勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2018年12月


    日本政府は12月26日、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退すると正式発表した。約30年ぶりに商業捕鯨を再開する。戦後の食糧不足時代、鯨肉は貴重なタンパク源であった。鯨肉の缶詰は懐かしい味である。

     

    統計的に言えば、鯨は捕獲して頭数の増えすぎを防がないと、逆に頭数が減るという事実を立証した日本人がいた。生命保険会社でアクチャリー(保険数理士)をされていた方(お名前を失念)が、東洋経済新報社が発行していた英文経済誌『オリエンタル・エコノミスト』に論文を掲載し、国際捕鯨委員会で発表したことがある。この主張は受入れられず、商業捕鯨は禁止されて今日にいたったものだ。日本の商業用捕鯨再開は、資源問題から見れば正統である。

     

    『レコードチャイナ』(12月27日付)は、「日本が商業捕鯨再開へ 中国政府は一貫して日本の主張を理解」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日本のIWC脱退を伝える記事に対しても、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)では、「(日本人は)人を殺しても表情を変えないからな。鯨を殺すのなら、なおさら」「3割の人間性も学びきっていない。7割の獣性は根深く固まっている」などのコメントが、圧倒的に多くの「いいね」を獲得した。日本の捕鯨に理解を示すコメントもあるが、「いいね」は比較的少ない」

     

    感情的に言えば、鯨が賢い生物であることが分っている。だから、捕獲して食べるなという理屈である。これももっともである。それなら、食用に供する牛や豚、馬はどうなんだ、という声が出てくるのだ。日本では、生きとし生ける物の「いのち」を頂いて、人間の生命をつないでいるという「感謝の心」があるという反論も聞く。要は、最後は食文化の問題に帰着するようだ。

    (2)「中国政府は強硬な反捕鯨国とは一線を画し、むしろ日本の主張を支持あるいは理解を示す動きを続けている。中国はIWCにおける日本の調査捕鯨の申し出について、賛成票を投じてきた。日本の伝統的捕鯨の維持についても反対していない。中国はそれ以外にも、日本の主張を支持する、あるいは日本にとって不利にならないよう投票を棄権するなどの行動を続けている。水産庁が11月に発表したリポートの『捕鯨をめぐる情勢』も、中国を『クジラ類の持続的な利用支持国』に分類している」

    中国は、一貫して日本の立場に近いようである。その理由は、次のパラグラフで説明されている。


    (3)「中国政府が捕鯨に「理解」を示す理由については、不明な点が多い。ただ、資源の利用について「持続可能性を最大限に考慮」とする中国政府の原則論との矛盾はないまた、中国は現状で捕鯨活動をしていないが、将来的に自国が鯨資源の利用を検討する状況になった場合も想定し、「自らの手足を縛るような行動は避ける」との思惑があるためにIWCなどで反捕鯨国に安直に同調することを避けている可能性もある。また、反捕鯨の動きは「環境運動を利用した他国に関する干渉だ」との警戒感を示し、中国は冷静さを保つべきだと主張する文章も発表されている」

     

    中国は、資源利用における持続可能性を最も考慮する立場である。これは、冒頭で取り上げたように、一定の捕獲によって頭数の増えすぎを防がないと資源確保が困難になるという点に共通している。それにしても将来、中国が商業用捕鯨に乗り出して「乱獲」を始めたら、これもまた困った問題になる。悩みは尽きない。

     

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    けさ、下記の目次で発行(有料)しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    中国の世界覇権阻止へ全力

    米国の外濠埋め立て作戦へ

    ファーウェイ包囲網を構築

    本格化する経済危機の到来

    経常赤字で為替・株価大揺れ

     

    米中貿易戦争は、来年2月末まで「休戦」状態になっています。この間に、通商交渉を進めていますが、順調に進んでいるようです。12月には、中国通信機メーカーのファーウェイ(華為技術)副会長が、米国の要請によってカナダで逮捕される事件が発生しました。従来の中国であれば、これを理由に米中交渉を中断してもおかしくはありません。だが、中国は「ファーウェイ事件と米中通商交渉は別問題」として、交渉を続けています。

     

    中国は、カナダに対して厳しい態度に出ています。カナダ人二人を違法拘束して「人質」にとっています。カナダへこういう態度を取るならば、米国へも「報復」して当たり前でしょう。それを控えていることが、今回の米中交渉を妥結させたいという中国の強い意志の表れと見られます。

     

    米国は、中国に5項目で合意を迫っています。その内の一つである、米国農産物輸入と米国製自動車関税を引下げは、中国が同意し実行に移しています。問題は、残りの4項目です。知財権保護、ハッカー禁止、技術移転強要禁止などが焦点になっています。技術移転強要禁止は全人代(国会)の常務委員会で成文化の検討を始めました。

     

    このように、中国は断片的ですが対米合意に向けて動いています。来年1月になれば、米中両国の交渉団が、顔を合わせて直接交渉を行なうと伝えられています。米国は、合意書にサインしたあとも、実際に合意事項が履行されているか検証することを要求しています。中国得意の「食い逃げ」は許さない強い姿勢です。米ホワイトハウスのナヴァロ通商政策局長は、「中国が経済政策の変更をしなければ、実効を挙げえないだろう」とも指摘しています。米国は、不退転の決意であることを示しています。

     

    中国の世界覇権阻止へ全力

    米国が、中国に対して強硬姿勢をとっている理由は、安全保障上の問題も絡んでいます。中国の習近平国家主席は、自らの権力基盤を固めて国家主席の任期制(2期10年間)を廃止し、自らの「終身国家主席制」に道を開きました。この余勢を駆って、2050年頃には、米国の世界覇権に挑戦する夢まで語ってしまったのです。これが、米国の強い反発を受けました。独裁国家が、世界覇権を握りたいとう野望は、世界の歴史を逆回転させるに等しいことです。聞き捨てにできない「放言」です。

     

    人間は、長い歴史において第二次世界大戦や、その後の米ソ対立という冷戦を経験して、ようやく世界的な民主主義政治の確立を見ました。それが突然、新興国の中国が、米国と覇権争いをすると名乗り出たのです。米国とその同盟国が政治的危機感を覚え、独裁国家の中国へ対抗する姿勢で足並みを揃えたのです。この点は、中国にとっては予想外のことであり、ここに先進国vs中国という対抗の構図に変ったのです。こうなると、中国は、もはや手も足も出ません。中国の大誤算というべき事態です。

     

    中国は、「中国製造2025」という産業構造高度化のプロジェクトを立ち上げています。2025年までに、日本やドイツの工業化水準に追いつくというものです。日本でも過去、「所得倍増計画」や「産業構造高度化計画」を立ててきました。これが、何らの問題を起こさなかったのは、自主技術開発や、他国からの正規の技術導入によって実現を目指したからです。

     

    中国は、スパイによる技術窃取や技術移転強要など、犯罪行為を駆使しているのです。国家が経済犯罪を煽動するという、これまで考えられない手を使ってきました。米国は、中国に対して「中国製造2025」を中止せよと言う資格はありません。内政干渉になるからです。

     

    米国は、技術窃取や技術移転強要などの禁止を中国に求める資格はあります。中国へ要求している4項目(5項目から農産物などの輸入を除く)の是正は、「中国製造2025」の外堀を埋めさせる行為なのです。卑近な例で言えば、盗賊集団に盗賊行為を禁じれば、盗賊は生存不可能になると同じことなのです。

     

    米国の外濠埋め立て作戦へ

    米国による外堀埋め立て作戦の例を挙げておきます

     

    .中国人の米国入国へのビザ発給の厳格化です。

    米国留学生の中で、最大の比率は中国人です。米国の大学は、中国人留学生の授業料で経済的に潤ってきました。これが、産業スパイの温床になっていました。大学院生が米国の大学の研究室から研究成果を盗み出す役割をしていたのです。また、米国大学院で博士号取得後に米企業に就職し、企業の極秘情報を盗み出す例が跡を絶ちません。(続く)



    中国政府による韓国への報復で、姿を消していた中国人「観光客」が復活してきた。1日平均で1万3400人が韓国へ入国している。ところが、この7割強は観光目的でなく、「便利屋」だという。最近の言葉で言えば、「物品購入代行屋」である。韓国で仕入れて中国で売りさばくビジネスである。

     

    『レコードチャイナ』(12月27日付)は、「毎日1万人超の中国人が韓国へ、そのほとんどが純粋な観光客ではない―中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国観光公社が12月24日、今年11月までに韓国を訪問した中国人観光客数が延べ437万3000人に上ったと発表したことを紹介。『1日当たり1万3400人もの中国人観光客が韓国を訪れている計算になる』とした。

     

    韓国にとっては、中国人観光客が上得意である。一度に沢山の品物を買ってくれるからだ。その点、日本人は財布の紐がきついという。韓国の買い物では、店先で日本語飛び交っており、外国というイメージはない。

     

    (2)「一方で、『毎日1万人超の中国人が韓国旅行に来ているという話が本当であることは、ソウルの明洞のショッピングエリアや免税店に足を運んでみてようやく理解できた』とし、『韓国を大挙訪れている中国人というのは、純粋な観光客ではなく、ほとんどが韓国コスメなどがお目当ての『代購』(外国で販売されている商品を購入して中国のSNSなどで転売する業者や個人のこと)なのだ』と紹介。『話によると、代購で月に数万元から十数万元も稼ぐ人がいるそうで、道理で彼らはそれに必死になるわけだ」などと伝えた』

    「代購」では、商品買い付けが目的であるから当該店の売上は増えるが、宿泊客ではない。日帰りである。まさか、航空機では定期券があるはずがないから、儲かる点では航空会社(安売り)もホクホク組であろう。

     

    韓国では、本当に宿泊してくれる観光客を誘致しなければならない。その対策はあるのだろうか。地方へ行くと、受入れ態勢が整っていないと指摘されている。文大統領は、北朝鮮ばかりに関心を持たず、観光面への気配りも必要である。韓国紙は、日本の外国人観光客急増の裏に、安倍首相が陣頭に立って指揮していると褒めている。韓国メディアは、滅多に安倍首相を褒めないが、実績が上がれば無視できないということらしい。

     

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    このところ、韓国にやられっぱなしの日本が、ミカン特許侵害で韓国済州島でのミカン出荷を中止させた。韓国と言えば、九州で開発したイチゴの苗を無断で持出し、しかも、別の日本産イチゴと掛け合わせて、「韓国産イチゴ」として売り出す厚かましさだ。日本が抗議したがのれんに腕押しで、さじを投げてしまった。これに懲りた日本が、ミカンは特許でガードして「権利」を守った形だ。

     

    『レコードチャイナ』(12月26日付)は、「済州島のみかん、日本が特許問題提起で大量廃棄の危機」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「朝鮮日報』(12月22日付)などによると、日本産のカンキツ新品種「みはや」と「あすみ」を栽培している済州島の農家らが、収穫目前のみかん920トンを出荷できない状況に直面している。その理由は、韓国農協らがこのほど、同2品種に対する日本からのロイヤルティー支払い要求を受け、出荷の全面禁止を決定したためだという。済州島農業技術院などによると、日本の国立研究開発法人は1月、晩柑類の「みはや」と「あすみ」の品種登録を出願した。また、2039年まで同2品種を保護品種に登録し、ロイヤルティーを農協中央会などに要求した」

     

    ロイヤルティーはどのくらいの金額なのか。廃棄するのは、過去の労働力を考えればもったいない話だ。何か、良い方法はないのか。日本が買い取って缶詰にするとか、方法はあると思うが。

     

    (2)「済州島の農家らは、2014年に発売された同2品種の苗木を日本現地の農家から購入し、技術移転や分譲について正式に契約を締結せずに普及させた。現在は208の農家が920トンを栽培している。金額にすると50億ウォン(約5億円)に上るという。韓国農協は「今後、国際紛争や訴訟問題になる懸念がある」との理由で、同2品種について韓国内のスーパーや市場での販売を禁止した」

     

    違法栽培とはいえ、5億円ものミカンを廃棄するならば、ロイヤリティーを払って、今後も栽培を継続するという知恵も出ないのか。最賃で大幅引上げをやるくらいなら、政府が一時立て替えて、栽培を継続するほうが農家も助かるはずだが。

     

    (3)「済州島農業技術院の関係者は、『1970年代には在日韓国人が日本産みかんの苗木を韓国に持ち込むと称賛を受けた。しかし2012年に植物新品種保護国際同盟に加入し、外国で登録された新品種に対しロイヤルティーを払うことになったため、新品種の導入には注意が必要だ』と説明したという」

    日本のイチゴの新品種が、盗まれたままに終わったのは、韓国が植物新品種保護国際同盟に加入していなかった結果である。ところが、2012年に韓国も加入したので、ミカンは救われた。韓国のイチゴは、日本産よりも「旨い」などと宣伝したので、日本のイチゴ農家を悔しがらせたものだ。

     

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    中国は、韓国と並んで「出生率最低国」へ落込んでいる。中国政府は、余りの出生率低下に驚き、「合計特殊出生率」の関連データを発表しないという危機感に襲われている。

     

    中国も高学歴が進んでいるので、子どもを生みたがらない女性が増えている。合計特殊出生率の低下は、データが発表さてないので推測の域を出ないが、2015年は確実に1.05であった。多分、現在は1を割り込んでいるはずだ。韓国は、今年7~9月で0.95と絶望的なレベルに落込んでいる。中国もこの前後であろう。日本は、1.40台である。

     

    『レコードチャイナ』(12月26日付)は、「出生数の減少が止まらぬ中国、産児制限の緩和3年目の今年も前年比100万人以上減少の見通」と題する記事を掲載した。

     

    (1)『華夏時報網』(12月25日付)によると、15年に産児制限の大幅緩和が定められた時には、専門家は「ベビーブーム到来」を予測した。しかし、制限緩和の都市の16年には新生児が前年比79%の1786万人に達したものの、17年には前年よりも約60万人少ない1723万人だった。当局は2023万人前後と予想していただけに、意外な結果と多くの人が驚いた」

     

    1夫婦が2人までの子どもを持てるようになったが、出生率は減っている。これは、背後に経済問題が影響を与えている。住宅高騰が、住宅ローンを増やして家計を圧迫しているからだ。16年は出生率が増えたあと、17年、18年が減少している。住宅バブルを放置した習近平氏の政策的失敗が原因である。

    (2)「北京市に本拠を置くシンクタンクの全球化智庫(グローバル化シンクタンク)の特約高等研究員である黄文政(ホアン・ウェンジョン)氏は、今年の出生数について『現在のデータを見る限り、われわれは数カ月前と比べて悲観的にならざるをえない』と述べた。18年の出生人口は1500万人を割り込んで1400万人前後の水準におちこむと考えられるという。前年比で100万~200万人の減少だ」

    今年の出生数は、1400万人前後という。16年の1786万人の出生から見れば、大変な落込みである。前年比で100万~200万人の減少という。

     

    (3)「17年に全国で最も出生数が多かった山東省でも、18年には出生数の低下が著しいと指摘。各地当局発表によれば、同省の代表的都市である煙台市では18年1~6月の出生児は前年同期比約16%減の2万6902人、同じく代表的都市の青島市では1~11月の出生時が前年同期比21.1%減の8万1112人だったという。さらに、他の地域を含めて全国で発表された数字を見れば、出生数の『ジェットコースター式下落』は避けがたいと指摘。前出の黄氏は、少子化に伴う高齢化の経済に対する影響は限定的だが、人口規模そのものが減退する影響は極めて大きく、逆転させるのも困難と説明した」

     

    17年に全国で最も出生数が多かった山東省でも異変が起っている。煙台市では18年1~6月の出生児は前年同期比約16%減。青島市では1~11月の出生時が前年同期比21.1%減である。これは、家計が住宅ローン負担で圧迫されている動かせぬ証拠だ。

     

    中国は、不動産バブルでGDPを押上げたが、将来の人口減の出生率低下を招いている。典型的な経済政策失敗による人口政策の破綻である。蛸が自分の足を食っているような愚策なのだ。バブル経済で、良いことは一つもないという教訓がここにある。私が、長年言い続けてきたことはここに現れている。複雑な気持ちだ。

     

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