中国経済は、不動産価格と一蓮托生の運命である。土地は国有である。地方財政のカギは、不動産価格が握るという異常構造である。孫文は『三民主義』で土地の民有制度を守り、地価値上がり分を税金で吸い上げる方法を提案した。毛沢東は、いきなり土地の国有化を断行した。
中国の長い歴史では、土地の私有と公有の両制度が繰り返し行なわれてきた、私有にするとそれが行き過ぎて所有の集中化をもたらす。公有化にするとこれも行き過ぎて耕作の荒廃をもたらす。この繰り返しであった。今は、国有制で官製の不動産バブルを引き起こしている。土地が、「打ちでの小槌」になっているのだ。孫文の政策が、私有と公有の折衷案で最も優れていた。
『レコードチャイナ』(11月25日付)は、「中国各省の経済、不動産への依存率ランキング」と題する記事を掲載した。
(1)「中国メディア『中新経緯』(11月24日付)は、2018年1~9月の中国全31省(含、中央直轄市、民族自治区)GDPに対する『不動産業投資依存度ランキング』を発表した。海南省が34%と圧倒的に高く、上海市・北京市・広東省など経済先進地では15%台前半と、相対的に高くないことが分かった。以下に、そのランキングを示す。
海南省34%
安徽省22%
重慶市21%
雲南省19%
浙江省19%。
広東省15%
上海市12%
北京市12%」
地域GDPに占める不動産投資額の大きさに愕然とする。31省のうち21省で不動産依存率が10%~19%と極めて高いのだ。不動産業の資金繰りが悪化している現在、デフォルトを起こせば、地方経済は大きな影響を受ける。こういう歪な経済構造をつくり上げてしまい、ここからの脱却には大きなコストを払うことになろう。
(2)「31省のうち21省で不動産依存率が10%~19%の範囲だった。北京市と上海市の不動産依存率については、北京市では今後5年内に賃貸住宅50万戸を建設し、上海市には2020年までに賃貸住宅70万戸を建設するなどで、市の状況に合致する住宅事情を実現する計画がある。中原地産で首席アナリストを務める張大偉氏は、北京市と上海市のGDPにおける不動産投資額の割合は、住宅建設などで短期的にはやや上昇するが、長期的には下降するはずだとの見方を示した」
北京や上海では、賃貸住宅を建設してGDPを押上げる計画である。あくまでも不動産依存経済を続ける意向だ。不動産に取り憑かれた産業構造だが、家計債務の視点から言えば、もはや限界を超えている。そこで、賃貸住宅建設に切り替えるのだろう。そうなれば、不動産開発会社の採算は悪化する。いずれにしても、悪あがきから目を覚ますべきである。