が社会問題化している。問題が取り沙汰されるようになったのは、昨年8月、第2次上海事変(1937年)の記念館前で4人の男性が旧日本海軍のものとされる軍服姿で写る写真がネット上に投稿されているのが見つかり物議を醸したのがきっかけだ」

     

    (3)「今年2月には、南京市の紫金山にある抗日烈士の英霊前で、旧日本軍のものとされる軍服姿で、軍刀や歩兵銃、旧日本軍の「武運長久」旗を手にして自撮りした男2人が15日間の行政拘留処分を受けた。また、4月には『南京大虐殺の死者はたったの30万人。少な過ぎた』などとネット上に投稿した男も5日間の行政拘留処分を受けた。こうした事態を受け、王毅外相が『中国人のくずだ』と批判し大きな注目を集めた」

    あえて、コメント付ける必要もない。



    日本が、2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致に成功した。三つどもえのレースで、最大のライバルと目されたのはロシアであった。サッカーワールドカップ(W杯)を今夏に成功させたからだ。日本は、「オモテナシ精神」が買われたのか、最後は、ロシアとの決選投票で勝利を収めた。

     

    日本は、1970年大阪万博の後、博覧会国際事務局(BIE)公認の国際博覧会が4回開かれている。2025年の大阪万博を含めれば、合計6回になる。このほか、五輪では、冬が2回、夏は2020年の東京五輪を含めて4回になる。このように1960年代以降、五輪や万博の開催地に立て続けに選ばれたことは、世界的にも珍しい記録でなかろうか。ざっと数えれば、70年間に五輪と万博を10回も開催する計算になる。

     

    その都度、他国の有力立候補があったはずだ。その中で、ライバル国と比較されながら、「栄冠」を勝ち得たのは、日本の良さが目立った結果だ。それは、具体的に何だったのだろう。軍事的に他国を脅かす存在でないことが大きな理由と思う。

     

    日本は、韓国と中国を除けば感情的な問題は一つもない。島国であることが潜在的な紛争要因をなくしている。第二次世界大戦では、アジア地域全体を戦場にしたので、多大な被害を及ぼした。その賠償とODA(政府開発援助)によって、過去の償いをしてきた。そういう誠実な姿勢が、諸外国から評価を受けて、70年間に五輪と万博を10回も開催する「栄誉」に浴したのだろう。韓国は、この日本を「目の敵」にしている。謝罪に誠意が足りない。もっと賠償金を払え、と難癖を付けている。

     

    『産経新聞 電子版』(11月24日付)は、「大阪万博、首位通過狙い通り、決選投票でロシア圧倒」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「誘致関係者によると、日本が総会までに『口上書(こうじょうしょ)』(外交文書)で支持を取り付けた国は81カ国。過去の経験則から導かれた『裏切り率』の約2割を差し引き、情勢分析を加味した票読みの結果は約70票を示した。BIE加盟国のうち、分担金を納付して投票資格を持っていたのは6月時点で126カ国。『70票』は1回目の当選条件である3分の2に満たないが、1対1の決選投票で勝つための過半数には届いていた」

    相手国から口上書まで貰って、日本支持を取り付ける。舞台裏のやり取りを聞いて大変な苦労があったことが明らかにされている。日本は、口上書で81ヶ国の支持を取り付けていたという。決選投票では85票に積み上がっていた。口上書を出さない「隠れ親日国」がいたのだ。


    (2)「終盤戦、W杯の成功で国際的な評価を高めたロシアが、猛烈な巻き返しを見せ始めた。「支持国に念押しに行くと、反応が鈍い。調べると、少し前にロシアが代表団を送り込んでいた。そんな国がいくつもあった」(経済産業省幹部)BIE分担金を納める国もにわかに増えた。最終的な投票総数は156カ国に達した。「ロシアが分担金を肩代わりし、20票を積み増した」との情報が駆けめぐった。この時点で決選投票は確定的に。「1回目の得票で1位になる」ことが日本の至上命題になった」

    (3)「万博のような国際的な選挙で、投票する側が避けたいのが「死票」になること。最終局面では「勝ち馬」に乗る心理が働き、2位通過の国には票が流れにくいからだ。今月19日にパリ入りした日本の誘致委員会役員は従来の支持を固め、裏切り率を減らすことに注力した。総会前日の22日夜には、5班に分かれて各国代表を招いた夕食会を開催。「顔の見える支持要請」(誘致関係者)を徹底した。投票前の最終プレゼンテーション。日本は、世耕弘成経済産業相が「スシ、カラオケ」のフレーズを交えて「大阪は楽しい」と柔和な表情で呼びかけた。迎えた1回目の投票。日本の得票は口上書を上回る85票まで伸びた。狙い通りのトップ通過で決選投票でもロシアを圧倒した」

    世耕弘成大臣の「スシ、カラオケ」のフレーズを交えた大阪の紹介は見て、思わず笑ってしまった。あの笑いを取るプレゼンが効いて、決戦投票で口上書を上回る票数になったのかもしれない。


    (4)「ある誘致関係者は「ロシアは投票国を増やして票を増やそうとしたが、日本は正攻法で訴えて確実な支持(票)を得た」と語った。誘致決定後のレセプションで祝杯を挙げた松井一郎大阪府知事は『選挙って金じゃない。誠意をもって熱意を伝えることが大切やねん』と上機嫌だった」

     

    2回目の大阪万博が決まって、あとは実行あるのみだ。今回、日本は発展途上国へ出展補助金200億円以上も出すと提案した。良い案だと思う。これが、日本とのつながりをさらに深める。そういう、きっかけになれば最善の策だ。

     

     



    今朝、発行しました。目次は下記の通りです。ご購読をよろしくお願い申し上げます。

     

    歴史問題を持出す理由は何か

    民族主義「86世代」が支配

    「反日」で国内求心力高める

    10月から不況局面へ落込む

    中国人民元安でウォンも急落

    通貨危機で日本へ駆け込む?

     

    韓国は、立て続けに歴史問題で日本へ砂をかけるに等しい行為を行なっています。10月30日は、韓国大法院が戦時中の徴用工への賠償を命じる判決を下しました。11月21日は、2015年の日韓合意に基づき設置した従軍慰安婦問題の「和解・癒やし財団」の解散を発表しました。これは、慰安婦問題の日韓合意の破棄に等しい行為です。

     

    韓国が、国内の政治的な配慮で国際関係の取り決めを一方的に破棄することが、今後の対日外交にどのような悪影響を及ぼすか。そういう未来を見据えた配慮はないようです。ただ、国民の潜在的な反日感情に迎合する形で対応したと見られます。韓国経済はすでに10月から不況期に入っています。いずれ日本へ支援を求めるような事態が予想されます。具体的には、3回目の通貨危機発生の際、日本の協力を求めなければ乗り切れないはずです。

     

    あの「反日」を国是にするような中国ですら、人民元相場の急落に備えて、日中通貨協定を要請してきたのです。先の安倍首相訪中時に、両国は調印しました。人民元相場が急落すれば、韓国ウォンも道連れで急落が予想されます。その際、韓国は日本へ頼りたくても、日韓通貨協定はありません。その時、なんと言って日本へ支援を求めてくるのでしょう。

     

    すでに、韓国大学生の就職問題では、日本へSOSを打って来ています。韓国政府主催による日本企業就職フェア(韓国では就職博覧会と呼んでいます)を開催。多くの韓国大学生が殺到しています。このように、身近なところで、日本が大きな「助っ人」になっているのです。それにもかかわらず、「歴史問題」で日本に謝罪を求め賠償を増やせと高姿勢で臨んでいます。

     

    こうした韓国の要求に、日本はどのように対応すべきでしょうか。先の慰安婦財団解散に対して、日本の主要7紙が一斉に反対の社説を掲げました。日韓両政府が合意した協定が、韓国の政権交代で白紙化されたのです。この事態を受けて、日本はどのように対応すべきでしょうか。韓国の政権が変わっても、粘り強く要求し続けるしか方法がないのです。

     

    歴史問題を持出す理由は何か

    韓国が、歴史問題で日本に背を向けている理由は何でしょうか。

     

    原因は、日韓併合問題(1910年)にまで遡ります。日韓併合は、日本の敗戦(1945年)によって消滅しました。さらに、日韓基本条約(1965年)で法的に解決したのです。日本は無償3億ドル、有償2億ドル、借款を含めた11億ドル以上の支援を「経済協力金」という名目で行ないました。先の韓国大法院の判決では、日本の支払った金額が「賠償」でなく、「経済協力金」名目であるから、人権の名の下において個人保障は時効がなく請求可能としました。実態を無視した屁理屈です。

     

    日本が、日韓交渉で「賠償」名目に応じなかった理由は、日韓併合が合法的に行なわれたことです。合法的であった日韓併合に、賠償金が発生する理由がありません。そこで経済協力金名目になりました。これは、最終的に韓国も合意した結果なのです。ところが、あれから半世紀以上もたって、韓国大法院が「賠償」という名目がないから「個人賠償請求は可能」であるとの判決を下したのです。日本が、こういう判決を出されれば、「エッ」と驚くのは当然です。日本政府が、拒否声明を出しました。

     

    慰安婦問題は、3年前の12月に日韓両政府間で合意が成立しました。日本は10億円を拠出しました。ところが、文政権は元慰安婦の意見を聞かずに合意したから無効であると宣言。ついに先頃、日本の10億円基金で設立した財団を解散したのです。これは、事実上の日韓慰安婦合意の破棄になります。韓国政府は「財団解散だけで破棄でない」と詭弁を弄しています。(つづく)

     

     


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