勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2018年12月


    韓国の国是は、反日であろうか。日本の行なうことに、すべて反対するからだ。今度は鯨である。日本が商業用捕鯨を再開すれば、朝鮮半島のミンククジラは全滅の危機があると言い始めた。常識論から言えば、太平洋の鯨が捕鯨対象であろう。日本では、過去に捕鯨が盛んであった地域は、和歌山、山口、北海道、青森県、宮城県といずれも太平洋岸に面した地域である。朝鮮半島へ回遊する鯨を捕獲するならば、日本海側に捕鯨基地があっても良かったはず。それが、ないところを見れば、朝鮮半島のミンククジラには影響ないと見られるが。

     

    『中央日報』(12月28日付)は、「日本が商業捕鯨すれば韓半島沖のミンククジラ絶滅危機」と題する記事を掲載した。

     

    (!)「韓国の海洋環境団体「ホットピンクドルフィンズ」のチョ・ヤクゴル代表が「日本が商業捕鯨を始めれば韓半島(朝鮮半島)沖のミンククジラが絶滅危機を迎える」と警告した。チョ代表は28日、CBSのラジオ番組「キム・ヒョンジョンのニュースショー」に出演し、「(日本が)本格的な商業捕鯨をすれば、韓半島沖のミンククジラが最初にターゲットになるのではないだろうか」とし「算術的な計算で単純にみても3、4年以内に韓半島の海域でミンククジラが絶滅するおそれがある」と警告した」

     

    IWC(国際捕鯨委員会)が、商業用捕鯨を禁じたのは1986年からだ。すでに、32年も経過しており、資源の回復には十分な時間であったはずである。鯨も毎年一定の数を捕獲しておかないと、数が増えすぎて逆に減少すると指摘されている。こうした科学的な知見に基づく日本の主張を、「鯨は賢い生物で捕獲が可哀想」という感情論で拒否されている。

     

    韓国人は、犬を食べることで世界から非難された。これと同じ認識で、鯨の捕獲を非難するのは的外れである。犬や猫はペットであり人間の生活と一体化している。鯨は大型生物であり、生存に必要な一定の空間を確保することが欠かせないのだ。そういう配慮をしなければ、貴重な資源の鯨を保存できない。

     

    (2)「また、韓国が国際捕鯨委員会(IWC)総会でクジラ保護に関する宣言などに反対票を投じたことを例に挙げ、『韓国は表面ではクジラ保護政策を推進しているが、実際の投票では日和見主義的な形で捕鯨を支持してきたと考える』とし、『韓国政府は今まで日本の捕鯨をただ傍観してきた』と指摘した」

    鯨を資源と見るか、愛玩動物と見るかで見解は分かれると思う。鯨保護派は、愛玩動物と位置づけているように思える。鯨の生態が分るに従い、高度の頭脳を持っていることも知られてきた。その鯨を捕獲して食べるとは何ごとか。保護派は、こういう理屈である。確かに、そういう主張も理解できるし賛成だ。ただ、繰り返し主張するように、鯨の生存のためには一定の空間を保障することも不可欠である。そういう意味で、限られた頭数の鯨を捕獲する意味を理解して欲しいと思う。

     

    鯨保護派のような極端な議論は、結果として鯨を見殺しにする危険性と同じであろう。何ごとも極論は、非生産的である。科学的な知見が求められるのだ。

     

    メルマガ15号 「貿易戦争で疲弊する中国、改革派が追い詰める習近平」が『マネーボイス』で紹介されました。

    まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

    https://www.mag2.com/p/money/612755
    ここをクリックしてください。

     

     

     

     



    中国の改革開放40年の今年、経済は総崩れになった。市場経済化を否定し、計画経済化を大胆に推進した習近平氏の敗北である。「餅は餅屋」の言葉通り、経済運営の舵は経済専門家に任せるべきであった。従来の慣例では首相がその任である。習氏は、それを強引に取り上げて、自らの権限に組み込んでしまった。最早、言い逃れはできない。現在の中国経済の惨状は、すべて習近平氏の責任に帰すのだ。

     

    今年6月、習氏の側近はとんでもない発言をして物議を醸した。「最早、民営企業の時代でない。国有企業の時代である以上、民営企業は縮小すべきだ」と放言したのだ。この傲慢さが、11月の工業利益を前年比1.8%の減益に追い込んだ。特に国有企業が振るわず、民営企業の増益でも補えなかった。

     

    11月の利益は微減だが今後、マイナス減益幅は拡大していく見通しである。最終消費財の自動車やパソコン、スマホなどが売上不振であるからだ。過剰生産による商品市況の下落が工業利益の足を引っ張っている。市場経済機構を重視すれば、これほどの過剰生産に落込まなかったであろう。肝心のブレーキ(市場機構)が、縮小されていたので機能しなかったのだ。習氏は、今になって初めて市場機構の有難味を知ったはずだが、どうだろうか。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月27日付)は、「11月の中国工業利益、約3年ぶり減少、消費低迷・素材価格下落が重荷」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「2018年11月の工業企業の利益は前年同月比1.8%減った。前年水準を下回るのは15年12月以来、2年11カ月ぶり。鉄鋼や化学など素材価格が下落し、国有企業の利益が減った。個人消費低迷で自動車やパソコン・携帯電話も振るわなかった。一定規模以上の製造業、鉱業、エネルギー企業の利益を集計したものだ。利益の伸びは184月の21.9%を直近のピークに7カ月連続で縮小している」

     

    工業利益は、今年4月がピークですでに7ヶ月連続の減益であったが、前年同期比ではプラスを維持してきた。それが、11月になって同マイナスに落込んだ。需要先の耐久消費財が今後とも不振見通しであり、工業利益のマイナス幅が広がる。中国の産業部門で「健在」であるのは、ほとんど消え「不況一色」になった。

     

    自動車は、典型的は過剰生産業種である。

     

    「コンサルティング会社PwCによると、中国の工場では年間4300万台の製造が可能だが、今年の生産台数は2900万台を割り込む見通しだ。海外メーカーも国内メーカーもプレッシャーにさらされているが、減速の打撃が最も大きいのはタイミングを誤って増産体制を築いた企業である」『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月26日付)

     

    自動車産業の操業度は、わずか67%である。これでは、採算に乗るはずがない。世界一の自動車市場を襲う本格的な不況到来である。そこへ、自動車関税率を15%に下げたので、国内メーカーにとっては死活問題になっている。

     

    (2)「11月は国有企業の利益が落ちこむ一方、民間企業は利益が回復した。業種別では石油・ガス採掘、鉄鋼、化学、石油精製など幅広い業種で利益の伸びが鈍った。原因は素材価格の下落だ。中国政府は16年1月から鉄鋼や石炭の生産設備の廃棄に乗りだした。供給を強制的に減らして素材価格を引き上げ、国有企業の利益を急回復させた。19年は生産設備の過剰に再び焦点があたる可能性がある。11月は自動車やパソコン・携帯電話も振るわず、いずれも1~11月の累計利益が前年同期の水準を下回った。販売低迷で在庫が積み上がっており、米国との貿易戦争で輸出も下押し圧力が強いようだ」

     

    川上である素材市況の下落は、川下企業のユーザーには増益要因として寄与した。だが、トータルで見た工業利益は、マイナスになっている。そこで、工業利益のテコ入れとして、素材価格引上げを狙って過剰設備の廃棄に乗り出す可能性も残されている。ただ、これまでは、民営企業中心の設備廃棄であった。今後は、国有企業の過剰設備に切り込まなければならない。それが、首尾良くできるかどうか。相当の抵抗があるに違いない。国有企業の過剰設備廃棄となれば、失業者の増加で政府は苦しい対応を迫られよう。

     

    メルマガ15号 「貿易戦争で疲弊する中国、改革派が追い詰める習近平」が『マネーボイス』で紹介されました。

    まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

    https://www.mag2.com/p/money/612755
    ここをクリックしてください。

     

     



    中国経済は、株価不振に見られるように「一人負け」である。NY株式市場は、26日1086ドルと過去最大の値上がりとなった。不安心理の和らいだことが原因である。これに反して、日本株も27日は750円高に戻して2万円台を回復した。だが、上海総合指数は反

    発することなく2500ポイント割り込んだままに終わった。

     

    日米中の株価に見られるように、中国の経済不振は深刻化している。中国サイバー管理局(CAC)は12月26日、インターネット上の金融情報に関する新たな規制を発表した。金融情報プロバイダーが、同国の財政・金融政策の解釈を歪めることや、株式・ファンド・先物・為替市場を動かし得るニュースやイベントをねつ造することは認められないとしている。

     

    事態は深刻である。ブルームバーグ・ニュースによれば、中国識者が現在の中国は不安心理が異常な高まりを見せており、1989~1992年ごろに匹敵するとしている。天安門事件が起こったのは1989年で、景気が失速していた時期だ。現状は、それに近い状況なのだ。

     

    こうして、中国は米中貿易戦争を絶対に妥結させなければならない事態に追い込まれている。ファーウェイ副会長が、米国政府の要請によってカナダで逮捕(保釈)されても、米国への対抗手段を放棄している状況に、中国の危機感が滲んでいる。

     

    『ロイター』(12月27日付)は、「米中通商問題で来年1月に直接会談へー中国商務省」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国商務省は27日、通商問題を巡り来年1月に米国側と直接会談する計画を立てたと表明した。それまでは、頻繁な電話協議を続けるという。商務省報道官が記者団に明らかにした。米国のクリスマス休暇にもかかわらず、協議は着実に前進しているという。ブルームバーグは26日、複数の関係筋の話として、米通商代表部(USTR)のジェフリー・ゲリッシュ次席代表が率いる代表団が来年1月7日の週に北京を訪問し、中国当局者と協議を行うと報じた。関係筋は先週ロイターに対し、米中協議が来年1月初旬になる可能性が高いと述べていた」

     

    中国商務省報道官が、あえて「順調に準備が進んでいる」と強調している所に中国の悩みと焦りを感じる。米中貿易戦争を終わらせなければならない、ギリギリの線に追い込まれているからだ。中国経済の現状が、天安門事件が引き起こされた当時と同様に、沈滞ムードに覆われている。経済危機から発生する政治危機は、習近平氏にとって是が非でも回避しなければならない問題だ。習氏が、強引に「国家主席無任期制」に持ち込んだことが、国民の不満と怒り呼び込んでいるのであろう。

     

    (2)「米中はここ数週間、電話協議を続けているが、対面での直接会談は、アルゼンチンで今月1日に開催された米中首脳会談以降で初めてとなる。報道官は、『米国側はクリスマス休暇中だが、中国と米国の経済・通商チームは緊密に連絡を取っており、協議は予定通り秩序ある形で進んでいる』と表明した」

     

    中国側が、守勢に立たされていることは疑いない。米国の要求がエスカレートしている面もあるからだ。米中の力関係は、完全に米国に傾いている実情は、次の記事が伝えている。

     

    (3)「関係者によれば、中国は米国が懲罰的関税を撤廃するとともに新たな関税を賦課しないことを望んでいるが、それに同意する前に米国がより多くを要求するのではないかと考えている。交渉が決裂した場合に備えて、当局は代替の報復措置を取りまとめているという。中国社会科学院の米中関係専門家、呂祥氏は『アルゼンチンでの首脳会談後、開放と改革を加速させる中国のインセンティブは高まった』と指摘。『合意への最大の障壁は、米国の要求に際限がない恐れだ』と述べた」(『ブルームバーグ』12月27日付中国 米国の要求エスカレートに身構えー通商対立解消で一斉取り組み))

     

    米国は、中国の保護主義を徹底的にこじ開ける戦略である。かつての日米貿易摩擦当時、米側による日本への要求を彷彿とさせるものだ。

     

    私のメルマガ17号は、「中国は大国のメンツ維持を優先、米へ妥協し経済危機回避へ必死」でこの問題を詳細に取り上げた。

     

     

     



    米中関係は、「冷戦時代」に入ったことは疑いない。米国の安全保障が、中国によって脅かされているという認識を固めたからだ。中国が経済発展半ばで、米国とこのような対立状態になったことは、経済的に大きな損失である。

     

    習近平氏が、「永久国家主席」の座を手中に収めたことが、米中対立の引き金になった。習氏は、生粋の民族主義者であり、側近にそういう人物を引き立てたことも、習氏を「暴走」させる結果になった。「覆水盆に返らず」であるが、習氏は調子に乗りすぎたようだ。いずれ、国内で習氏の政治責任を問う声が大きくなるであろう。なお、先の中国最高指導部による、中央経済工作会議に、国家副主席の王岐山氏が欠席していたという。習派と経済改革派の論争の席に居合わせることを避けたとも見られている。

     

    『ロイター』(12月27日付)は、「米、華為・ZTE製機器の利用禁止命じる大統領令検討」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「複数の関係筋によると、トランプ米大統領は、国内企業に対し、中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)が製造した通信機器の利用を禁止する大統領令を来年にも発令することを検討している。米国は、両社が中国政府の指示を受けているとみており、米国人に対する諜報活動に両社の製品が利用される可能性があると主張している。大統領令は8カ月以上前から検討されており、早ければ来年1月にも発令される可能性がある」

     

    米国が、国内でのファーウェイとZTEの製品を使用禁止にする大統領令を検討している。来年1月にも発令する準備が進んでいるほど、米中関係は悪化している。発令が現実になると、前記2社の受ける営業的な痛手は相当なものになろう。各国が、使用を控えることが予想されるからだ。

     

    中国が、ここまで米国を警戒させたのは、2008年のリーマンショックで米国を軽い存在に見たことだろう。時期的に、このころの中国経済は日の出の勢いであった。対して米国は、「100年は復活しまい」と噂されたほどの傷を受けていた。その米国が、10年間でここまで復活している。市場経済の持つ回復力がなさしめたものだ。中国は、有頂天になりすぎた。今、その罰が加えられるような情景に映る。

     

    (2)「大統領令は、米国企業が国家安全保障上、重大な脅威となり得る海外通信機器市場から機器を購入することを阻止するよう商務省に指示する内容。通信業界と政権の関係者が明らかにした。華為技術と中興通訊が名指しされる公算は小さいが、関係筋の1人によると、商務省は両社製通信機器の利用拡大を制限する権限を得たと解釈する見通し。大統領令の文面は最終決定していないという。大統領令は、国際緊急経済権限法を発動するもので、大統領が非常事態を宣言し、商取引を規制する。米国では今年8月に、両社と米政府の取引制限を盛り込んだ国防権限法が成立している」

     

    米国ではすでに、前記2社と米国政府との取引を制限する国防権限法が成立している。今回の大統領令は、米国内すべての取引に適用するものだ。中国は、対抗手段として米国のIT製品の使用禁止令を出すだろう。そうなれば、米国は半導体やソフトの輸出禁止で対抗するに違いない。事実上、中国IT産業の「壊滅作戦」になるリスクを抱える。中国は、まともに米国へ対抗すれば、自滅するだけに難しい選択を迫られる。

     

    私のメルマガ17号において、「中国は大国のメンツ維持を優先、米へ妥協し経済危機回避へ必死」でこの問題を詳細に取り上げた。

     

     

     



    日本が来年4月、海上自衛隊艦船の訪中を検討していることについて、中国外交部報道官は26日の定例記者会見で「参加の方向である」とコメントした。観艦式と言えば、今年の韓国における国際観艦式で、旭日旗掲揚を認めないことから、日本は参加を取り止めた。中国も事情は不明だが、日本の不参加後に不参加を表明する一幕があった。この点で、日中海軍は同一歩調である。

     

    『人民網』(12月27日付)は、「日本が海上自衛隊艦船の中国派遣を検討、中国外交部がコメント」と題する記事を掲載した。

     

    中国外交部報道官は26日の定例記者会見で「双方の防衛当局の交流と意思疎通の強化は、溝を適切に管理・コントロールし、安全保障上の相互信頼を増進し、建設的な二国間安全保障関係の構築を後押しするうえでプラスであり、日中関係の持続的改善と長期にわたる健全で安定した発展にプラスのエネルギーを注ぐものだ」と指摘した。

    【記者】報道によると、日本政府は来年4月に青島で開催される中国海軍創設70周年観艦式に参加するため、海上自衛隊艦船を中国に派遣することを検討している。日本政府は来年秋に日本で開催する海上自衛隊観艦式に中国の軍艦を招待する可能性もある。これについてコメントは。

    【華報道官】防衛関係は日中関係の重要部分をなす。今年は日中平和友好条約締結40周年だ。双方の防衛当局の交流と意思疎通の強化は、溝を適切に管理・コントロールし、安全保障上の相互信頼を増進し、建設的な二国間安全保障関係の構築を後押しするうえでプラスであり、日中関係の持続的改善と長期にわたる健全で安定した発展にプラスのエネルギーを注ぐものだ。われわれは双方の防衛当局の意思疎通と交流の強化を歓迎する。双方艦艇の相互訪問の具体的状況については、中国国防部に問い合わせていただきたい。

     

    以上の記者会見から、日中の防衛交流が深まりを見せていることが分る。これは、双方が誤解を防ぐ意味で極めて重要である。韓国のように、旭日旗を掲揚するなと注文を付けるようでは、相互理解は不可能であろう。

     

    メルマガ15号 「貿易戦争で疲弊する中国、改革派が追い詰める習近平」が『マネーボイス』で紹介されました。

    まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

    https://www.mag2.com/p/money/612755
    ここをクリックしてください。

     

     

     


    このページのトップヘ