勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2018年12月


    中国は、また米国への譲歩を一つ増やした。これまで、輸入した実績のない米国産コメの輸入を決定したからだ。中国は、米中貿易戦争で大きな被害が出ている焦りが、こういう譲歩を重ねさせているに違いない。年末が迫るとともに、中国経済には暗いニュースが増えている。限界状況に達した証拠であろう。

     

    『ロイター』(12月29日付)は、「中国、米国産コメの輸入許可、通商協議控え柔軟姿勢か」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国は初めて米国産のコメの輸入を許可した。1月に行われる米との通商協議をにらんだ対応とみられる。中国はコメをアジア諸国から輸入しており、米国産をどの程度輸入するかは現時点で不明。中国税関当局の声明によると、同国の検査基準を満たし、米農務省に登録された業者が扱うコメの輸入を12月27日付で許可した」

     

    米国産のコメ輸入量は不明であるが、中国政府は米国政府に対し「恭順の意」を示した恰好である。ここまでへりくだった中国を見たことがない。よほど、経済的に窮迫している証拠であろう。

     

    (2)「コンサルタント会社JCIのアナリストは、米国産コメの輸入許可は、米中関係改善を示唆すると指摘し、国有企業が発注元になるとの見方を示した。政府系シンクタンクの幹部は、米国産コメの価格は南アジア産に比べて価格的に優位性があるわけでなく、輸入許可は中国側の善意の表れと解釈すべきと述べた」

     

    中国は、アジア産に比べれば割高の米国産コメを輸入する。この点を見ただけでも追い詰められている中国の姿が浮かび上がる。「米国へ徹底抗戦」と言い放ったあの強気は、どこにも見られない。高い代償になった。

     

    (3)「中国は2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟した際にコメ市場を開放したが、米国のコメ販売団体USAライスによると、米国と中国の間で検疫に関する取り決めがなく、米国産コメの輸入は事実上禁止されていたという」

     

    米中間では、コメの検疫協定もないほどコメ貿易は、米国にとってマイナーであることを示している。それでも中国は、米産のコメ輸入を決意した。痛々しいしいほどの配慮だ。

     

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    反企業主義の文在寅政権は、企業に規制を加えて喜ぶ「サディズム」である。あの中国経済すら、規制を緩和して改革を行なえと言われているご時世なのだ。韓国は逆である。法人税率を引上げる、最低賃金の大幅引き上げを行なう。一挙に労働時間の上限を週52時間にするなど、雇用側の負担が手に負えないほど増えている。

     

    これに耐えている韓国企業は、「ゆで蛙」に喩えられている。じっと我慢して「規制の湯」に浸かっている間に、落命する危険性が各方面からい指摘されている。

     

    『中央日報』(12月27日付)は、「韓国経済はゆでガエル、もうすぐやけどー大韓商議会長」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「朴容晩(パク・ヨンマン)大韓商工会議所会長は、これまで何度も規制改革の必要性を説明してきた。韓国経済が直面している状況があまりにも深刻であるからだ。金東ヨン(キム・ドンヨン)前経済副首相兼企画財政部長官側に規制改革案を40回以上も伝えたほどだ。朴会長は12月26日、記者団のインタビューで規制改革に対する政府の役割を何度も強調した。規制改革のない来年の韓国経済は『ゆでガエル』の姿になると考えているからだ」

     

    大韓商工会議所会長は、前経済副首相兼企画財政部長官側に40回以上も規制緩和の必要性を訴えたが、成果はなかった。現政権は、「規制の鬼」で反企業主義であることも手伝い、企業の活力を奪っている。これは、回り回って文政権の支持率を下げ、政権の首を締めることになる。それが分からないほど、規制の夢に酔っているのだ。

     

    (2)「しかし朴会長は、『政府が規制廃止に率先すべきだが、言葉だけで率先していない』と遺憾の意を表した。朴会長は規制改革が行われない理由に、規範と法が十分に役割を果たさない社会の雰囲気を挙げた。朴会長は現在国会で審議中の商法改正案を事例に挙げながら「法の問題があり規範の問題があるが、我々の社会は特に規範が作動せず法だけが作動する国」と批判した。朴会長は、『第20代国会に入っても企業関連法案が1500件ほど発議されたが、うち800件以上が規制法案』とし『今でも規制のために死にそうだというのに、800件も追加する規制がどこにあるのか』と反問した」

    このパラグラフでは、実に興味深い点が指摘されている。「法と規範」の関係である。韓国では、この両者の関係が曖昧にされているから、すべて「法」という上からの規制で解決しようとしている。欧米流の市民社会では、「規範=民間ルール」という民間の自主的な取り決めに委ねる部分が多い。これが、一々「法」で縛らなくても、社会が円滑に回って行ける秘訣である。韓国も、経済では「法と規範」の関係を見直して、「法」を減らし「規範」を増やす経済になれば、現在よりもスムーズに動ける社会になるであろう。

     

    文政権の与党は、「共に民主党」という立派な党名を持っているが、やっていることは民主主義とは反対の「法という規制依存」である。この悪弊を絶つにはどうするか。法律を外して規範という民間ルールに委ねる度量が必要である。

     

    口うるさい親による教育よりも、約束を守らせたあとは自由にさせる。そういう子ども教育が見直されている時代だ。スポーツでも、監督ががんじがらめに規制するよりも、選手同士の自主性に任せるほうが好成績を挙げている。例えば、学生マラソンで急に頭角を現している青山学院大学のマラソン部は、その適例である。監督の仕事は、マネジメントのようだ。韓国政府も一緒だ。「経済の監督役」よりも青山学院大学流のマネジメント役になれるかどうかであろう。

     

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    韓国軍駆逐艦によるレーダー照射事件は、ついに日本側が哨戒機内の動画を公開して「白黒の決着」を付ける形になった。動画を見れば一目瞭然、韓国が意図的にレーダー照射したことは動かせぬ事実になった。韓国のメンツは丸つぶれである。

     

    ここまで事態が悪化する前に、韓国は一言謝罪すれば良かった。それを、「反日」のメンツもあって、日本への謝罪を拒否した結果がこういう事態を招いた。韓国国内で、不利な立場に立たされるという思惑が先行して謝罪せず、外交的にも大きな失点につながった。

     

    日本側が、動画を公開して明らかにした「韓国のウソ」は、次の点だ。

     

        韓国海軍の駆逐艦とすぐ傍に、北朝鮮の漂流漁船が、既に発見されていること。

        北朝鮮の漂流漁船を発見済みである以上、対空レーダーを稼働させる理由がないこと。

        P1哨戒機からの無線の呼びかけを無視した点について、海上自衛隊哨戒機は明確に韓国海軍駆逐艦クァンゲト・デワンの艦首に描かれた艦番号971を名指しして呼び出していること。

     

    『中央日報』(12月28日付)は、「韓国国防部、日本の映像公開に客観的な証拠とはみられない」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「崔賢洙(チェ・ヒョンス)国防部報道官は28日の午後、『国防部の立場』を通じて、「韓国海軍「広開土大王」(DDH-971)は正常的な救助作戦を行っていた。日本のP-1哨戒機に対して射撃統制レーダー(STIR 180)の稼働はなかった事実は変わらない」と述べた。崔報道官は『相互誤解を解消するための実務級テレビ会議から1日ぶりに日本側が映像資料を公開したことに深い憂慮と遺憾の意を表明する』と述べた。また、『日本側が公開した映像資料は単純に日本の哨戒機が海上から巡回するシーンとパイロットの対話だけだ。一般的な常識からみると射撃統制レーダーを調査したという日本側の主張に対する客観的な証拠とはみられない』と述べた」

     

    サウジアラビア政府も、同国のジャーナリスト殺害事件では、初めはシラを切っていが、最後は事件を認めて関係者の逮捕に踏み切った。韓国も、ウソにウソを重ねた話を繰り返

    していると、日本の信用を失うばかりだ。日本政府は、もはや韓国政府を信用しなくなっている。これは、韓国外交にとっては極めて大きな損失のはずだ。

     

    (2)「続いて、『われわれはこれまで日本の一方的な行動について節制した対応を取ってきた』として、『日本側のこうした遺憾な行動にもかかわらず、韓日の国防協力関係を未来志向に発展させていかねばならないという立場に変わりはない。日本側は韓国と軍事的な友好協力関係を維持するという精神を持続的に堅持しなければならない』と述べた」

     

    日韓関係筋によると、韓国側は当初、レーダー照射問題を公表しないよう日本政府に要請した。日本側が受け入れず、積極的な対外発信に踏み切ることは想定外だったと伝えられている(『読売新聞 電信版』12月28日付)。韓国にとって、不都合な事実が明らかにされるからだ。

     

    韓国は、自らの冒した違法行為を日本側に転嫁させる「汚い手」を使っている。そして、日本側は韓国と軍事的な友好協力関係を維持するという精神を持続的に堅持しなければならない、と説教までしている。戦前の日本で、「説教強盗」の話が有名である。押し入った強盗が、怯える家人に対して「戸締まりをしっかりしろ」と説教したというのだ。上記の下線部分は、日本が本来、韓国軍に説教する内容である。呆れて韓国軍である。

     

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    中国政府は、不動産バブルの沈静でソフトランディングに成功すると豪語してきた。バブルの歴史において「ソフトランディング」などあり得ない。必ず、「ハードランディング」するというのが歴史の教訓だ。その報いを受けて、今年の株価は年初来25%、255兆円が煙と消えた。日本のGDPのおおよそ半分である。その規模の大きさが分る。

     

    中国政府が楽観的であったのは、市場メカニズムを反映する株価暴落などは、政府の権力を以てすれば抑えつけられると見ていたからだ。この傲慢さが、不動産バブルを抑制するどころか、逆に煽り立ててGDP押上げのテコに使ってきた。習近平氏は、この偽りの高成長で「国家主席無任期制」を手に入れることができたのだ。バブル様々である。

     

    だが、「好事魔多し」である。上手くいった積もりだった不動産バブルが、逆回転を始めたのだ。信用機構は目詰まりを起こし、不良債権の山を築いている。信用不安の発生で、新規融資がストップして、資金繰りが窮迫する事態になった。中国経済はまさに、日本経済が辿った道を追っている。この後は、「失われた20年」の悲劇が待っている。

     

    『ブルームバーグ』(12月28日付)は、「18年に失われた255兆円ー数字が物語る中国株投資家の苦境」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「上海総合指数は年初来の下落率が25%近く、世界の主要株価指数としては最悪。12月26日時点で、中国株式市場の時価総額は18年に入り2兆3000億ドル(約255兆円)失われた。ブルームバーグが02年にデータ集計を開始してから年間ベースで最大の消失で、株式市場の規模として世界2位の座を日本に譲った」

     

    中国株では、米国の有名な投資銀行が強気の方針を打ち出していた。そういう記事を見る度に、「この筆者は、バブル崩壊の意味と衝撃の恐ろしさを知らない御仁だな」と見てきた。だから、こういう根拠不明の楽観論は一切、取り上げることもなく、悲観論にウエイトをおく記事のコメントに力点を置いてきた。今年を振り返って、間違えたコメントを書かず、読者に迷惑をおかけする事態にはならなかった。

     

    (2)「上海、深圳両証券取引所での1営業日当たりの平均売買代金は約3690億元(約5兆9600億円)に減少し、14年以来の低水準となったことをブルームバーグのデータは示している。27日の売買代金はわずか2638億元で、15年のピークの1割程度」

     

    1営業日当たりの平均売買代金が、15年ピーク時の1割にまで落込んでいる。「株価は死んだ」も同然の状態だ。ここから、抜け出すのは大変なエネルギーを必要とする。中国経済が健全化することが前提である。

     

    不動産バブルの後遺症を克服するには、まだまだ気の遠くなるような時間がかかるはずだ。習近平氏が、市場機構という「自然治癒力」のメカニズムを抑圧して、計画経済なる幻想に酔っていることから、目が覚めることなどあり得ない。彼が国家主席でいる限り、中国経済の回復・発展は期待薄である。

     

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    奢れる者久しからずとは、平家物語の一節だ。韓国政界もこれを地でいっている。昨年5月、朴槿惠政権の不名誉な弾劾の後を受け、文在寅大統領は颯爽と登場した。国民の和解を訴えて、「国民のための政治」を宣言した。就任直後から高い支持率を得たが、やったことは3点ある。「積弊(保守党政権)の一掃」、「大幅な最低賃金引き上げ」、「反日政策の総仕上げ」である。

     

    いずれも、破滅的な結果をもたらした。

     

        「積弊(保守党政権)の一掃」は、国内の政治的な対立激化をもたらしている。

        「大幅な最低賃金引き上げ」は、失業率を高めて国内経済を不況に追い込んでいる。

        「反日政策の総仕上げ」は、日韓関係を根本から破壊し修復不可能な状態に陥れた。

     

    これまで、支持率を押し上げていた南北融和ムードは、韓国が北朝鮮の金正恩氏に利用されただけというムードが強まり、逆に支持率を下げる要員になっている。今や、世論調査での不支持率が、支持率を7ポイントも上回るほどの不人気政権である。与党「共に民主党」も支持率が下落し、「限界線」に接近している。

     

    『中央日報』(12月28日付)は、「50%超えた文大統領への否定的評価、国政動力の低下も」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「世論調査機関リアルメーターは、27日、最新の世論調査結果を発表した。

    支持率は43.8%(前週比-3.3ポイント)

    不支持率は51.6%。(前週比+5.5ポイン)
    リアルメーターの調査で、否定的な評価が肯定的な評価を上回ったのは、政権発足後初めて。肯定的な評価と否定的な評価の差が、誤差範囲外(7.8%)に広がった」

    大統領選における文氏の得票率は41%である。世論調査の支持率は43.8%だ。この調子で支持率が下落すれば、来年最初の調査で41%のラインを割り込みそうだ。不支持率が過半を超えており、若者や自営業者の支持率低下が大きく影響している。いずれも、最賃大幅引上げの犠牲になっている人たちだ。

     

    (2)「与党は大統領支持率のマジノ線を40%、与党「共に民主党」の支持率下限線を35%とみている。今回の調査で民主党の支持率は1.7ポイント下落した36.3%と、臨界点に近づいている。民主党関係者は「いわゆる『コンクリート支持率』が崩れる場合、国政運営動力の確保に支障が生じるとみている」と懸念を表した」

     

    与党は、大統領支持率のマジノ線を40%、与党「共に民主党」の支持率下限線を35%に引いている。今回の調査で与党は36.3%であり、首が皮一つでつながっている状況である。ここまで支持率の落勢が強まると、与党も新年早々の調査で、想定下限線を割り込むであろう。

     

    政権に就いた直後の「共に民主党」は、積弊一掃で保守党を徹底的に潰す戦略に出た。前政権に関係した人々を告発して逮捕させ、刑務所に送った。そのやり口は、北朝鮮並の「粛清」である。無実であることの証として、死を以て抗議する自殺者が5名も出ている。残酷な仕打ちをしたものだ。次の大統領選で保守党が勝てば、今度は「共に民主党」が被告席に立たされる。因果応報とは言うが、韓国政治の前近代性を物語っている。

     

    (3)「政界は支持率自体より『速度』が尋常でないと見ている。9月末に65.3%だったが、大きな悪材料なく3カ月間で20ポイント以上も下落したのは異例という分析だ。カ・サンジュ檀国大政治学教授は、『景気に敏感な自営業者と非正規職労働者の離脱が目立つ』と語った」

    これほど無策の政権も珍しい。多くの学者を政権幹部に登用した。口は達者でも実務能力はゼロ。学会の論文発表のような「最賃大幅引上げ論」を発表し、得意満面であった。多くの論理的な反対を受けたが、一切無視し強行した。その結果が、現在の破綻に瀕する韓国経済である。もはや、どうにもならない所まで突っ込んでしまった。国内で暴動が起っても不思議でない。それほど矛楯に満ちた政権なのだ。

     

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